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自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

またアゲハ,孵化

2017-09-06 | アゲハ(ナミアゲハ)

孵化を間近にしたアゲハの卵を採取。持ち帰って孵化を撮影することに。

卵の孵化時を迎えました。この場面を撮影するには,辛抱強く観察を続けなくてはなりません。「せっかくのチャンスを見逃した!」なんて苦い経験は何度もしてきました。

小さな穴が開き始めると,どんどん穴を大きくなります。穴が大きくなると,休むことなくそのまま出て来ます。

 

出始めると,すっかり出てしまうまで休むことはありません。

 

透明感のある胸脚が葉の表面に突き立っています。

 

腹脚が着きました。これで誕生!

 

しばらくして別の卵が孵化。

 

どの幼虫も似通った動きをします。 

 

出終わると,ほんのひとときじっとしています。「やれやれ」といった様子が読みとれます。 

 

あとは,第一食として卵殻を食べるのです。この行動も同じ。1mmの世界のふしぎが広がります。 

 


アゲハの卵,その外敵

2017-08-14 | アゲハ(ナミアゲハ)

アゲハの卵を観察していると,外敵にやられたのだなあと思う例がかなりあります。その例にはいろんなパターンがあり,けっして外敵は限られていないことがわかります。

下写真の例もその一つです。寄生バチが中から出て行ったのです。穴がないのに真っ黒になった例はたくさんあります。それらの卵は孵化することはありません。

 

久しぶりに見たのが下写真の外敵です。名前はまだわかりません。卵にたいへん関心を持った行動ぶりが印象に残ります。

 

動き回るというより,だいたい同じ場所にいてわずかに動く程度です。

 

卵に穴を開けているのかどうか,それはわかりません。

 

卵を置いておいて,孵化まで至るかどうか確認しようと思います。

微小世界には想像以上の営みがあります。ふしぎな世界です。

 


撮影タイミング,アゲハの孵化

2017-08-13 | アゲハ(ナミアゲハ)

観察を重ねて慣れっこになったチョウの場合,孵化への道筋は大まかにはわかります。したがって,間もなく孵化するだろうと予測することができます。予測できたら,気を抜かないで確認を続けていけば得たい画像を確実に撮影できるはずです。

はずです,というのはそうだとばかりはいえないからなのです。

いつも「もうすぐだ」というわくわく感を抱きながら撮影チャンスを待っています。ところが,ときには,その場を離れてしまうときがあります。用ができると,どうしても離れざるを得ません。そうしたときに限って,もう孵化し終わっているといった事態が起こりうるのです。これだけは,もうどうしようもありません。これまでに,何度こんな目に遭ってきたことか。

結局,それまでに払ってきた注意が徒労に終わるのです。

つい先日もそうでした。アゲハの卵の「これはもう孵化直前だ。いつ孵化してもおかしくない」という状態で撮影したのが,下写真です。

 

その場を離れたのが30分。戻ってみると,出終わっていたー! なんと,出たばかり! 殻に開いた穴がなんとも無情!

 

同じ日の夜。同じ失敗をしてしまいました。下写真の幼虫の背景にあるのは,卵殻です。

 


この日はショックでした。終わったことなので仕方ありませんが,これも油断のうちなのだろうなと反省しきりです。それほど,生きもののいのちと向き合うこと,それを観察することには気苦労がいります。

 


アゲハとアゲハヒメバチと

2017-06-14 | アゲハ(ナミアゲハ)

ミュージアムにわたしが持ち込み,飼育展示していたアゲハの話です。

蛹になった3個体の羽化をたのしみにしていたところ,寄生バチが飼育ケースにいるのを発見。アゲハヒメバチです。とにかく撮影だけはしておこうと思い,撮ったのが下写真です。

 

寄生バチだけあって,触角をしきりにピクピクと小刻みに動かし続けていました。

 

ケースの縁まで行くと,ヒメバチはさっさと飛び去りました。

そのあと蛹を見ると,大きな穴がぽっかり。ということは,この中からアゲハヒメバチが出て来たということです。さらにさかのぼると,幼虫時に体内に卵を産み付けられていたということになります。

 

幼虫は蛹になるまではなんとかいったものの,その後の経過はヒメバチの筋道に巻き込まれたのです。なにも知らない幼虫にはお気の毒な現実です。種としてのアゲハは,こうした事態を当然織り込んで産卵しているでしょう。それにしても厳しい摂理です。

