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自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

葉を広げるヒガンバナ(続々)

2013-01-20 | 生物

庭の片隅にヒガンバナを植えています。といっても,植木鉢の話です。4,5年前に畦で変種を見つけ,5球ほど掘り起こして持ち帰ったものです。それが,どんどん殖えて,今では鉢が手狭になっています。いったいどれぐらいの数に殖えているのでしょう。

そんなふうな関心を持って,畦のヒガンバナを一株掘り起こしてみました。選んだのは平均的な大きさの株で,植木鉢のものと似通っています。

結果,36個ありました。

球根をよく観察すると,ごく小さなもの,とくべつ大きなもの,ふつうのもの,いろいろあります。小さなものからは葉が2枚出ています,かなり大きなものになると,10枚以上出ているものもありました。大きな球根を横に切ってみました。すると,中には数個の球根がすでに準備されているところでした。今の時期,葉で養分をつくり,球根にそれを貯えて,分球に向けた営みがせっせと進行しているわけです。球根によっては,1つのものが一気に4,5球にもわかれることがわかります。

こんな調子ですから,植木鉢のヒガンバナをこのまま放置しておくと,鉢からあふれ出すほどの株を形成するでしょう。

ヒガンバナはたくましい生活力を持っています。少々切られようとちゃんと生きていきます。球根が殖えれば殖えるほど地中をしっかり占有して広がっていきます。地上に放置されていても生命力が旺盛で,根で土をつかまえ地中に潜っていきます。10年,20年も経てば,相当大きな株になるでしょう。10年あるいは20年という期間は,植物の生命史を考えるとほんの一瞬に過ぎません。

そんな調子ですから,畦や土手が崩れるような事態を迎えたときは分布を広げる好機会になります。ヒガンバナはあちこちにばらばらになるチャンスが来るときまで,何十年もじっと耐えているのです。ただ,環境が大きく変わることは土地を管理している人にはたいへん厄介な非常事態でもあります。

そう考えながらヒガンバナの群落を見ると,したたかで大した植物だと思えてきます。