ケイの読書日記

個人が書く書評

東野圭吾「あるジーサンに線香を」

2012-05-23 14:52:33 | Weblog
 これも『怪笑小説』という短篇集の中の1作品。ちょっと前、モト冬樹・主演のお芝居が話題になった。その原作がこの作品だというので、読んでみたかったのだ。

 たぶん大正生まれだろう、高齢のジーサンが、若返りの手術を施されてどんどん若くなっていく。
 50~60歳くらいになると、自分の身の回りの世話をしてくれた、40歳代の看護婦さんに恋心を抱く。しかし、ジーサンが20歳代になると、その看護婦さんには見向きもせず、本屋のアルバイト女子学生にアタックを始める。

 なんて正直なジーサンだ。

 20歳くらいで若返りがストップし、その後、恐ろしい勢いで老化が進んでいくジーサンは、以前にもまして死を怖れるようになる。いやだ、死にたくない。死にたくない。

 こういった設定は、映画やマンガでよくあるので、さほど面白いとは思わなかった。

 ただ見かけは20歳代のジーサンが、作家を目指す若い男女と居酒屋で飲む場面が印象に残った。
 話がどう転んだか分からないが、話題が戦争の事になった時、若い人たちが「悪い事をしたと思っている年寄りなんか、いねえよ」
「近隣諸国を苦しめたっていう反省は口ばっかり」
「頭悪いんだよ。だからアメリカみたいな、でっかい国に戦争を仕掛けたりするんだ」などなど、年寄りを罵倒し始めた。
 その時、ジーサンは、すっくと立ち上がり怒鳴った。
「おまえたちに何が分かるっていうんだ。そんなことをおまえたちに言われる筋合いはない! あの時は必死だったんだ!」

 そうだよ。後出しジャンケンではないが、後からだったら何でも言える。後から批判する事は、誰でもできるんだ。

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2 コメント

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ご無沙汰です (コウイチ)
2012-05-28 15:16:45
ご無沙汰です。ブログも移動して一新しました。身体が若返って価値観も若返るというのは面白いですね。
若返っても高齢女性に恋ができたりするとちょっと素敵な恋愛エピソードの一本にもなりそうですね。
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コウイチさんへ (kei)
2012-05-29 10:59:30
 本当にお久しぶりですね。お元気ですか?
 早速、コウイチさんの新しいブログを拝見いたしました。グルメ情報が多いですね。参考にしたいです。
 これからもよろしく。
返信する

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