ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

愛するだけ…無駄だった

2011-10-01 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
斯波「おっ」と、そこへ「ヒーロー見参ってか?」
兼雅「君…が」WANTED(お尋ね人)用紙の似顔を思い出して「…そうなのか?」
池田「花山院 藤原兼雅(かねまさ)…、様」
兼雅「…様を取って付けるのも失敬だな。ま…私を知るなら話は早い。彼女を返してもらう」
池田「裏に回り、彼女を連れて行くのは、どうかと思います」
兼雅「では、正門に軍を並べてお迎えに上がれば良かったかな?」チラッと彼女を見た。
能子「そ…」そんな…、池田「朝廷が、彼女にこだわる理由は何ですか?」
兼雅「後白河上皇がお倒れになったというのは?」
池田「先ほど、知りました」
兼雅「なら…、」
池田「第二の安徳天皇をお探しですか?」
兼雅「彼女の恵まれた“その血”と繋がりを政に生かそうとして何が悪い」
能子「恵…まれ、てる…?」私の血が?
カッと来て、すかさずッ、パッ、パーンッ
兼雅「ッ!?」
愛「男の風上にも置けないわッ」往復ビンタでひるんだ隙に、彼女と僕ちゃんを救い出し、
斯波「愛(めぐ)、ナイスッ」親指突き出し、Goodなポーズで褒めた。
兼雅「ッ…」頬を撫でて「どこにでも、似たのがいるもんだな」キッと小娘を睨んで、
愛「え?」グイッ、腕を引いて、
能子「す…」その子を後ろに下げて「すみません。この者たちは何も知らず、お咎めは…」
兼雅「女に…」頬を撫でて「殴られた等と報告出来るか。とにかく、一晩よく考えろ。どこで暮らせば幸せか」
義隆「幸せって、笑う事だッ」
兼雅「子供は黙って寝ろ。夢見る時間だ。大人になればイヤと言う夢から醒めた現実を見る」
恋や愛、幸せなど…だだの戯言。子は血のため、身分のために繋がり合う。それが、婚姻。
この身分のため、何人もの側室を持たされる。しかし、そこに愛などない。それが、現実。
「夢見がちなおこちゃまには、分からない世界だろうな…」
本当に愛した者と結ばれるのは、ごく限られた、恵まれた身分の者だけ。
自由な恋愛など許されない。愛するだけ…無駄だった。
この身分ゆえに、婚姻すら上から決められる。もちろん、生まれた子も同じレール上にある。