『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  163

2010-03-08 14:32:05 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 海賊は、海域を行き来する船を、嵐の海を避難して湾に入ってくる船を、これらを餌食にして活発に活動した。これだけでは足らず、海岸に点在する漁村、集落を襲い、掠奪をほしいままにした。女、娘、子供たちまで連れ去った。また、この時代の交易は、掠奪と大差はなかった。物々交換の交易であり、物理的な力によって交換比率を決めていた。ギリシアしかり、フエニキアしかり、沿岸諸国の者たちは、有能な海上商人であり襲撃者であり、交易と海賊行為を器用に使い分け、都市国家建設を目的とした植民を遂行していったのである。
 この海賊行為を遂行していくのに使用した船は、他人の持船を奪い用立てていた。しかし、僭主を名乗る海賊上がりの領主は、小回りがきいて、船足の速い、一枚帆の喫水の浅い小型ギャレー船を造って海賊業に力を入れた。この船は、追われた場合には大型船の入ることの出来ないような岩の間の狭い水路に逃げ込めたからである。この船は、10人~25人くらいで操船し、スピードの最速は10ノット(時速19キロ足らず)くらいで航走できたらしいと思われる。ここに述べたことは、この時代の海賊の大まかな大雑把な説明である。