ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

人が持つ、最大の強さ

2011-10-06 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
池田「君も…」だたの、ませガキか「好きだろ?」
義隆「うん、好き」教えてもらっていた足の運びをやってみせた。ただ、足がもたついて、バタバタうるさい…「どうして?俺、強くない。ねぇちゃん、守れなかった…なのに」ピタッと足が止めて「よくやったって…どうして?」
池田「守るとは、」扇を帯に差し「お傍に仕える事だ」
義隆「ねぇちゃん、泣いたッ」
池田「彼女は…」義隆の正面に座り「連れて行かれなかった」その小さい肩に手を置いた。
義隆「でも、泣いた!泣かせる奴は悪い。でも、止めれなかった…俺は、もっと悪いし、」
刀の鞘を「もっと、弱いッ」ギュッと握り締め、俺を睨んでいた。
池田「強さとは、力ではなく」握られた手を刀から外し「優しさだ」その掌を広げさせた。
義隆「優しさ…」
池田「人が二人、手を取り合えば優しさが生まれる」その小さな掌に、
「御方様の傍を離れなかった君は、強い」“仁・ひと”という漢字を書いて、
「それを、人は愛という」士道の精神『仁愛』の意味を教えた。
義隆「アイ…?」俺を見た、その目には涙が浮かんでいた。
池田「人が持つ、最大の強さで、」
浮かんで消えた涙で目の曇りが祓われたか、キラリと光輝く男の、美しい目になった。
「君が持つ、仁、という心だ」そして、再び、義隆の手を握らせた。
握られた拳の中の、義隆「仁…」を見つめて「あの人…、それが羨ましいんだね」
池田「羨ましい…?」
義隆「だって、夢って」
池田「夢…」
“夢見がちなおこちゃまには、分からない世界だろうな…”
義隆「そういうの、夢なんだ」
池田「…」
“分も弁えず、彼女を好いたか。哀れだな”
義隆「夢って、寝て、見るだけ?」
池田「違う。それぞれが、この手で掴むものだ」
義隆「じゃ」拳に、一層の力を込めて「放さない」
池田「そうだ」恐れ入った。この子…ただのガキじゃない。