本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

漢字とひらがなの使い分け

2020-08-24 08:47:38 | Weblog
 「漢字」と「ひらがな」との使い分けにルールがある。そのルールとは、具体的な内容・事項を示すときは漢字、抽象的な内容・事項はひらがなを用いることだ。

 例えば「靖国通り」や「明治通り」は漢字の「通り」、「下記のとおり」のようなときひらがなになる。
 約束の時がきた」はまさしく具体的な時間のことだから漢字。民法にも「相続開始の時」とある。この時刻が大事になるわけ。一方、道交法の「左折しようとする車両等があるときは」のように仮定の事項だからひらがなというわけ。
 ほかにも「物」と「もの」、「事」と「こと」、「所」と「ところ」などがあるが、例文を書くこともない。
 
 殊に気になるのは「いう」と「言う」の使い方。この間違いが書物や雑誌に散見されている。
 「言う」は「彼女が言うには」とか「私から詳しく言わせてもらうが」とかのように口から発するサマのこと。だから文章上にそう現れるはずはないが漢字を用いている。
 「いう」は、伝聞「あの芸能人に薬物使用があるという」、推量「日本のコロナ重傷者が増加するという」、不確か「オリンピックは中止するという」

 「あれは悪人だぜ」と、歳三はいった。
 「歳、よくいった。清河めはずいぶんむずかしいことをいったようだが」(以下略)
 『燃えよ剣』からの引用だが、これには、口から発することは本来「言う」の漢字だが、ひらがなにしている。「いったようだが」はあきらかに伝聞だからひらがなでよいのだが、どれもこれもひらがなでは締まりがない。