経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

知財の上流工程

2006-05-17 | 知財発想法
 昨日の記事に書いたとおり、知的財産権というものの役割は、ある意味でコンピュータに似たところがあると思います。であるならば、知財業務を推進する上で必要な機能は、コンピュータを活用するのに必要な機能と並べて考えると把握しやすいのではないでしょうか。

 かつては、企業において無用の長物となってしまうことすらあったコンピュータが、現在のように経営に必須のツールとなる過程では、いわゆる「上流工程」と呼ばれる望ましいワークフローを要件として定義する工程が、重要視されるようになりました。知財も全く同じで、知的財産権という制度を効果的に利用するために最も求められている機能とは、ある技術や製品に関する市場の望ましい将来像を描き、そのために必要な知的財産権の配置を効率的に進めるための設計機能なのではないかと思います。
 コンピュータの世界の「上流工程」の領域では、コンピュータのエンジニアのみでなく、幅広いビジネス分野をバックグランドとする多くのシステムエンジニアが活躍しています。知財の世界においても、同じように様々なバックグラウンドを持つ方々が「どのようにすればビジネスに有効か」という視点で実務の現場で活躍することによって、「ビジネスに活きる知財業務」がより現実的なものとなるのではないでしょうか。一方で、知的財産権(特に特許権)は非常に扱いが難しい「ナマモノ」のようなものなので、ある程度の実務を体験したことがないと、観念論だけではなかなか実効性があがらないという特徴があります。他のビジネス分野から知財の世界に入られる方は、できるだけ実体験を積むことが、上流工程での説得力を身につけるキーになるのではないかと思います。


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