そういえば,ジャコウアゲハの蛹でもよく似た穴を何度も見かけました。たぶんこのヒメバチの被害に遭ったのでしょう。

 


アゲハの産卵行動

2017-05-23 | アゲハ(ナミアゲハ)

アゲハの庭園に植えている柑橘類はレモン,キンカン,スダチ各一本。新芽が伸びてくると,アゲハが産卵に訪れます。果実をたのしむのは程々でよいので,チョウには格好の棲み処になってほしいと思っています。それがこの庭づくりのたのしさでもあります。

知らぬ間に産付された卵を見つけると「あっ,やって来たんだ」と愉快になります。この目で目撃するともっと愉快になります。

ところで,産卵行動をしている姿を近くから撮影するのはなかなかむずかしいものです。それが至近距離ともなるとさらにむずかしくなります。至近距離から構図まで頭に入れて写すとなると,もっともっとむずかしくなります。

たまたま庭の手入れをしている最中に,アゲハが飛来。こういうときのために腰に携行しているコンデジを取り出して撮影開始。コンデジなので,すばやく状況に対応するためにオート設定で写します。もたもたしていると,アゲハが舞い上がっていきます。警戒心を持たれないようにしつつ,速やかに写さなくてはなりません。

下写真はすべて,同じ時間帯に同一個体を撮影しました。産卵に懸命だったのが幸いして,複数枚写せました。

翅をパタパタ。梢の新芽に産み付けています。

 

 
場所を変えました。

 


また場所を変えました。 

 


さらに移動して産み続けます。 

 


もうすこし近づいて撮りました。翅の動きをひととき止めてゆっくり産卵しました。腹部を覆う毛が削り取られています。苦難の道を辿ってきたのでしょう。 


またまた場所を変えました。 

 
同じキンカンで何度も移動しながら,そしてキンカンからレモンに移動しながら,産み続けました。これだけの反復は,観察経験の中ではとても珍しいといえます。それだけ体力の限界を知りつつ,懸命だったのかもしれません。 

 


アゲハの卵,孵化へ(続)

2017-05-11 | アゲハ(ナミアゲハ)

5月7日(日)。快晴。

庭のキンカンの木で,偶然,孵化直前のアゲハの卵を発見。「これはいい。孵化瞬間を見逃せないぞ」。そんな気持ちがわぁーっと膨らんできました。


接写で撮ると,様子がよくわかります。


このあと,畑に行って農作業。そこに植えているレモンの木で,アゲハの卵を一粒発見。色を見ると,産付後日が経っているようです。


一つ目の卵を採集して観察することに。大変化を見逃すのはもったいない。さっそく夜に入って,孵化が始まりました。わくわく,です。

 

 
スルスルと出て来ました。

 

 
柑橘類の新芽はまだ伸び始めたばかり。これから,成虫が盛んに訪れるはず。たのしみです。今はこの2つ目の卵に注目しておきます。 

 


アゲハの卵,孵化へ

2017-05-07 | アゲハ(ナミアゲハ)

4月30日(日)。朝,庭のレモンの木でアゲハの卵を3個発見。3つとも新芽のごく近くに付いていました。たぶん,同じアゲハが産み付けたものと思われます。レモンの芽生えと重なるようにして,アゲハの季節の到来です。

 


5月1日(月)。薄い黄色みを帯びてきています。


新芽ということが,アゲハにはよくよくわかるようです。前脚の先が触れると敏感に化学反応を起こすことから考えると,反応物質が葉の表面から出やすい状態にある,あるいは反応物質が揮発性をもっているということでしょうか。


新しければ,茎にだって。


5月3日(水)。いくぶん色が濃くなってきました。 


5月5日(金)。朝見ると,孵化直後でした。殻から出て静止状態の幼虫。色が薄めです。

 
殻を食べ尽してじっとしている幼虫。しっかり食べて,えらい,えらい。


孵化してからやや時間が経っています。色が濃くなっています。 


3個体はまちがいなく,同じときに産み付けられたきょうだいでしょう。

今後,レモンの木には産卵が続くはず。今回の卵はそのはしりです。産卵を見守っていましょう。

 


