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何事も「動機付け」が重要だと思う‐ワクチン接種促進イベント支援策‐

2022-04-07 21:42:40 | アラカルト

なんとも変わった「新型コロナウイルスワクチン接種促進案」が、登場したものだ。
テレビ朝日:ワクチン3回目接種促進へ…Go To改めイベントワクワク割

この「イベントワクワク割」は、若年層のワクチン接種率が低いため、ワクチン接種を積極的にしてもらおう、というのが目的のようだ。
そのため、「ワクワク割」の対象となるモノを映画館やライブなど、若い人たちが行きやすい内容のものを対象としている。
以前のGo Toキャンペーンの中でも特にGo Toトラベルなどは、比較的時間の余裕のある世代(いわゆる中高齢者)の利用が多かったため、キャンペーンの対象を変えるコトで、若年層へのワクチン接種を促進したい、というコトが良くわかる。

確かに、オミクロン株になってから陽性者の中心が、それまでの中高齢者から若年層へと移ったのは確かだ。
その状態が今でも続いている、というコトなのだが、ここで考えて欲しい。
この4月は人事異動だけではなく、就職や進学などで若年層が一番動く時期でもある。
「人が動けば、ウイルスも動く」というコトを考えると、「動く人=若年層~40代」と考えると、若年層の患者が増えているのは、当然のように思えるのだ。

もう一つ考えられるのは、若年層ほど「新型コロナ」に対して、楽観的に考えているというコトはないだろうか?
その背景にあるのは、「重症化しやすい人」が高齢者で基礎疾患を持っていた人が多い、という情報の影響だろう。
何より、「コロナ禍」になって約3年も経てば、「コロナ感染リスク社会」であることが「当たり前」になってきており、そのために「ワクチン接種をするリスクとしないリスク」の判断基準が、以前と変わってきているということは無いだろうか?

今回の「イベントワクワク割」の内容を見てみると、果たして若者にとって魅力的なモノなのだろうか?という、疑問もある。
「チケット代の2割、最大2,000円まで」というコトになると、1万円のチケット代に対して2,000円の割引というコトになる。
このように、割引という点だけを考えれば魅力的な気がするのだが、果たしてワクチン接種を促進したい世代にとって、「この割引で遊べるなら、ワクチンを接種に行こう!」と考えるだろうか?という点で、疑問なのだ。

人は行動を起こす時、何等かの動機付けというものがある。
「イベントワクワク割引」は、「ワクチンを接種に行きたい」という動機付けになるのだろうか?
上述したように、「コロナ感染リスクのある暮らし」が当たり前になり、その当たり前から希望的な社会が見えるのだろうか?
少なくとも「ワクチンを接種してもしなくても、さほど今と状況が変わるわけじゃないし…」と、考えている人たちには、「ワクチン接種」の動機付けとしては弱い気がするのだ。