新型インフルエンザワクチン接種後のナルコレプシー発症のメカニズム
元六号通り診療所所長の石原先生のブログで、インフルエンザワクチンとナルコレプシーの分子擬態についての論文の解説をなさっています。
(ホルモンズマターのマーズ博士も、分子擬態についての記事で紹介している論文です)
この病態に関連するアレル遺伝子は、DQB1*06:02 と報告されており、欧州では、グラクソスミスクライン社のパンデミックスワクチン接種後にナルコレプシーを発症した子供たちのほとんどがこの遺伝子を保持していました。
この遺伝子のアレル頻度は14%程度で、保持率は22%前後ですが、パンデミックス接種後のナルコレプシーの発症率は、1万人に1人程度でした。
2014年1月に
DQB1 locus alone explains most of the risk and protection in narcolepsy with cataplexy in Europe.
DQB1*06:02の遺伝子座だけで、説明可能としている論文が発表され、その後
2015年1月の論文で
HLA-DQ Allele Competition in Narcolepsy: A Comment on Tafti et al. DQB1 locus alone explains most of the risk and protection in narcolepsy with cataplexy in Europe
DQA1*01:02とDQB1*06:02とで作るダイマーが、原因ではないかと再考しています。
HLAクラスII分子は、以下の図の左側にあるようにダイマーを作って、抗原提示します。
http://jsv.umin.jp/journal/v52-2pdf/virus52-2_251-255.pdf
分子軌道法を使ったシミュレーションをしているグループもあるようですね。
http://molsci.center.ims.ac.jp/area/2007/bk2007/papers/2P050_w.pdf
これと、MHC分子を合わせた研究ができるようになるのはまだまだ先でしょうか。