葉月のブログ

命題:ウイルスの糖鎖はヒトの糖鎖と同一なので病因とはならない

ライデン大学の論文から新型コロナウイルスの変態ぶりを考察する その4

2020-06-26 | 新型コロナ

ライデン大学で、VeroE6細胞を使用してオーストラリアの単離ウイルスを継代培養したとき、ウイルスが変異したことを「その1」でご紹介しましたが、その変異部分について補足します。

下の表のS5p1が、オーストラリアの単離ウイルスと同じゲノムを持つワイルドタイプで、プラークアッセイでは小さいプラークを形成たものです。

大きいプラークを形成した変異ウイルスは、L8p1で、変異はスパイクタンパクのフーリン様切断部位でした。




この切断部位は、以下のようになっています。
Current Biology 30, 2196–2203.e1–e3, June 8, 2020 


この切断部位は、RmYN02のコウモリを例外としてSARS-CoV-2に特異的なもので、パンゴリン、コウモリ、SARS-CoVにはありませんでした。

ライデン大学で変異したウイルスは、この部分の682のRがQに変わったものでした。

ライデン大学で、継代培養をさらに続けたときのサンプルが、S5p2とS5p3になり、
継代するに連れ、675-679の5個のアミノ酸欠失、679-688の10個のアミノ酸欠失しているウイルスが増えています。

大きいプラークはR682Qの変異で安定して継代されていくのに、小さいプラークは、一部が大きいプラーク、一部が5個のアミノ酸欠失、一部が10個のアミノ酸欠失、さらに一塩基変異のものが多数(ただし、変異はRのみ)という不思議な現象が起きているようです。

フレームシフトしない塩基の欠失の方が起こりやすいというのがよくわからないのですが。

同じような変異はすでに中国の患者や、細胞培養ウイルスでも報告されています。
広州CDC
Identification of common deletions in the spike protein of SARS-CoV-2



シンガポールでは、382個の塩基が欠失して、ORF8がほぼ消失している

米国アリゾナでは81個の塩基が欠失して、ORF7aがほぼ消失している

やっぱりキメラなのだろうか?

参考
SARS-CoV-1 2002年のSARSでのORF8の欠失


The spike glycoprotein of the new coronavirus 2019-nCoV contains a furin-like cleavage site absent in CoV of the same clade



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