日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

マーケティングをバカにするな!と言いたい。

2022-04-18 19:34:05 | マーケティング

今日の夕方から、Twitterのトレンドワードで「#吉野家、#生娘…」などが、話題として登場をしていた。
一体何のことなのかわからなかったが、Yahoo!のトピックスなどを見て、やっとわかった。
毎日新聞:吉野家、役員の不適切発言謝罪「生娘を薬漬けのように牛丼中毒に」

この記事を読んで、この発言が早稲田大学が開いている社会人向けのマーケティング講座の中でされていた、ということを知り、驚きというよりもマーケティングに対する冒涜のような気がした。
これでは、マーケティングに対するネガティブな認識を与えてしまうだけではなく、社会経験のある=それなりのビジネスパーソンに対して、間違ったことを教えている、ということになる。
一体早稲田大学は、何故このような人物を講師として招聘したのだろうか?と、疑問にさえ思てるのだ。

この役員は「Intimacy rock in」ということについての説明をしたかったのかもしれない。
「Intimacy=親しさ、親密、懇意」に「rock in=鍵を掛ける」という意味で、拙ブログでも何度か説明をさせていただいている、マーケティング用語の一つだ。
拙ブログでは、子どもの頃から慣れ親しんだ商品やサービスに対して、人は他の商品やサービスよりも優先的にその商品やサービスを選ぶ」という説明をしてきたはずだ。
商品やサービスに対しての「親しみや懇意」は、子どもの頃の楽しい思い出などと結びつき、それらの商品やサービスを買う時、その楽しい思い出という高いブランドイメージと信頼があることが重要なのだ。
それをあろうことか!公序良俗に反するような事例を挙げ、説明をするということは断じて許されるモノではない。

それだけではなく「生娘」という言葉を使い、「若く社会経験のないような女性は騙しやすい」というようなニュアンスのコトまで話している。
「性的差別」という問題はもちろんだが、吉野家で牛丼を買うお客様に対しても、バカにしたような発言だ。
現場で直接お客様と対面する従業員やアルバイトさんたちには、まったく非はないが、このような発言を企業の役員がすると、現場で一生懸命に働く人たちに迷惑をかけるコトになる。
そのようなコトもわからず、このような発言をしてしまう役員というのは、企業にとって害でしかない。

吉野家側は謝罪に追われているようだが、このような状況になってしまうと一役員の責任だけの問題ではない。
吉野家という企業そのものが、そのような考えを持っているのでは?と、社会から受け止められても仕方ないような、信頼・信用にかかわる問題なのだ。

マーケティングという仕事は、このような「企業と社会・生活者」という3者にどのような利益を与えるコトができるのか?ということを考えるコトからスタートする。
少なくとも、マーケティングという仕事に携わるようになってから、その部分を忘れたようなコトはしていないという自負がある。
何故なら、その基本的な視点を失い企業のコトだけを考えるようであれば、企業はたちまち社会から淘汰されてしまうからだ。
企業は自ら成長し続けるわけではない。
市場という場所が与えられ、その市場を動かす生活者に育てられているのだ。
そのようなあたりまえのことを、忘れたような役員がしたり顔で、社会経験のあるビジネスパーソンにこのような発言をしてしまう、ということ自体、マーケティングに携わる者として悲しいを通り越して、絶望的なほど日本におけるマーケティングの本質の理解がされず、言葉遊びで終わっているのだ、という現実を突きつけられたような気がしている。


ロシアに対する経済制裁から考える

2022-04-18 12:42:51 | ビジネス

朝日新聞のWebサイトの見出しを見ながら、日本でも考える必要があるのでは?という気がした記事があった。
朝日新聞:あれもこれも輸入頼りだったロシア「初めて知った」国内生産を阻む壁は

有料会員記事なので、全文を読むことはできないのだが、記事の一部を読むだけで決して「対岸の火事」ではないのでは?という、気がする内容だ。
農業分野において、カロリーベースとはいえ日本は輸入に頼らざる得ない。
今回のロシアのような、政治的理由で輸入制限をされたり、経済制裁をされなければ大丈夫、と思っているとリスクがあるのでは?という気がしている。
それは「地球温暖化」によって、農作物そのものの生産が世界規模で変化してきている、という点だ。
生産国の状況が悪くなれば、輸出を減らし国内を優先させるのは、当然のコトだろう。
ということは、日本が輸入している農作物は、輸入先の国の状況によって制限を受ける、ということでもある。

それだけではなく、国内メーカーが積極的に海外へ生産拠点を移したことで、日本国内での生産力は低下している。
確かに、人件費の安い国で生産をすれば、それだけ生産コストは下がるということになる。
場合によっては、原材料から製品の製造に至るまでを一貫して海外の拠点工場で行うことができれば、原材料などの運搬コストなども下がるので、メーカー側にとってのメリットは大きい。
その結果として、日本の生産力の低下は免れないという状況になっている。
それが、自然環境の変化によって、あるいは相手国の政治的事情によって、これまで通りに行かなくなる、というリスクを含んでいるということになるのでは?という懸念だ。

まして今は、円安という状況になっている。
人によっては、ロシアのルーブルよりも日本の円のほうが、状況的には問題が大きい、という方もいらっしゃるようだ。
その理由はお分かりだと思う。
ロシアのルーブルの国際的価値が下がる理由は、今回のウクライナ侵攻に対する「経済制裁」によるものだ。
それに対して、日本はそのような目立った不安材料が見当たらないのに、円安傾向が続いている。
もちろん、ロシアのウクライナ侵攻により、ドルやユーロに対して動きがあるのは当然だが、(一応)政治的にも安定をし、それなりの経済力があると思われていた日本の円が、ずるずると円安に進むというのは、それだけグローバル経済の中での日本の生産力を含む経済力の低下と考えられるからだ。

今朝、FM番組を聞いていたら「100均ショップ」の話があった。
今や日本人の生活の中にすっかり溶け込んだ感のある「100均ショップ」だが、この円安傾向+様々な値上げにより、経営そのものが厳しくなりつつあるという。
経営を保つ為には、「値上げ=100均ではない商品ラインナップの充実を図る」ということになるのだが、今の生活者の給与などを考えると様々な値上げに耐えうるだけの所得を十分に得ているのだろうか?という疑問が出てくる。
何故なら、日本人の平均給与はここ30年近く下がるコトはあっても、上がることはほとんどなかったからだ。
しかし30年以上前よりも、様々な生活コストは上昇している。
このような状況は、決して良い経済状態とは言えない、という指摘だった。

ロシアの経済状況は、経済制裁による悪化が主な理由として挙げられるはずだが、では日本はどうなのだろう?
そろそろ「安い=善」という考えから脱却し、必要なコストは正当な価値を認め国内での生産力を上げるコトを、日銀をはじめ考え直す時期に来ているのではないだろうか?
少なくとも、「日本製品」を悩むことなく購入できるだけの所得が得られるようにする必要があると思うのだが・・・。