ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

私の兄様ね

2011-10-25 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義隆「なんで、泣くようなとこに行くの?」
義経「情けをかけに、」自分の心と引き換えに、俺たちの命を救いに「行ったんだ」…が、
義隆に、その意味を理解させるには、まだ早い。説明が難く、ポリッと頭を掻いた。
義隆「どうして、ねぇちゃんなの?」
義経「そういう所に生まれた。俺たちより、高い所で生きてんだ」
義隆「高い?」
義経「この舞台から、」立ち上がって…「たくさんの人が見えるだろ」
義隆「うん」
義経「アイツは、そういう目には映らない高い所にいる。それを、身分というんだ」
義隆「そこが、おこちゃまには、分からない世界?」
義経「あん?」
義隆「夢から覚めろって」
義経「…」
義隆「でも、池田さん、夢は見るだけじゃない。掴むもんだって」
義経「掴む場所が違う」自由の無い身分だから、俺たちの世界とは「住む場所が、違うんだ」
義隆「同じだよッ!一緒に、ここで稽古したッ」
義経「あのな、」こうなると、納得するまで長丁場だ「いいか、能子の事を考えろ」
義隆「じゃ、与一にいちゃんと池田さんは?」
義経「あ…」子供の言葉がストレート過ぎて、返答に困る「アイツらは、」
義隆「二人とも、ねぇちゃん、好きだッ」ぐいッ、袖を引っ張って「高い低い、ないッ!」
義経「俺に、どうしろって言うんだッ」バッ、袖を振り解いた。
義隆「何とかしてよッ!」
義経「なんとかって、お前…」ムチャクチャだ「…なら、どうする?」
かつて、清盛が俺に投げ掛けた言葉を、今度は、俺が自分の子供に投げ付けてしまった。
鞍馬寺で、これを見ろ、と系図を突き付けた。“お前なら、どうする?”って。
その言葉を投げ掛ける前、清盛が、
誰だ?
綺麗な…女の子を連れて来た。
「私の、兄様ね」小さい頭をペコッと下げて「はじめまして」ニコッ、俺に笑いかけた。
その顔と、声が…母上に似てる。妹?