ケイの読書日記

個人が書く書評

塩野七生 「コンスタンティノープルの陥落」その② 新潮文庫

2022-01-30 10:01:07 | 塩野七生
 
将棋でいえば、もう詰んでいる。
 この当時(1452~53)の東ローマ帝国(ビザンチン帝国)は、周辺の陸地はすべてオスマントルコ領で、西欧と行き来しようと思ったら海路を使うしかなかった。帝国とは名ばかりで、首都コンスタンティノープルの周辺だけが支配地域。人口も3万5千もおらず、しかもオスマントルコと戦争になりそうだと噂になると、ごっそり亡命というか逃亡する。沈んでいく船からネズミが逃げ出すみたいに。
 こういった貿易が主な産業の都市国家の場合、農民と違って土地に愛着はあまり無いんだろう。自分の子どもや妻を西欧に移住させ、財産をうつしておく。人口が3万5千に満たないんだもの、自前の軍隊などなく、同じキリスト教国に援軍を頼むか、傭兵を雇う。
 ビザンチン帝国は、ローマカトリックでなくギリシャ正教だから、援軍もやる気が無いんだよね。お付き合いで軍を出しましたよって感じ。それに傭兵は高い!!! まあ、命がかかってるので料金が高いのは当たり前か。

 この話にでてくる西欧人ってベネチア人・フィレンツェ人・ジェノバ人といったイタリア系、それにギリシャ人、つまりラテン系であんまり強そうでない。勇猛果敢といった感じではない。それに比べ、オスマントルコ軍はすごく強そう。異教徒を退治するんだと血気盛ん。
 そうそう、トルコ軍って純粋にトルコ人という人は少ないらしい。トルコが支配している属国から、年貢と一緒に優秀な少年も献上させ、彼らをキリスト教からイスラム教に改宗させて軍人にするというシステムがあった。(イエニチェリ軍団)
 確かに、現代のトルコ人の外見ってすごく多種多様で、色んな血がまじりあってる事がよく分かる。
 でも、改宗させられた元キリスト教徒って、優秀な軍人になるのかな? まだ年が若い少年だから適応していくのかな? 聖戦とかいって、キリスト教国のかつての祖国を攻撃することもあるんじゃない?集団で逃亡とかしないんだろうか?
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