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ジェンダーギャップ。社会的役割を求めすぎてはいないか?

2022-04-16 22:14:44 | アラカルト

President on-lineに、「常識って何だろう?」という記事があった。
President on-line: 「女性には女性のよさが…」NTT澤田社長の入社式あいさつは何が問題だったのか

この記事で最初に登場する「女性脳と男性脳」という話だが、おそらく「話を聞かない男、地図の読めない女」という本が大ベストセラーになったt on-lineに、「常識って何だろう?」という記事があった。

President on-line: 「女性には女性のよさが…」NTT澤田社長の入社式あいさつは何が問題だったのか

 

この記事で最初に登場する「女性脳と男性脳」という話だが、おそらく「話を聞かない男、地図の読めない女」という本が、大ベストセラーになった1998年ごろから言われるようになった気がする。
確かに、地図を読むことが苦手な女性は多い。
私の周囲の女性の多くは「私、地図を読むのが苦手だから、道に迷っちゃって」と、言われることは多い。
ところが、私自身は子どもの頃から「地図を読む」コトが大好きで、地図さえ頭に入っていれば、初めて行く観光地などでも迷うことはほとんどない。
しかし、すぐ上の兄は地図を読むのが苦手なうえ、男としてのプライドがあるのか?、私に道順などの間違いを指摘されると機嫌を悪くすることが多かった。
そのような環境の中で育ってきたので、本のタイトルとして興味があり本は読んだのだが、「個人差でしょう」という、一種の違和感を持ちながら読んだ記憶がある。

「個人差がある」とは言いながら「話を聞かない男」という点では、実体験として頷く部分も多かった。
確かに男性の場合、「女性の話を聞かない」という場面が多いような気がしていたからだ。
それはおそらく、社会的な役割や自分と他者(この場合は、女性)との関係性の中で生まれてくることなのでは?ということなのだ。
これまで、女性と男性とでは「社会的役割」というものが、明解にあった。
「男性は企業で働き、経済を支える」という役割。
「女性は男性が外で働く為に、家庭を支える」という役割。
といった具合だ。

それが「共働き」という家族形態が、一般化することで実態としては崩れ去っているはずなのだが、この「社会的役割」という観念は崩れ去ることなく、今でも存在し続けている。
それが日本のジェンダー。ギャップに、つながっているのではないだろうか?
そして、今回のNTTの澤田社長の入社式での言葉は、そのような「社会的役割」という意味だったのでは?という気がしている。

「社会的役割」というものは、今でも存在しているし、おそらくいつの時代でもあるのでは?と、考えている。
ただし、それは「身体的」な部分という意味だ。
いくら科学が発達しようとも、男性が妊娠をし・出産をすることは無いだろう。
「身体的社会的役割」というものは、そのようなコトなのだ。

そのほかの「脳による性差」があるわけではなく、「個人の思考性の違い」や「得手・不得手」があり、統計的な傾向がみられるという範疇のことなのだと思う。
そのように考えれば、数年前からもてはやされた「リケジョ」などという、理系が得意な女性が特異な存在のようになってしまう。
随分前から、医学部の学生の男女比率は5:5である、といわれ、逆に「受験の上位に女子学生が集まるので、女子だけ合格点を上げ足きりをしていた」などということが問題になったことは、記憶に新しいところだろう。

日本のジェンダーギャップで問題になる分野を考えてみて欲しい。
それなりに年齢の高い男性が中心の分野である、ということがわかるはずだ。
年齢が高いから既成概念に縛られている、とは言いたくはないのだが、そのような既成概念に縛られた思考のほうが、自分たちに都合が良いと考えているのでは?
そしてそれを支持する人達もまた、多いというのが日本の社会の現実なのだと思うのだ。