『鏡の影』初版は一九九三年新潮社から刊行され、九九年、平野啓一郎氏の『日蝕』が芥川賞候補となった直後、絶版になった。その後新潮社は同社文庫から出ていた『戦争の法』も絶版にしたが、こちらから問い合わせるまで一切の連絡を行わず、また、担当編集者との約束をふまえて約一年間の海外調査を行った『メッテルニヒ氏の仕事』の掲載ばかりか出版まで拒否した。著者は新潮社との交渉を試みたが、誠意ある回答が得られなかったため、二〇〇〇年一月、残る『バルタザールの遍歴』の版権を新潮社から引き上げた――。 (「あとがき」より)
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