ケイの読書日記

個人が書く書評

奥山貴宏「32歳ガン漂流エヴォリューション」

2008-03-24 09:24:15 | Weblog
 12月に読んだ『31歳ガン漂流』の続編。前作の時は、あまりのショックにご本人も混乱していたが、今作品では悲惨だが自分のやりたい事が見えてきて、迷いがなく集中してきている。

 大学卒業後、編集の仕事にたずさわって、それからフリーライターとして独立、着々と足場を固めていた時に31歳で肺ガンである事が判明。余命2年と宣告される。
 良くも悪くも自分には文章を書くことしか残されていない、それなら出来る所までできるだけの事をやってみよう、という覚悟が清々しい。


 そんな事を書くと筆者に「わかったような事を言うな!!」と怒鳴られそうだが確かにキレイ事ではすまない。特にお金。話には聞いていたが、抗ガン治療費というのは、とても高額らしい。
 健康保険を使っても、支払い窓口で目の玉が飛び出るほどの請求額。それも、効果が感じられれば支払うかいもあるだろうが、苦しいだけ体力を消耗するだけでは…ね。

 それに「この痛みから逃れられるなら死んでもいいと思った。正気を保っているのが難しいくらいに痛いのだ」と書かれている凄まじい痛み。
 私も「死んだ方がマシ」と思えるほどの痛みを、陣痛の最後の方で経験した事があるが、せいぜい1~2時間のことだ。

 しかし、奥山さんはこの先、生きている間ずっと(間隔はあるだろうが)その痛みと闘わなければならない。モルヒネを使わない以外。


 家族やブログの読者から、ホスピスに入ったらと奨められるが筆者は断固拒否する。最後まで闘って死にたいと。
コメント (2)
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