日守麟伍の和歌(うた)日記 Ringo Himori's Diary of Japanese Poetry

大和言葉の言霊の響きを求めて Quest for the sonancy of Japanese word

梅雨の歌3首

2016年07月13日 | 日記
 梅雨の時期は、長く降り続く日もあり、晴れ間が出たり、まとまった雨になることもあります。

 数日前、雨脚が弱くなったころに外出しましたが、帰りには本降りになり、雨宿りをしていました。歩道と車道の間に水が溜まって流れ、その中に、片羽を立てた黒い蝶が、帆船のように浮かんで、揺れながら、側溝に消えていきました。

あまみずの あさきながれに くろちょうの かたはをたてて うきゆられきゆ
雨水の 浅き流れに 黒蝶の 片羽を立てゝ 浮き揺られ消ゆ

(大雨で雨宿りをしていると、歩道と車道の間に溜まった水が流れはじめ、片羽を立てた黒い蝶が、帆船のように浮かんで揺れながら、側溝に消えていきました)

 同じ日、晴れ間に神社を通りかかり、すっかり乾いたベンチに座っていると、境内の周囲に植えられ、静かに佇んでいる梅の、雨に洗われた葉と幹が、強い日差しに深みを増していました。

おおあめの ふりあがりたる たまがきの いならぶうめの あおばのふかき
大雨の 降り上がりたる 玉垣に い並ぶ梅の 青葉の深き
(雨上がりの神社で、境内を囲んで静かに佇んでいる梅が、雨に洗われたあと、強い日差しに照らされて、深みを増していました)

 雨の止み間、遠く鮮やかに見える山並に、切れ続く雲と霧がまとわり、木々の葉々を深く潤しています。

やまなみに おおいまるわる くもきりの おとなくふかく はばをうるおす
山並に 覆ひまつはる 雲霧の 音なく深く 葉々を潤ほす
(山並に、切れ続く雲と霧がまとわり、木々の葉々を深く潤しています)

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