25年以上古い本ですが、III型アレルギーについての記述がありましたので、書き留めておきます。
The complete guide to food allergy and intolerance by Dr Jonathane Brostoff and Linda Gamlin
2008年の改訂版
I型アレルギーは、おなじみのIgE抗体と、マスト細胞(肥満細胞)による即時型アレルギーで、
マスト細胞の脱顆粒による、嘔吐、下痢、そして皮膚の湿疹。
III型アレルギーは、血液中に存在する大量の抗原に対する抗体が産生されたときに起こる。
食べ物の場合は、食後、未消化の分子が腸壁から血液中に入るが、これは健康な人にも起こっているが、
食品に過敏な人は、腸壁がリーキーなため、より多くの未消化な分子が入る。
血液中では、抗体と結合して、免疫複合体を作る。すると、食細胞がやってきてこの複合体を食べて処理をする。
もし、免疫複合体が大きすぎ、かつ数が多すぎると、食細胞の機能が追いつかずに、III型アレルギー、あるいは血清病となる。
健康な人の場合、食物に対する抗体は、主に、IgAであり、IgAは、他の抗体と異なって、補体を活性化しない。
もし、何か不具合があって、食物に対する抗体がIgGになってしまうと、食事の後に、食物からの抗原と、IgG抗体が、補体を活性化して、炎症を起こす。
この抗原抗体補体の複合体が血管に沈着すると、血管壁にダメージを与える。
この免疫複合体が引き起こす症状は、全身性エリテマトーデスの症状と似ている。
皮膚の発疹、関節痛、腎臓と肺へのダメージ。
これらの症状は、沈着した免疫複合体が毛細血管に炎症をおこすために引き起こされる。
関節痛は、関節に血液を供給する毛細血管が炎症し、痛みを引き起こしている。
腎臓では、免疫複合体が、血液を濾過する重要な役割を持つ繊細な膜の周りに沈着する。
この膜の仕事は、過剰な塩類やある毒性化合物を血液から取り除き、尿として排出することである。
血液中のタンパク質は通常は尿へと放出されないが、腎臓の構造にダメージがあると、放出される。
これが起こると、貴重なタンパク質が尿として失われ、特に子どもでは健康が阻害される。
腎臓の不全は、過剰の水が保持されることを意味し、身体のあちこちで腫れがおこる(浮腫)。
食物由来の免疫複合体が、腎臓のダメージを起こすかは、議論の的であり、日本とアメリカの2つのグループが、研究している。(合成食品で、タンパク質が分 解されているものを、あるタイプの腎臓の病気の子どもに与えると、症状がなくなり、普通の食事に戻すと、何人かは、症状が戻った)
この場合、最も問題となっているのは牛乳である(子どものアレルギーの一番よくある抗原)
この子どもたちは、他の食品にもアレルギーがあったり、花粉にもアレルギーがあることもある。
さらに、環境の化学物質にも敏感な子もいる。
これらの子には、除去食は有効であった。中和治療(食品の抽出物を皮下注射または舌下におく)が有効なケースもあった。
このような腎臓に問題のあるケースは、稀であり、ほとんどの腎臓疾患の原因は他にある。
腎臓の問題が、食物アレルギーかどうかは、まだ、はっきりと結論付けられない。
血管の壁で炎症が起こると、血管は透過しやすくなる。
炎症が軽度で、毛細血管だけに影響を及ぼす場合、症状は、蕁麻疹だけであろう。
この場合、血管からリークするのは、液体だけで、その中に含まれる細胞は少ししかない。
炎症がもっとひどい場合は、血管はよりリーキーになり、赤血球や白血球も周りの組織にエスケープする。
血管炎であり、毛細血管だけでなくより大きな血管でもおこる。
血管炎の最初のサインは、水が組織にリークすることによる浮腫である。
全身に浮腫があると、体重が24時間で5kgも増えることがある。
疼痛も伴うかもしれず、特に、脚におこる。それは、消えたりまたでできたりする。
症状が更に悪化すると、血管はもっとリーキーになり、最終的に破裂する。
赤血球が組織に沁み始め、外からも、小さな赤いスポットとして見える。その後、赤色は紫や黒になる。
そして最後に消える前に黄色になる。(打ち身のときと同じような色の変化)
この病状は、紫斑病と呼ばれる。
血管炎は、すぐに治療しないと、重症で元に戻らなくなる可能性がある。
血管炎の原因はたくさんあるので、血小板の不足など、他のの原因がみつからないときは、食物アレルギーを疑うことになる。
免疫複合体は、心臓において炎症を起こすこともある。この場合、筋痙攣、不整心拍、脚の重度に痛み、指や足の指の血行不良、視力喪失、発作、片側の麻痺。
しかし、これらの症状を有する食物アレルギーの患者は、とても稀であるし、ある医師は、存在しないといっている。
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