ケイの読書日記

個人が書く書評

綾辻行人「迷路館の殺人」

2008-03-29 12:21:08 | Weblog
 これも「時計館の殺人」と同じくらい面白い。やっぱり館シリーズは初期の作品の方がいいね。

 推理小説界の大御所・宮垣が新進推理作家4人を自分の住む『迷路館』に招き、競作させる。一番すぐれた作品を書いた者が、宮垣の莫大な遺産の半分を手に入れることができるのだ。
 迷路館が舞台、被害者は作家自身、といった作品上の条件のもとに、彼らは作品を書き始める。その作品どおりの惨劇が自分の身に降りかかるとも知らずに…。

 審査員として、評論家・編集者・ミステリマニア(これが島田潔)の3人も招待されていて、作家と同じく密室となった館に閉じ込められる。


 いつものように綾辻の巧みなミスリードで、読者のほとんどがカン違いしただろうが、渦中にいる登場人物たちはお互いをよく知っていて、勘違いできないはず。

 犯人は「なぜ須崎の首を切りおびただしく出血させたか?」→「犯人の血の跡を隠すため」
 そこまで追求した島田潔が、その可能性を見逃すなんて考えられるだろうか?
 男だったらかえって真っ先にその可能性が頭に浮かぶかも。

 ミスリードは良いとして、そこがすごく引っかかる。
コメント (2)
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