自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

秋の“虫の目”写真(17)

2015-12-06 | 随想

ふしぎなほど暖かな秋でした。例年なら霜が降りるか,初雪がちらつくか,そんな頃なのに,その気配すらしませんでした。そしてそのまま,暦のうえでは冬を迎えてしまいました。

ほとんどの昆虫にとって厳しい寒さが訪れます。秋,あれだけ活発に行動したカマキリにも,平等に寒さが襲いかかります。といっても,カマキリはこの寒さを卵で乗り切ります。子孫を卵に託した成虫は,ただ静かにいのちを終えるだけです。

この成虫を見かけた場所は,河川敷に植えられたサクラの幹。もう「待ったなし」で迫る冬を前に,なんとも鈍い動き。自然のまま,あるがまま。死を直前にした姿です。

この個体を入れて撮りたいと思ったのが,初冬の田舎風景。しかし,昆虫であってもそこはいのちの大変化を感じる場面です。ついつい厳かな気持ちになっていました。


のっそりのっそり歩き始めたとき,遠景も入れて撮りました。長い鎌が伸びてい輝いています。野に棲む昆虫の王者といった風格が漂います。これまで存分に使ってきたでしょうが,もう使う必要はなさそう。 


からだをぐうっと上に向けて姿勢を変えました。そうして,またしばらくそこにじっとしたまま。 


澄み切った青空のもと,心地よいひとときが過ぎていきました。カマキリには,今年も撮影でずいぶん助けてもらいました。感謝,感謝。 

 


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