本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

キャッチ22

2007-02-12 15:05:12 | Weblog
 ダン・ブラウン著『天使と悪魔』に、「ああ。アメリカ人なら、どん詰まりとでも言うところさ」のセリフがある。この「どん詰まり」にキャッチ22のルビを振っていた。
 30年以上前、アラン・アーキン主演の「キャッチ22」を観た。戦争の狂気をモチーフとしたものだが、もう憶えていない。ただ、タイトルだけが意味不明として記憶から消えない。なるほど、「どん詰まり」ということですか。やっと言葉の解明ができました。

 ちなみに、「ウィキペディア」によると、映画の原作はジョーゼフ・ヘラーの同名小説とある。また、22とは作者の架空の産物で、軍規第22項を意味している。この規定は「狂気に陥ったものは自ら請願すれば除隊できる。ただし、自分の狂気を意識できる程度ではまだ狂っているとは認められない」というものだ。
 そこから、板ばさみの状態、ジレンマに陥る状況を「キャッチ=22」と呼ぶ慣用句ができたらしい。まァ、どん詰まりも似たようなものだろう。

 それにしても、小説のタイトル(もちろん、その語には概念の裏打ちがある)が慣用句化するとは凄い。太宰治の『斜陽』もそうでしょうね。慣用語化して斜陽産業といいますもの。もっとも、『斜陽』はチェーホフの『桜の園』の影響を受けた。だから桜の園と聞いただけで、没落のイメージが広がる。ただ、桜の園産業とまでは一般化しませんね。
「太陽族」もその例かと思うけど、タイトルの部分だけが一人歩きした。それで、ちょいと違う気もする。