彼は霧の正体をつかんだ。
霧は、航海にとって恐怖である。彼は考えた。身体を船のゆれに任せて考えた。自分の思考を包んでいる霧の恐怖について考えた。
『この俺がおののく恐怖は何なのだ。俺が感じたことのない怖さだ。俺は、このような臆病ではなかったはずだ。これまで幾多の敵と対峙して、怖さなど感じたことはなかった。だがおかしい。とにかく怖い、怖い、怖いといったら怖い。』
彼は、得体の知れないこの恐怖について懸命に考えた。
船は、帆に風をはらんで順調に航走している。背に当たる風が、船を押している、彼をも押していた。船は進む、俺も進む、進む前方には敵がいる。それを思い考えたとき、オキテスの頭中、心中、胸中の霧が風に吹き飛んでいた。
『よしっ!これでいい。恐怖が消えた。』
彼には、霧が覆い隠していた、恐れおののいた恐怖の正体が見えた。それが何であるか理解した。
『俺の心、俺の智、俺の技、俺のこの身体で解決できないわけがない。よし行くのだ、オキテス!』 自分で自分を押した。
恐怖は、単純なものであった。突き詰めて言えば『それは見えないことだ。未来が見えないことだ。何のことはない。未来が見えれば何の恐怖もない。恐怖が消える。』
彼は。モチベーションのスイッチを力強く押した。
霧は、航海にとって恐怖である。彼は考えた。身体を船のゆれに任せて考えた。自分の思考を包んでいる霧の恐怖について考えた。
『この俺がおののく恐怖は何なのだ。俺が感じたことのない怖さだ。俺は、このような臆病ではなかったはずだ。これまで幾多の敵と対峙して、怖さなど感じたことはなかった。だがおかしい。とにかく怖い、怖い、怖いといったら怖い。』
彼は、得体の知れないこの恐怖について懸命に考えた。
船は、帆に風をはらんで順調に航走している。背に当たる風が、船を押している、彼をも押していた。船は進む、俺も進む、進む前方には敵がいる。それを思い考えたとき、オキテスの頭中、心中、胸中の霧が風に吹き飛んでいた。
『よしっ!これでいい。恐怖が消えた。』
彼には、霧が覆い隠していた、恐れおののいた恐怖の正体が見えた。それが何であるか理解した。
『俺の心、俺の智、俺の技、俺のこの身体で解決できないわけがない。よし行くのだ、オキテス!』 自分で自分を押した。
恐怖は、単純なものであった。突き詰めて言えば『それは見えないことだ。未来が見えないことだ。何のことはない。未来が見えれば何の恐怖もない。恐怖が消える。』
彼は。モチベーションのスイッチを力強く押した。