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生活者も一緒に考えるきっかけとなれば…‐JR西日本の不採算路線の収支公表‐

2022-04-11 19:30:27 | ビジネス

朝日新聞のWebサイトを見ていたら、JR西日本が「不採算路線の収支を発表した」という趣旨の記事があった。
朝日新聞:JR西日本、ローカル線維持苦しく 不採算の17路線 収支を初公表 (有料会員記事)

この記事を読んで、感じたことは「地域の生活者も一緒に考えるきっかけになれば良いのでは?」だった。
なんとも無責任な!と思われるかもしれないが、不採算路線を利用している人たちが、その路線についてどう考えているのか?という、当たり前のところから、考え直す必要があるのでは?と、考えているからだ。

「地方の活性化」ということが、言われて久しい。
その間に「地域おこし協力隊」などが、政府の肝いりで始められたが、「地域おこし協力隊」と協力しあって「地域活性化」に取り組み、成功している自治体はさほど多くはない。
むしろ「地域おこし協力隊」を受け入れることで得られる補助金目当てではないか?と思うほど、地域の協力が得られないまま任期の3年を過ごし、去っていく若者も多いという話を数多く聞く。

以前、拙ブログでも書いているのだが「地域の活性化」に必要な点は、外からやってくる人ではなく、今その地域で生活をしている人たちが、自分たちの地域をどうしていきたいのか?という気持ちの有無なのだ。
あるいは「熱意」といったほうが良いのかもしれない。
そのような「地域の思い」と外から持ち込まれる新たな智慧が合わさって、初めて「地域の活性化」につながるのでは?と、考えている。

国鉄時代から、「廃線」という言葉が出てくると、沿線自治体からは「廃線されては困る」という声が起きた。
「廃線は困る」といいながら、「どうやって利用客を増やすのか?」という話になると、それは国鉄(現JR)の考えることだから、とどこか他人ごとのような感覚だったのでは?

人はこれまで感じていた「利益(この場合は路線)が無くなる」となると、強烈に「不利益」を感じる。
たとえ「得られるはずの利益を得ていなくても、不利益」と感じるのだ。
もちろん、「寝耳に水」で驚いた結果、「不利益となる報告は、決定後である」と憤慨されている場合もあるだろう。
とすれば、今回のJR西日本の収支発表は、その先手を打った、ということになる。
沿線の自治体・住民の方も一緒に「路線のコトを考えてください」という、ボールをJR西日本側が投げた、ということだ。

そのボールを自治体や沿線住民がどう考え、利用(あるいは廃線)ということを考えることは、「地域全体の活性化」を考えるということにつながっていくのでは?
日本は国>地方という意識が根強い。
現在JRは民間企業ではあるが、もともとは国鉄という名前だった。
国の政策として運営されているのだから、沿線自治体や住民は関係がない、という考えが根強いのかもしれない。
ただ民間企業になってから30年以上経過している。
今回の収支の発表は「コロナ禍」によって、カバーできていた不採算路線がカバーできなくなった、ということなのかもしれないのだが、これをきっかけに「路線から考える地域の活性化」という議論を自治体や生活者が始めれば、思わぬ資産の発見や部外者に頼らない「地域活性」ができるかもしれない、という気持ちや考えを持つ必要があると思う。