事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ソウル・コレクター」 ジェフリー・ディーヴァー著 文藝春秋

2010-01-22 | ミステリ

Thebrokenwindowj 久しぶりのリンカーン・ライムのシリーズであると同時に「青い虚空」以来のハッカーもの。

これまでに登場した犯人のなかで飛び抜けて卑怯。データを完全にあやつり、生体情報などで他人に罪を着せまくるのである。もう二度と顧客登録などという愚かなマネはすまいと痛感(データはじゃじゃ漏れ)。

原題はThe Broken Window。犯罪の背景となるデータ管理会社が窓から“観測する”こと以上に(実際のこの会社の中枢には小さな窓しかないのが皮肉)、犯罪を抑止するために、小さな窓の修繕から始めるという割れ窓(ブロークン・ウィンドウ)理論を借りている。

こんないいタイトルなのにボーン・コレクター的な邦題をつけなくてもいいのにな、と思ったらディーヴァーがわざわざ日本向けに提案してきたのだという。サービス満点である。人間にとって、いまやデータ=魂なのだという意味もこもっているので悪くない。ひょっとして第二候補だったのかも。

でもね、「ウォッチメイカー」(こちらも原題は「冷たい月」だった)との関連とか、あまりに盛りだくさんなのでちょっと胸焼け気味。サービスしすぎじゃないかなあ。

コメント
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