ケイの読書日記

個人が書く書評

池田暁子 「思ってたウツとちがう!『新型ウツ』うちの夫の場合」

2015-03-10 13:42:41 | Weblog
 池田暁子さんの実生活をもとにしたコミックエッセイは、以前一冊読んだ事がある。たしか、30代半ばになっても貯金が0円の女性が、なんとか貯金を始められるまでの奮闘記で、面白く読んだ。
 けれど、今回の場合は…本当に大変だと思うよ。これまでも、そしてこれからも。

 1969年生まれの暁子さんが、3歳年下の男性と数年前に結婚。楽しく新婚生活を送っていたが、2年ほど前から、夫がウツ病になり、会社を休職そして退職。1日中家にいるようになる。
 ただ、従来のウツとは違い、『新型ウツ』(非定型ウツ)なので、仕事以外の事に関しては、すごく元気で行動的。1人で北海道に旅行したり、夫婦でパリに出掛け、はしゃぎまわる。こんなに元気なら、仕事に復帰できるだろうと勧めると、とたんに具合が悪くなる。
 単に働かないだけじゃなく、妻の仕事にドンドン口出しするようになる。実際の出来事を描くコミックエッセイなんか止めて、フィクションを描け とか、小説なんか読むな!もっとマンガを読んで研究しろ!とか、業界内で人脈を作り、もっと自分の作品を売り込め!など、寝ている暁子さんをたたき起こして、説教を始めるらしい。
 どうやら、マンガ家・池田暁子を売り出すプロデューサーとかマネージャーをやりたいみたい。困るなぁ。こういう人。自分が無職なので、妻で自己実現をする気なんだろう。ちょうど、自分の夢を果たせなかった母親が、我が子に夢の実現を強要するような。


 当然、夫婦仲は険悪に。離婚を考え、暁子さんはプチ家出をするが、根は優しい人なのだ。「死なない程度には、面倒をみなければ」と思い直す。

 今は(2013年当時)ダンナさんは、国がやってる職業訓練の学校に通って、ずいぶん落ち着いているらしい。えらいなぁ。暁子さんは。私だったら、とっくにダンナの頭をトンカチで叩き割っているだろうな。あとさき考えないで。
 ただ、正直な所、ダンナさんの就職は難しいと思う。やっぱり池田暁子のマネージャーという所が落としどころかも。女流小説家とか女流漫画家は、ダンナがマネージャーやってる人って多いと思うよ。でも、暁子さんも言ってたけど、こんな不安定な仕事で二人も食べていくのは至難の業だろう。

 このダンナさんも、地道に仕事するのが苦手らしく、すぐに管理職になりたがるのだ。例えば、「オレがプロデューサーで、スピルバーグを呼んで映画を撮らせる」とか。ああ、暁子さんの前途は多難です。

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