葉月のブログ

命題:ウイルスの糖鎖はヒトの糖鎖と同一なので病因とはならない

核酸の修飾の危険性を考察する

2023-11-03 | 編み物をしながら考えたこと
前回の論文で、緑色蛍光タンパク質のmRNAをインビトロで転写をしたときのmRNAの品質管理にナノポアシークエンスを使用した時、 N1-メチルシュードウリジンだと上手くいかないという議論をしていました。




この結果について、レビュアーの1人が、
これは、配列決定が不正確なのか、あるいはT7転写におけるエラー率なのかと疑問を呈しています。

つまり、N1-メチルシュードウリジンを使うと、転写がうまくできなくなるのではないかという疑問です。

荒川先生のNoteでは、ウリジンをN1-メチルシュードウリジンに置換すると相補鎖への粘着度が上がることの説明がありました。



転写では、DNAとRNAが相補鎖を作って解離するを繰り返しているわけですから、N1-メチルシュードウリジンにすると解離するためのエネルギーが多く必要になります。生成されるmRNAに不具合がでることは容易に予想できます。

論文の著者は、電気泳動の結果では、修飾なしのウリジンとの違いがないので転写は問題なく行われていると仮定しています。

もう一度、電気泳動の結果を精査してみますと、下の修飾ウリジンのピークの方が、幅が広くなっていることがわかり、試料が不均一、つまり、基準のmRNAよりも分子量が大きいものと小さいものが混入していることが疑われます。また、ピークの位置も、分子量が小さい方へ若干シフトしていますし、前回述べた右側の肩も観察できます。

ただし、ナノポアシークエンスに見られた断片はピークとして観察されていませんが、この断片が、大きなmRNAに粘着して、右側の肩として観察されている可能性はあります。






転写時の問題なのか、分析時の問題なのか、あるいは両方に影響を与えているのかははっきりしませんが、N1-メチルシュードウリジンがシチジン(C)と間違えられていることははっきりしています。





そういえば、以前紹介した、核酸の冗長性の話でも、ウラシルがシトシンとみなされる修飾はありました。

これと同様のことが起こっていると、N1-メチルシュードウリジンのmRNAのタンパク質への翻訳は、実際問題、めちゃくちゃなタンパクを作ることになります。

幸運なことに5’端キャップ構造も分解しているようなので、まず、タンパク質に翻訳されることはないと思いますが。

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