
かつてウイーン、ヴェルベレーデ宮殿に飾られてあったクリムトの「黄金のアデーレ」、絵のモデルの姪マリアによって返却訴訟を起こされて、アメリカに渡ったという実話に基づくお話である。
ナチスが侵攻してくるまで、ウイーンで裕福な暮らしをしていたユダヤ人のマリア一家は、ナチスの迫害に合い、マリアは両親を置いて、夫とアメリカに逃げのびる。
生家の居間に掲げられていた伯母の肖像画は略奪されて、50年間ヴェルベレーデ宮殿でオーストリアのモナリザとして展示されていた。
忌まわしい過去を葬って、ロサンゼルスでささやかに暮らすマリアは姉の遺品を見て、絵画を取り戻すべく弁護士と共闘でオーストリア相手に裁判に臨む。
老齢のマリア役のヘレン・ミレンの気高さと頑固さ、ときおり見せるユーモア。
ハンサムな若き弁護士とのやり取りも生き生きして人間らしく描かれている。
作り物のストーリーよりもはるかにサスペンス感あり、どこまで実話なのか疑いたくなってくるほど、波乱のある物語になっている。
4年前にウイーンに行ったので、街の様子や宮殿のクリムトの絵を思い出して、映像も懐かしかった。