ケイの読書日記

個人が書く書評

モーリヤック「テレーズ・デスケィルゥ」

2008-02-13 10:55:34 | Weblog
 久しぶりにミステリ以外の外国の小説を読んだ。小さい頃は外国の小説というか、童話の方が好きでせっせと読んだものだが、最近はサッパリ読んでいない。
 なんといっても読みにくい。
 登場人物に感情移入しにくい。やっぱり物語の情景とか、歴史的背景がわかりにくいからだろう。

 大人になってから読んだミステリ以外の外国小説の中で、一番印象に残っているのはエミール・ゾラの『居酒屋』。大学時代に読んで興奮して友達に電話をかけた事を覚えている。

 パリに暮らす下層階級の美しいがちょっと脚を引きずっている女が、一時的には成功するのだが、ぐうたらな亭主・役に立たない愛人達に足を引っ張られて転落していく様子が描かれている。
 その落ちていく有様が大変面白い。
 人の不幸って本当に蜜の味。


 話をこの「テレーズ・デスケィルゥ」に戻そう。
 最初の方は恐ろしく回りくどく退屈だが、我慢して読み進めていくと、結構おもしろい。内容はこうだ。

 自分が結婚を望んだはずなのに、結婚してみるとその息苦しさに耐え切れなくなった地方名家の女が、亭主を殺して自由を得ようとするが失敗。
 両家の家庭の事情で離婚も出来ないので別居し、妻は自分の財産からの収入をもらいパリへ、夫は自分の所有地で生活していく。
 その女の内面の葛藤を、こと細かく描写してあるが、私にはうんざり。この女に共感した事は一度も無い。

 一体何年ごろの話なんだろうか? 1910年代?1920年代?
 その時代のパリといえばヨーロッパどころか世界の中心でもあったろう。何の罰も受けず、」親から相続した財産で、パリで悠々生活できるなんて、この金持ち女はふざけている。
 小説の後半に女工さんが出てくるが、テレーズお前も働け!!

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