大丸百貨店が、この秋京都の祇園にある町家を改装して、期間限定のブランドショップを開店させる、というニュースがあった。
京都新聞:京都・祇園の町家に大丸 11月3日開業「エルメス」限定出店
確かに、京都に行く度に海外、特に中国からの観光客が増えているという実感がある。
特に、祇園などは「舞妓・芸妓」さんたちをテーマパークの出演者のような感覚で、写真を撮ったりする観光客が増え、問題となっているという話も聞く。
とはいうものの、京都の祇園は日本人であっても「ワンダーランド」のような、雰囲気を感じさせる場所でもあると思う。
その祇園の町家を改装して、大丸が高級ブランド店を期間限定でオープンさせる。
日本人というよりも、海外からの買い物客(特に中国か?)を見込んだ戦略のような印象を受ける。
実際、京都の街を歩くと町家を改装して、おしゃれなカフェやフレンチのレストランなどを見かけることが多い。
京都の北山にある有名な洋菓子店も、祇園にお店を出していて、若い女性でにぎわっていた。
マールブランシュ:加加阿365祇園店
しかし、大丸の祇園・町家のお店のニュースを聞いて、「何故?」と思ったことがあったのだ。
京都御苑の近くに、「大丸ヴィラ」という建物があるのをご存じだろうか?
20世紀の建築家・ヴォーリズが設計をした、大丸百貨店創業家である下村家の邸宅の洋館だ。
現在は、京都市の文化財として指定されているのだが、今でも大丸百貨店の所有だったという記憶がある。
文化財に指定されているためか?いつもは固く扉を閉ざし、気づかない観光客も多いかもしれない。
それでも、以前は大丸百貨店の(超)優良顧客などを招いた販売会などの会場となっていた、という話を聞いたコトがある。
外観だけを見ても、とても美しい洋館で一度邸内を見てみたい!と思うほどの、素晴らしい建物だ。
そのような建物があるのに、なぜ祇園の町家なのか?と、思ったのだ。
文化財指定を受けているとはいえ、建物としての魅力があるのに使われていない、というのは何だかもったいないような気がするのだ。
海外の有名ブランド企業の期間限定ショップなら、祇園の町家より「大丸ヴィラ」のほうがあっているような気がするのだ。
もちろん、「京都の祇園の魅力を発信する」という、意味での町家ショップの開業はわかるのだ。
おそらく、中国やアジアの富裕層の観光客などは、「祇園という町の魅力+町家+有名ブランドショップ」が重なるコトで、集客力は期待できると思う。
それでも、自社の資産である「大丸ヴィラ」を使って「京都の洋館」をアピールしないのだろう?と、思うのだ。