春型アゲハ,初見

2017-04-06 | アゲハ(ナミアゲハ)

勤務先ミュージアムのある公園で,アゲハを見かけました。これが今春の初見となりました。日頃,園内ではめったに見かけないので,こんなに早い出現にびっくり。

アゲハは春型で,とても小さなからだつきをしていました。それがなんと地面すれすれに咲いたタンポポに舞い降りて,口吻を伸ばしていたのです。 


わりあい長い間同じ花にいたので,近づきながら撮影しました。撮影しながら近づいた,そんな感じです。 


地面とアゲハだけでは環境がわかりづらいので,すこしでも遠景を取り込みたいと思って撮ったのが下写真です。まあなんとか一枚,記録できました。花に伸びた口吻もちゃんととらえています。 


これから昆虫がわんさか出てくるでしょう。観察者としては大忙しです。

 

 


続く,ナミアゲハの孵化

2016-07-05 | アゲハ(ナミアゲハ)

畑のレモンの木にはナミアゲハの卵がどっさり。“どっさり”と表現できるほど,あちこちに産み付けられています。卵はたいてい若い葉に付いています。その枝に,目印としてビニル紐を付けています。そうしておくと,卵一つひとつの様子が順を追って,速やかに確かめられます。

今,アゲハの孵化が続いています。たくさん孵化すれば,その瞬間を確実に撮影できます。そんなよき例をご紹介しましょう。

6月25日(土)の早朝のこと。「あっ,殻に穴が開き始めとる! 急いで撮影や!」。大急ぎで持ち帰って撮影準備に入りました。

 

 
上写真を撮ったときから,下写真までは1時間。やっと出始めました。


頭部をぐーっと伸ばすようにして着地点を探しているかのよう。 


細い隙間から出るのは苦労があるようです。 


再び,身を乗り出すようにしながらからだを前方に突き出します。脚が出てきました。透明感のある脚が初々しさを物語っています。 

 
ついに着地!


出終わったあとも卵殻の周りをうろついていました。殻に口を付けることもありました。しかし,淡泊にも,卵殻を一切食べることなくその場を去って行きました。


明るいうちに,こうした光景を観察できるのはハッピーなことです。 

 


いのちの大変化,待つたのしみ

2016-06-19 | アゲハ(ナミアゲハ)

わたしが生きものいのちを感じるのは,「食べる」「ウンコをする」「産む」「生まれる」「脱皮する」「……」,そんなふうになんらかの動きがあるときです。瞬時の出来事といってもよいぐらいです。そのときに,生きものならではの変化が見え,生態をとらえる貴重な情報が得られる気がします。

瞬間に生起する事柄は偶然目撃できるかどうか,そんな偶然性にかかっています。たまたまそこに居合わせなければ目にとまりません。目にとまっても,カメラがなければ映像として記録できません。

先が読めて,だいたいいつ頃に次の変化が起こるか予測できる場合は,あらかじめこころづもりができます。それでも,ささいなミスでご破算になる場合があります。わたしのミスでチャンスを逃した最大の例は,イシガケチョウの卵の変化を追うというものでした。産み付けられた状態そのままで変化を観察したくて,放置していたのです。ある日,見ると卵の姿が見当たりません。外敵に襲われたのです。この地方では珍しいチョウなので,ほんとうにがっかりしました。

チャンスを見逃した最近の例をもう一つ。アゲハの孵化を追って観察を続けてきて,間もなく孵化するなと予測されたとき,事情があって30分間その場を離れました。


その間に,殻に穴を開けて誕生,そうしてすでに卵殻を食していたのでした。ずっと待っていて,最後の最後に肩透かし! なんともお見事な誕生物語です。マアこういう例は何度も何度も経験済みなので,きっぱり自己責任に帰するほかありません。さほどに,いのちの展開というものは順序が決まっているにもかかわらず読みにくいものです。


ということで,今,アゲハの孵化を撮るたのしさにはまっています。6月19日(日),畑に植えているレモンの木でたくさんの卵を発見。いくつも! これだけあれば,孵化の決定的瞬間が狙えそうです。


いのちの大変化は生きもののからだの大きさに関係なく起こります。いのちの営みはからだの大きさによらず尊いものだと,わたしは思っています。とりわけ,今のわたしには小さないのちの行方がとても気になるのです。