明日あたりから、新卒者たちの所属先が決り、本格的な「社会人生活」が始まるだろう。
数年前までは「労働環境の悪い職場=ブラック企業」は、社会から批判をされる対象だった。
「人としての働き方をさせていない」という趣旨の理由だ。
そこで、多くの大企業は「ホワイト企業」へと、変わっていったはずだ。
ところが、「ホワイト過ぎても、若者は離職する」という傾向がみられるらしい、と先日FM番組の中で取り上げられていた。
Business Insider:「ゆるい大企業」を去る若者たち。ホワイト過ぎて離職?働きやすいのに”不安”な理由
詳しい内容は、記事を読んでいただきたいのだが、どうやら「ホワイト過ぎても、やりがい」が感じられないと、今の若者は「仕事をするって何だろう?」と考えこんでしまうようだ。
既に定年退職を迎えるようになった私の世代では、「やりがいなんて、10年早い」みたいなコトを言われて様な気がする。
当時は「大学のレジャー化」などと、いわれるコトも多々あった時代だ。
バイトや遊び過ぎて、単位を落とし留年するという学生もいるような時代だった。
それに比べ、Business Insiderの記事を読むと、今時の学生のほうが、はるかにしっかりとしており、将来設計を考えているような気がする。
だからこそ、「腫物に触るようなホワイト企業」に、魅力を感じないのかもしれない。
確かに今の学生たちは、「OB・OG訪問」ではなく「インターン」という、企業での「お試し仕事」の経験をし、本格的な就職活動をする、というステップを踏んでいる学生さんたちは多いだろう。
新卒とはいえ、30年有無以上前の学生たちとは違い、「実際的な仕事経験」をしてきている、と考えるべきかもしれない。
真っ新な布や紙に、仕事というモノを描く時、参考にしている自分のインターンなどでの経験の有無は、大きく影響しているだろう。
インターンでの職務(というほどではないと思うのだが)経験があるからこそ、仕事に対して将来設計となるものを描いているのかもしれない。
その思い描く「将来設計」と新卒者として与えられる仕事内容のギャップが大きいからこそ、「自分のいるべき職場は、ここではない」と感じてしまうのだろう。
その時には、一般的に言われる「ブラック企業」は当然「ホワイト企業」であても、違和感がありその「違和感」が離職へと繋がっていくというコトなのだろう。
それを「贅沢な悩み」だと受け止めるのか・否かというのは、企業側の考え方ひとつ、というコトになるだろう。
一方で、日本企業の中でも「大企業」と呼ばれる企業の多くは、「社会人としての態度やマナーといったコトを教える。
社会人として一般的には「必要」な事柄だからだ。
そしてそれらは、「仕事」とは直接結びつくようなコトではない。
いわゆる「社会人としての教養」のようなコトだからだ。
そのような「手とり足取り」で新卒者を「人財」として育てる、というコトが当たり前でもあった。
「そのようなコトは無駄」だと切り捨てず、もう少し余裕を新人たちも余裕を持つような、方向づけが必要になってきているのかもしれない。
社会人は、仕事ができて当たり前。
それよりも大切なことは、「社会人として、恥ずかしくない態度やマナーを身に着ける」というコトだ。
インターンなどの研修で身につけられたコトなどは、ごくごく一部でしかない。
インターンなどでの経験を基準にするのではなく、新しい学びの場として配属先に行って欲しい。
もちろん受け入れる側もまた「腫物に触るようなホワイトな職場」を目指すのではなく、「どんな職であっても通じるビジネスとは何か?」というコトを徹底して教える必要がある気がする。