毎日新聞のWEBサイトに、「軽度向け事業所半減」というタイトルの記事が掲載されていた。
「軽度向け事業所」というのは、介護施設の中でも「要支援1,2」の人を対象とした訪問介護施設やデイサービスのことだ。
このような事業所に対して支払われる介護報酬が減額されることになったのだ。
毎日新聞:新介護軽度向け事業所半減 報酬減で採算懸念
おそらく「要支援1,2」と認定されている要介護者の人数は、中度~重度の要介護者に比べ、多いはずだ。
そのため、利用者側も「お手伝いさん」感覚の利用が、多かったのでは?という、気がしている。
むしろ、「その線引きが難しい」という、部分もあったのではないか。
報酬額が増え、このままでは「介護保険」の破たんを懸念した結果、報酬額を減らすということになったのでは?
それだけではなく、「2025年問題」を見据え、毎年のように介護報酬の改定が行われるのではないか?と、感じている。
「2025年問題」というのは、いわゆる「団塊の世代」と呼ばれる人たちの多くが後期高齢者になり、介護保険の利用者が急増すると懸念されている問題だ。
後期高齢者=75歳と言っても、元気に自立した生活を毎日送っている方も多くいる。
その一方で、「健康寿命」と「平均寿命」の年齢差が広がりつつある、という指摘もある。
厚労省データ:「健康寿命と平均寿命をみる」 (注意:PDFファイル)
データを見てみると男性で9年、女性で12年ほどの差がある。
この9~13年くらいの間多くの高齢者が、介護保険の利用者になると予測される。
上述した通り「団塊の世代」が、「健康寿命と平均寿命の差」となる年齢層になれば、介護保険を利用する人達が急増するということは、簡単に想像できる。
ただ、本当の問題はそこなのだろうか?という、気もするのだ。
例えば、「延命治療」は「自分であれば受けたくないが、家族の場合延命治療を受けさせる」という人は、案外多い。
「延命治療」と言えば、「命を伸ばす治療」のように思えるが、その実「長期延命医療処置」となっている場合のほうが多いのではないだろうか?
その治療(というか「医療処置」と言うべきかもしれない)にかかる公的な費用は、今回報酬額が減らされた施設などに支払われる額よりも、多いのではないだろうか?
日本の財政が厳しいことは十分理解している(つもり)だが、分かりやすい「コストカット」だけでは、困る人が増えるばかりのような気がする。