ケイの読書日記

個人が書く書評

島田荘司「夜は千の鈴を鳴らす」

2007-07-01 08:26:01 | Weblog
 「猫まんま」さんに教えていただいて、このロマンチックな題名の小説を読んでみた。
 いやぁ、どう贔屓目に考えても、「猫まんま」さんのご指摘どおり『人形はなぜ殺される』の見事なパクリですね。これほどあからさまなパクリは珍しいんじゃないだろうか?

 でも、推理作家が本格を書き続けていくのは本当に難しい。この推理小説も『人形はなぜ殺される』を読んでいなければ、それなりに読みごたえある作品。


 博多駅に到着した寝台特急<あさかぜ>の個室から女性の死体が発見された。前夜、車内で「列車を止めて、人が死ぬ、ナチが見える!!」と半狂乱になったという。
 検死の結果、死因は心不全と判明したが、警視庁捜査一課の吉敷竹史は不審を抱き、独自に捜査を開始する…。


 また、これも少し驚いたが、島田荘司って鉄道ミステリを結構書いているんだね。鉄道ミステリの探偵役は、ほとんど吉敷竹史らしいが、この人はすごくマトモな人である。
 エキセントリックな御手洗潔と対極にあるような人で、だから当然彼の出てくる小説も淡々として地味。まるで十津川警部シリーズを読んでいるようだ。

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4 コメント

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Unknown (猫まんま)
2007-07-02 21:43:10
こんばんわ。
読まれましたか。ホントに残念ながら残念なことになっていますね。「人形を…」を知らなかったら、いい作品だなあ~で終わるのですが。
島荘センセは、パクリ疑惑、また逆にパクラレ疑惑なども多いですが、作品としてはどれも面白いと思うので、良かったらよんでみてください。

ちなみに、吉敷シリーズは「北の夕鶴2/3の殺人」「奇想、天を動かす」の2つが評価が高いです。
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猫まんまさんへ (kei)
2007-07-03 10:39:28
 コメントありがとうございます。

 お勧めの2作品、読んでみますね。
 しかし、この吉敷さんは本当に地味ですね。御手洗は石岡との掛け合い漫才で読ませますが、この吉敷さんの魅力ってなんだろう?
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Unknown (猫まんま)
2007-07-03 23:16:54
吉敷シリーズというのは、(カッパノベルズでトラベルミステリーを多数刊行していた)光文社の編集者から、話をもってこられて生まれたシリーズみたいな話をどこかで読んだような気がします。そのため初期作品には、トラベルミステリー的なものが多いです。

吉敷のキャラ自体は結構普通ですが、このシリーズは吉敷と別れた妻である加納通子との関係性というのが最大の魅力でしょう。

ちなみに、数年前に出た『龍臥亭幻想』では、吉敷と石岡が直接会話するシーンが出てきます(御手洗は電話出演のみ)。ファンは涙ものです。まあ、作品はいまいちなので、あれですがね。
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猫まんまさんへ (kei)
2007-07-04 14:01:25
 吉敷と石岡が会話するシーンがあるんですか。ふーん、でも、さほど違和感ないかも。
 ただ、吉敷と御手洗は一緒に登場させるのは無理でしょうね。

 作品自体が空中分解しそうです。
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