おしまいは,アイロンを使った乾燥法の話をしましょう。
下写真の紙料はススキです。
この場合はステンレス網から湿紙を離す必要があります。そこで,固定式の網に変えて,下の木枠に取り外せる網か竹簾かを載せ,さらにその上にチュール布をおいてから漉きます。こうして漉いた湿紙の上にもチュール布を載せます。つまり湿紙はチュール布に挟まれ,サンドイッチ状になった状態です。
このまま水切り板で圧を加えて,できるだけ水を切っていきます。一気に水切りをすると湿紙が変形する恐れがあるので,じわりじわりと両手で力を加えます。これはふつうの場合。
今回は時間を節約するために万力を使用しました。
その後,新聞紙で水分をさらに除きます。新聞紙を交換しても湿らなくなればOK。あとはチュールを外して,布で挟み,アイロンがけをします。紙の腰を強くするには薄めた膠液を塗るのがお奨めです。
アイロンがけは乾きムラが出やすいので注意が要ります。ムラが出たまま放っておくと紙が反ります。これを防ぐために,乾いたと思ったら本に挟み,重しを載せておきます。そうすることで熱が紙全体に均一に行きわたることになります。結果,フラットな紙になります。下写真の紙の出来はまあまあです。
これでススキ紙の出来上がりです。