ケイの読書日記

個人が書く書評

有栖川有栖「マレー鉄道の謎」

2008-03-04 12:01:12 | Weblog
 私は、あまり有栖川有栖の作品は好きではないが、この「マレー鉄道の謎」は評判が良いようなので読んでみた。
 時刻表を駆使した鉄道ミステリではなく『目張り密室殺人事件』

 マレーシアのリゾート地キャメロンハイランドに観光に来た火村と有栖川は、そこで殺人事件に遭遇する。
 外部へと通じる、あらゆる隙間をテープで封印されたトレーラーハウスの中で、若い男が刺殺されていた。この「完璧な密室」の謎を火村は解く事が出来るのか?

 しかし変わってますねぇ。部屋をテープで目張りして刺殺されるとは。これがガスとか首吊りで自殺として処理される所に、名探偵が登場し「ちょっと待った!」と疑問を呈するのが王道なのに。
 (目張り密室という状況はディクスン・カーの作品にもあるらしい)

 密室物は、トリックがわかると「なーんだ、バカバカしい」と文句の一つも言いたくなる物が多いが、この作品のトリックはよく出来ていると思う。
 なるほど、うまくやれば密室が可能かも、と思わせてくれる。

 それに事件現場のキャメロンハイランドの情景が素晴らしく、私も訪れたくなっちゃったよ。いいなぁ、南国の高原リゾートか…。

 いつもの火村の気取った言い回しが大嫌いな私だが、この作品ではそういう所もあまりなく、有栖川の関西弁やサムライイングリッシュが絶好調!!
 2人のおしゃべりも、とても楽しく読めた。良い作品だと思う。
コメント (4)
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