今年,これまでに撮った写真及び記事をご紹介できないままになっているものがたくさんあります。中断したままのシリーズもあります。主な理由は次々にネタが生まれてきたからです。冬になってようやく落ち着いてきました。時間を見つけながら,今後それらをすこしずつ記事アップしようと思います。季節に合っていない感じのものがいくつもあります。ご了解ください。
今日の記事はこのうちの一つです。
ふつうトノサマバッタは警戒心が強くて,近づくと敏感に察知して遠ざかります。よほどのことがない限り,こちらを寄せ付けないといった方がよいぐらいです。よほどのときとは,たとえば産卵真っ只中のようなときです。
ところが,そうでもないふつうのときに至近距離から顔写真を撮るチャンスに恵まれたのです。意外でもあり,幸運でもありました。なぜそんなふうになったのか,まったくわかりません。
それは公園の荒れ地で体験した話です。そこを歩いていると,ふいにトノサマバッタがびっくりしたように飛び立って脇のササ林に入り込みました。しばらくして同じ場所に戻ってみると,たぶん同じ個体と思われるトノサマバッタが足元でぴくっと動いたのです。荒れ地に生える草を食べようと思って戻って来たのでしょう。
それで,わたしは顔写真が撮れないかなあと思い,カメラを近づけていきました。そうしたら,まったく動きません。気がついていないのでしょうか。よく見ると,右眼が変形しています。それが関係しているのかもしれません。わたしの動きはそれこそわずかなもので,ちょっとちょっとの連続です。気づかれないように,気づかれないようにとの思いで撮影を続けます。
葉を食べ始めました。とてもふしぎな光景に見えました。
逃げる様子がないので,思い切って指に載せてみました。なんと載ったのです。
逃げる素振りはまったくなし。
真正面からも。ふしぎなふしぎなひととき。
トノサマバッタはやはり殿様,貫禄十分。