hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

吉行和子「老嬢は今日も上機嫌」を読む

2008年08月05日 | 読書2

女優の吉行和子のエッセイ「老嬢は今日も上機嫌」2008年6月 新潮社発行を読んだ。

新聞などに掲載された2001年から最近までのエッセイを集めたものだ。内容はいくつかにわかれる。


なにしろ、父がエイスケ、兄淳之介、妹理恵も作家で、母はNHK朝の連続ドラマ「あぐり」のモデルというのだから、身辺雑記も面白い。現在100歳になろうというあぐりさんには驚かされる話が多い。
TVの旅番組などで良く見かけた岸田今日子、富士眞奈美との三人元娘もユニークな話が多い。このような有名な人の話は気楽に読める。


昭和初期の東京の町の様子など昔話が初めの方に少しある。生まれてから50年以上住んでいるという市ヶ谷あたりの様子や当時の家族の話が面白い。


吉行和子さんは、けっこうマイナーな映画や芝居を選んで出演しているようで、このあたりの裏話も私には興味がある。

そして、後半部には彼女の俳句などがちりばめられている。




私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)
多くを期待して読む本ではないが、文章もこなれて読みやすいし、内容も「ふむふむ」と読める。吉行和子さんのファンは、有名な知人との話も多いので、興味深いだろう。

以下、3つだけ抜粋(簡単化して)する。

母あぐりは91歳のとき彼女と一緒にメキシコに行った。それ以来、海外旅行に目覚めてしまい、ネパール、中国、ヨーロッパなどへ毎年行っている。

あぐりさんは大腿骨を折り入院したが、奇跡的に回復した。しかし、この間、妹の理恵さんがガンで亡くなった。これを知ったあぐりさんは声にもならない音を発してうずくまった。そして理恵さんの絶版の作品をすべて読み返し、一部を書き写し、一冊の本にして、一周忌の2007年5月に「青い部屋」として出版にこぎつけた。

役者の仕事は体力勝負だ。・・・私は子どものときから病弱だった。しかしこの仕事をはじめて半世紀も近づいて来ているのに、仕事に穴を開けたことが無い。・・歯が痛いのに病院に行く時間がつくれない。腫れが顔に広がり、ある朝、目が開かなくなってしまった。これでは無理だと電話したら、10分もたたず折り返しの電話があり、シーンを変更したからすぐ来いと言う。シナリオを変え、2、3発殴られて顔が腫れあがったことにしたという。







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