本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

作家の値打ちという本

2006-01-20 21:04:47 | Weblog
 福田和也著『作家の値打ち』は、純文学とエンターテイメントから五十人ずつ計百人の作家の574作品を評価したものだ。労作であることは間違いない。何しろ、700の作品を9ヵ月で読破し、評価を下したという。ただし、眉唾の点がある。これは後述。
 著者は気鋭の文芸評論家のようだが、その評論の一作も読んだことはないので、実力に接していない。ただ、文芸評論以外にも様々なことを書いていて、月刊文芸春秋連載の「昭和天皇」なんぞは楽しみのひとつである。目利きの読書人であることは確かであろう。

 さて、くだんの労作の対象条件は、現存の作家でかつ、作品が入手可能であるとのこと。つまり、読もうと思えば、本屋で買って評価の検証ができるわけで、これはまことに親切。換言すれば、珠玉の作品でも絶版のものは採り上げないということだ。また、百人の枠に入らない作家は、ある程度の作品はあっても存在感が薄い作家か水準の低い濫作だけの作家らしい。ただし、評価の結果、鼻も引っ掛けないような作家もいた。
 
 この本の面白いのは、評価を数値化したことだ。90点以上(世界文学の水準で読み得る作品)、80点以上(近代日本文学の歴史の銘記されるべき作品)、70点以上(現代の文学として優れた作品)、60点以上(再読に値する作品)、50点以上(読むに値する作品)、40点以上(何とか小説になっている作品)、39点以下(人に読ませる水準に達していない作品)そして29点以下(人前で読むと恥ずかしい作品)である。

 どんな作家のどんな作品は何点か。それは次回に。といっても興味はないか。


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