本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

役所のポスター

2007-02-08 12:36:21 | Weblog
 市役所でポスターが目に留まった。「固定資産税の償却資産の申告 忘れてないですか 総務省」とある。「忘れてないですか」は、殺伐とした文ですねぇ。それともお上の尊大な文か。「忘れていないでしょうか」、「忘れていませんか」あるいはもっと丁寧に「忘れておりませんか」としたいものです。

 そもそも分割すれば、忘れ(動詞連用形)+て(接続助詞)+ない(形容詞)+です(丁寧の助動詞)+か(疑問の助詞)となるか。しかし「ない」がよく分からない。「忘れてない」は、まァ、よいとして、「ない」の反対語「ある」を使った「忘れてある」はちょっと不自然だ。「忘れていない」、「忘れている」が自然であろう。そうだとすれば、ポスターの文言は「買われてない」、「売られてない」、「泣かれてない」などと同様に、話し言葉に現れる「い」抜きである。つまり補助動詞の「いない」、「いる」の用例となるべきではないか。
 もっといえば、「いる」、「いない」は動作の継続を表す語や現在の状態を表す語である。日本語には「Be+Gerund」の文型がないから、判断がややこしいが、「山に登っている」(動作の継続)「お金を持っていない」(現在の状態)がその用例になろう。

 ポスターは、忘れていないかどうか、現在の状態を問うているはずだ。その意味でも「ない」はおかしい。