ジャコウアゲハの食欲ぶりについてはもう何度も取り上げたのですが,とにかくあきれる程のそのすさまじさについて再び書いておきましょう。
一つの植木鉢で育てているウマノスズクサがぐんぐん伸びて,蔓の高さが2mに達しました。これぐらいだと数個体の幼虫を養えると思い,そうすることにしました。
ところが,ところが。なんと蔓の途中を食べて切ってしまったのです。これでは,切れた部分から上の方は枯れてしまうでしょう。もちろん,そこにも幼虫はいます。幼虫は取り残された状態になりました。幼虫はまったく無頓着で,そこに食草があれば手当たり次第,口次第で食べ尽くしていきます。
あるとき,畑で作業をしていると,よき協力者であるヨッさんが通り掛かられました。わたしに気づいて停車。そして自動車から降り,こんなことをおっしゃいました。
「アゲハはウマノスズクサをよう食べるなあ。植えとった草をまたたく間に食べてしもたわ。それで,これではもうもたへんと思うて,結局,草を採ってきて,水に挿して,そこに幼虫を置くことにしたんや。今度は,もっと 植えようと思うとるんや。やり始めたら,おもしろうて,やめられへんなあ」
生きもののいのちを感じる,ほんの小さな行為・行動です。手を動かすことで,新しいなにかと出合い,ふれ合うことができます。それをジャコウアゲハは約束してくれるように思うのです。たとえ旺盛過ぎる食欲であっても,です。
同じ事実を分かち合い,しばし語り合える共感者があるというのは,ありがたいものです。