自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

“花と実(タネ)”とジャガイモとわたし,よもやま話(2)

2013-12-11 | 随想

教え子と話す機会が,ときにあります。ジャガイモを扱った学習がよほど印象に残っているのか,「ジャガイモの実を探しに行きましたね。忘れられません」「『ジャガイモの花と実』の本が忘れられません」といった類いの記憶が語られることがあります。わたしはその度に,ニンマリします。

 

この本は板倉聖宣さんの著書で,ジャガイモに目を当て,花と実の役割についてたいへん丹念に書かれています。板倉さんの追求心がキラキラしていて,どこまでも真理を解き明かそうとする姿勢がみなぎった好著です。すぐれた児童書はおとなにもすぐれた“知”を提供してくれます。そんなわけで,わたしの宝にもなっています。

それに,取り上げられたトピック中チューリップの実・種子の話もわたしの好奇心をくすぐりました。その周辺の話題については後日取り上げることにしましょう。

この本とは別に,もう一つ決定的な刺激を与えられた資料があります。それは極地方式研究会作成によるテキスト『花と実』『花とたね』です。これは花と実の関係を系統的に,体系的に順序だてて学習プラン化されたものです。おもしろい材料がたっぷり取り上げられ,たのしい問いかけがどっさり詰まっています。わたしにとっては,バイブル的存在になりました。

これら二つから大きな刺激を受けて,『花と実』をわたしなりに教材として仕上げていこうと思い,何年もかかっていろんな植物を相手にしながらあれこれ考えてきました。そして,それらを貴重な材料として蓄積していったのです。その例をいくつか,数回に分けてご紹介しましょう。

まずその1。ジャガイモの市販種子。商品名は『シードポテト』といい,大手種苗会社から販売されていました。ふつうの種と同じように紙袋に入っていました。ただ,扱いが難しいのか,テープに種子が貼り付けてあり,テープ付きの状態で植えるようになっていました。播種したものの,結果は期待外れ。

結局,小さな種子は扱いにくく,発芽期に細かな作業をしなくてはいけないため,普及しなかったのでしょう。今はもう販売されていません。我が国の栽培環境には合わなかったのです。

最終的には,今,発芽の予備的実験観察を試みていること,そして来春本格的実験観察を行うことで,素材としてのジャガイモの価値云々について結論が出るでしょう。ここまでで40年経ったことになります。

 


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