ジャコウアゲハが庭で食草ウマノスズクサを探し求める様子を書いておきます。
繰り返しますが,アゲハ(メス)は目で食草を見つけるわけではないという点がポイントです。あくまで,前肢の触覚毛を使うということを念頭に置いて,その動きを見ている実態がとじつによくわかってきます。と同時に,アゲハの気持ちが,です。
食草を手当たり次第に確認するのですから,草に触らなくてはなりません。それで,草が生えている辺りをすれすれに飛びます。適当に素早く,適当にゆっくりと。
庭には,とにかくいろんな雑草が生えています。カラスノエンドウ,ホトケノザ,ハコベ,ドクダミ,……。それをいちいち確認していきます。スイセンやクレマチス,そんな花壇の葉も。さらには,タケやサザンカ,レモン,ボケ,ツゲ,マンサクといった木本植物も対象になります。
引いて乾かしている草にだって,近寄って確認しようとします。とにかく多岐にわたっています。
ずっと見ていると,低空飛行が得意だなあとつくづく感じます。
草がすこしでもあれば,そこを目がけていきます。溝に生えた草にだって。草は,たぶんですが,色で見分けているのではないでしょうか。 わたしたちが見る緑を,共通のシグナルとして感知できているにちがいありません。
アゲハは子孫を残すのに必死なのだなと納得できます。
おしまいに,ついで話を一つ。ウマノスズクサのことなのですが,わたしたち人間の嗅覚でその存在がかすかに感じとれます。確かに,です。特有の匂いが鼻に漂ってきます。葉を手で触っていると,手にも匂いが付きます。このことについてきちんと書いてある記事を読んだことはありません。なぜなのか,ふしぎです。