ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

医者と売薬と、膏売り

2011-10-17 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
慣れない着物に、つるッ、ステェンッ、すっ転んだ新米妓すみか「イ…タァ」ヘッドからスライディングして来た。顔を上げると、鼻をぶつけたらしく、
義経「やっぱり、お前…末摘花(すえつむはな)だな」鼻が真っ赤か。
すみか「そのッ!」鼻をこすり「使者の方がお見えですッ」
池田「…使者?」不審に思った「…取引…ですかね?」
斯波「俺が、行こう」と言ったから、「いえ、」と遮って、
土岐「私が行きます」守護代の斯波さんに何か遭っては…、そう判断して、
ひとり、玄関に向かった。その玄関先で…「珠ッ!?」
斎藤「君の、娘さん?」ポーン、紙風船で、一緒に遊んでいた、ポーン。
土岐「珠…向こうに行ってなさい」細い腕を強引に引っ張り、向こうに追いやろうとしたら、
珠「あん、痛いッ」紙風船が惜しいようで「ヤッ!」ぐずった。
斎藤「あげるよ」ポーン、紙風船を投げて、
珠「ありがと」足元に転がった紙風船を拾って、機嫌を取り戻し「バイバイ」手を振った。
斎藤「ばいばい」手を振り返し「かわいいね」小さい獲物から目を放さず、笑っていた。
土岐「用件は…」珠が向こうに行ったのを確認して「何ですか?」
斎藤「こちらに“名医”がいると、お聞きしまして」ポイッ、
小さいな小石のようなものを投げて来た。カラン…コロコロ、
土岐「こッ!?」足元に転がる「これ…」血の付いた歯。
斎藤「軽く殴ったら折れてしまって…熱まで出た。面倒で“弟”を処分しようと思ったら、」
土岐「弟…」匠君の歯を拾って、
斎藤「名医を呼べと言われました」
土岐「少し…待っていてくれ」奥に下がり、義経さんたちに匠君の事を伝えた。
義経「弟…?」池田を見て「兄貴を連れて来いってのか?」土岐さんの手の、
池田「歯…」を受け取り、くんと鼻に付く…膏(あぶら)の匂い?「分かりました、行きます」
「ちょっとタンマッ」ストップをかけたのは、
義経「冷…」
冷泉院「私が、行く」
池田「危険過ぎます」
冷泉院「アンタが行って安全なの?さっき、能子に止められたでしょ。それに、アンタ、医者じゃない」バサッと白衣を着込んで、白い頭巾を被り「ねぇ、池田君、鎮痛剤、残ってる?」