仙台市内で頻発するショボい連続放火と、その火事を予見するような謎のグラフィティアート(壁のスプレー落書き)。
そのグラフィティアートと遺伝子の奇妙なリンクに気付いた泉水は、弟の春とガンで入院中の父と一緒に、犯人を推理しようとする。(優しくて美しかった母親は数年前に亡くなっている)
実はこの一家には秘密があった。いや、秘密でも何でもないか、読み始めて9ページ目に書いてあるもの。兄の泉水と弟の春は、半分しか血がつながっていない。父親が違うのだ。弟は、母がレイプされたことで生まれた。普通、こういう時は中絶をすると思うけど、この夫婦は産んで育てることを決断した。まぁ、宗教的な立場で、どうしても中絶できない人はいる。(ちなみに、この家族はカソリックではない)
この事実は、春が高校生になってから本人に告げられ、大変ショックだったろう。しかし、うすうす泉水も春も気づいていた。そうだろうなぁ、隠し通せるわけないよ。
でもレイプ犯は、未成年という事もあり、法律に守られ、名前もすっかり変えて再登場してきた。
こういった痛ましい過去はあるけど、この一家は本当に仲が良いんだ。そして魅力的。
特に弟の春は、アスペルガーだと思われるが、容姿もよく(お母さんが美人だった)IQも高く、女の子に冷たいので、逆に女の子から追いかけられる。どんな美女にも醜女にも平等に冷たいので人気があるのだ。ストーカー化する女の子も出てくる。彼は自身をピカソの生まれ変わりと信じ、尊敬する人は非暴力を貫いたガンジー。(でも春は結構暴力的)
ストーリーも面白いが、どちらかと言えば、キャラで読ませる作品。それから、春が語る色んな蘊蓄が面白い。
そうそう、個人的に胸がキュンとする場面があった。小説内で、春が小学校5年生の時、春の描いた絵が県のコンクールで大賞に選ばれた。家族は春の芸術的才能に気が付き、喜んで、週末には家族そろって展示会場に出向いた。会場の真ん中に堂々と飾られていた春の絵の場面。
その場面を読んだとき、次男の事を思い出したなぁ。
次男が保育園児だった時、県下の仏教系保育園の絵画コンクールで最優秀賞をもらったのだ。家族一同びっくり!!!
親として嬉しくて誇らしかったなぁ。ひょっとして、この子は絵の才能があるのかも!?と絵を習わせようとしてみたり(本人が嫌がったので辞めたが)後にも先にも、その1回だけです。素敵な思い出です。
そのグラフィティアートと遺伝子の奇妙なリンクに気付いた泉水は、弟の春とガンで入院中の父と一緒に、犯人を推理しようとする。(優しくて美しかった母親は数年前に亡くなっている)
実はこの一家には秘密があった。いや、秘密でも何でもないか、読み始めて9ページ目に書いてあるもの。兄の泉水と弟の春は、半分しか血がつながっていない。父親が違うのだ。弟は、母がレイプされたことで生まれた。普通、こういう時は中絶をすると思うけど、この夫婦は産んで育てることを決断した。まぁ、宗教的な立場で、どうしても中絶できない人はいる。(ちなみに、この家族はカソリックではない)
この事実は、春が高校生になってから本人に告げられ、大変ショックだったろう。しかし、うすうす泉水も春も気づいていた。そうだろうなぁ、隠し通せるわけないよ。
でもレイプ犯は、未成年という事もあり、法律に守られ、名前もすっかり変えて再登場してきた。
こういった痛ましい過去はあるけど、この一家は本当に仲が良いんだ。そして魅力的。
特に弟の春は、アスペルガーだと思われるが、容姿もよく(お母さんが美人だった)IQも高く、女の子に冷たいので、逆に女の子から追いかけられる。どんな美女にも醜女にも平等に冷たいので人気があるのだ。ストーカー化する女の子も出てくる。彼は自身をピカソの生まれ変わりと信じ、尊敬する人は非暴力を貫いたガンジー。(でも春は結構暴力的)
ストーリーも面白いが、どちらかと言えば、キャラで読ませる作品。それから、春が語る色んな蘊蓄が面白い。
そうそう、個人的に胸がキュンとする場面があった。小説内で、春が小学校5年生の時、春の描いた絵が県のコンクールで大賞に選ばれた。家族は春の芸術的才能に気が付き、喜んで、週末には家族そろって展示会場に出向いた。会場の真ん中に堂々と飾られていた春の絵の場面。
その場面を読んだとき、次男の事を思い出したなぁ。
次男が保育園児だった時、県下の仏教系保育園の絵画コンクールで最優秀賞をもらったのだ。家族一同びっくり!!!
親として嬉しくて誇らしかったなぁ。ひょっとして、この子は絵の才能があるのかも!?と絵を習わせようとしてみたり(本人が嫌がったので辞めたが)後にも先にも、その1回だけです。素敵な思い出です。
春はアスペルガーだったんですか。。。
ピカッソの生まれ変わりはOKだけど、なぜガンジーを尊敬してるのか分からない。だって、春は暴力的だよ。
この「重力ピエロ」は、兄と弟が連続放火事件とグラフィティアートの謎を追うという物語ですね。
2人の母は既に亡くなっており、父は癌で入院中。彼ら以外には、「ラッシュライフ」にも登場した黒澤が登場します。他にも郷田順子や葛城といった登場人物もいるのですが、登場人物的にはそれほど多くありません。
しかし、その必要最低限の設定によって、泉水と春という兄弟と、彼らを包み込むような両親の存在という、家族小説的な面が浮き彫りにされているような印象です。
泉水の弟の春は、母親が未成年者にレイプされて生まれてきたという設定。
これは非常に重いものですし、それが春の「女性」や「性」に対する考え方に大きな影響を及ぼしていますね。
しかし、その部分を、敢えてさりげなく軽やかに描くことによって、この家族の絆の強さが逆に強調されているように思えます。
泉水と春、父親、そして思い出の中の母との会話はとても楽しく、しかも様々な示唆に富んでいます。半分しか血は繋がっていなくとも、本当に仲がよく、お互いを深く理解し合っている泉水と春。
亡くなってはいるものの、ここぞという時の決断力と行動力を見せてくれる美しい母。
彼女もなかなかの大物ですね。
しかし、何といっても、彼らの父親の存在が魅力的なんですね。
家族でただ1人絵が上手いことが分かり、不安を持つ春に、生まれた日がピカソの死んだ日なのだと教えるという部分だけでも、なんて素敵なお父さんなのでしょう。
泉水の言う「平凡な公務員でありながら埋没する詩人」というのは、まさにその通りだと思います。
父親と春の間には、単なる血の繋がりを越えた、確かな親子の絆の強さを感じることができますね。
泉水も春もそれぞれに頑張ってはいるのですが、しかし、最終的には2人とも父親の手の平の上で遊ばされていたという感じですね。
父親とはやはり、人生の年季が違います。
物語自体はそれほど起伏に富んだものではありませんし、大きな波乱もありませんが、それでも、しみじみと伝わってくるものがある作品でした。
「オーデュボンの祈り」の話が、この作品にもちらりと出てきます。
このようにして、伊坂幸太郎さんの全ての作品は、繋がっていくんでしょうね。
実は、私はそんなに伊坂幸太郎を読んでいないのです。人気作家なのにね。あまりにも優れた作家だからでしょうか?
読んだらすぐ忘れてしまうことが多いのに、この作品は覚えています。春が魅力的だからでしょうか。