本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

また、犬に棒

2017-01-20 09:32:43 | Weblog
 半月ほど前に「本を手あたりしだいに読んでいると、偶然、身辺の出来事や世の中の事象と鉢合わせることがある。犬も歩けば棒にあたるようなものだ」と書いた。
 以下はそれに似た話である。

 物置の書架に、集英社版『新日本文学全集』(昭和39年発行)がある。古本屋では全集ものは引き取らないと聞いていたので処分しないままになっていた。たしかに売れないだろう。この全集はおもしろいことに純文学と大衆文学の作家がごっちゃになっている。たとえば仁木悦子や源氏鶏太や柴田錬三郎がいれば、一方には三島由紀夫や井上靖や野間宏がいるという具合である。
 
 今、その全集から取り出した第21巻目にある高木彬光の「破壊裁判」を読んでいる。この作家の推理小説は若い時分によく読んだものだが、この小説は知らなかった。
 そして並行して読んでいる本に山田風太郎の随筆集(平成5年発行)がある。この作家の随筆は飄々とした味がある。
 
 この随筆のひとつ「美食と粗食」に、「横浜の中華街で本格的な中華料理を喰わせる、という情報をきいて、友人の高木彬光さんと勇躍して出かけ…」とある。
 さらに、「いびきの神」では、「友人の推理作家高木彬光さんから…「ワグナーの音楽祭を見る音楽団体にくっついてゆかないか」と誘われた」とある。
 高木彬光は登場しているのだ。
 
 50数年前の本と20数年前の本を、今どきパラレルに読んでいるのも奇異だろうけれど、その作家が文中とはいえ交叉したというわけ。
 これだって棒にあたったようなものではないか。

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