経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

証券会社が?

2006-10-04 | 新聞・雑誌記事を読む
 日経金融新聞に珍しく「特許」についての見出しを見つけました。野村證券が大学特許の一覧サイトの運営を開始したとのことです。「大学発」や「特許流通」には縁遠いほうなので内容に興味を持ったわけではないのですが、「証券会社が?」という意外感があって、ちょっと覗いてみました。
 記事には、「専門用語が多くて難解な特許内容を平易な言葉でわかりやすく紹介する」と書かれていて、そんなの要約書をみればいいじゃないか、と思ったりもしたのですが、確かにこのサイトの「概要」の部分はわかり易いですね。本格的に検討を進める場合には、紹介されている技術と権利範囲との検証などが必要になるのは当然ですが、最初に当たりをつけるにはとてもわかりやすい説明だと思います。
 では、特許屋の書く要約書とどこが違うのか。1つは、「です、ます」の口語調で書かれているものが多いということでしょう。これだけでも、随分読みやすさが違います。もう1つは、要約書は「発明の要約」なので、どうしても請求項の内容に引っ張られてしまうのに対して、このサイトの概要では、その発明を適用した技術を広めに書いているところではないかと思います。硬いことを言えば、実際以上に権利範囲が広いように誤解を与えるとも言えるかもしれませんが、最初の段階のサーチは読み易さ優先でよいのではないでしょうか。
 それにしてもこのサイト、登録も閲覧も無料だそうです。証券会社の狙いは、大学と中小企業の橋渡し役となり、将来の株式公開案件に結び付けるとのことにあるそうですが、証券会社にしては随分気の長い話だなぁという印象です。このサイトがブレイクするかどうかは証券会社のモチベーションの維持次第、というのは少々意地の悪い見方でしょうか。


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2 コメント

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思い出したこと (的場成夫)
2006-10-06 09:54:28
新之助です。

いつも愉しく読ませていただいてます。



「証券会社が?」

を読ませていただいて、

特許出願書類には、要約書はなく、

願書、明細書、必要な図面

だけだった頃に、

自分がやった無謀な行動を思い出しました。



 重要と思われる特許公開公報が出たら、

 それを投資家向けの平易な文章に要約し、

 投資家に配布する、

 というサービスをやりませんか



というプレゼンを、

証券会社の方に、数カ所でやったのです。



無反応の方が多かったほか、

1年半も前の情報じゃ、折り込み済みだよ、

との反論をいただきました。



特許事務所の新たなサービス、

と思ったのですが・・・







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Unknown (土生)
2006-10-06 10:22:11
新之助さん、お世話になっております。コメント有難うございます。

その時代からとは、おそるべき先見の明ですね。

証券会社というのは仲介を生業としているので、自身が特許情報に興味があるというより、最近になって顧客層の欲する情報に特許情報が入ってきた(まだ「入ってきそだ」くらいでしょうか)ということなのではないでしょうか。

「平易な文章に要約する」というサービスのニーズは、おそらくどこかに存在すると思うのですが、具体的にどこにそのニーズがあるかを発見するのが課題であるように思います(野村のサイトもまだ手探りの状況のようですから)。
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