ひとこと・ふたこと・時どき多言(たこと)

〈ゴマメのばーば〉の、日々訪れる想い・あれこれ

今日の「パンダ公園」

2014-05-04 07:37:15 | 日記
若葉の輝きは、まさに奇跡としかいえません。
自宅近くの団地脇に小さな公園があります。
パンダの置きものが幾つか置かれているので、「パンダ公園」と呼ばれています。
団地には、若い家族が多く暮らしていますので、お休みの日や、この季節の夕方などは、
子ども達や母親の姿が見受けられます。
どこにでもある平和な光景です。

子ども達の声は、新緑の舞台で、良く響きあいます。
あの地震と放射性物質が飛び交っていた3年前の五月、公園に子ども達の姿は無かったのです。
今は除染が済んだので、子ども達も砂遊びをしたりしています。
3年前、同じ公園脇を通った際に書き止めたものの一部を掲載します。

        『ざらり』
    晴 そよ風。
    土曜日、公園の昼下がりの舞台です。
    子どもたちのおしゃべり、言い争い、泣き声、母親の叱り声が【いつもの今】という
    シンフォニーを奏でているひと時のはずです。
    でも、子ども達も、母親の姿も見えません。
    シンフォニーの旋律は聞こえません。

    青い空と、緑の若葉の舞台セットで、つつじ、皐月、名もない草花が、五月を詩っています。
    赤・白・桃色・オレンジ。
    お天気がいいので、タンポポも地面に黄色の陣取りをしていました。

    やや歳のいった男が、独りベンチに掛けています。
    前かがみに腰を下ろしています。
    【考える人】(※)のポーズです。
    犬が一匹、男の横に座っています。
    男も犬も表情は見えません。

    耳を傾けると、つぶやきが あちこちから聞こえてきます。
    砂場からも、シーソーからも、パンダの置きものからも。
    閉め切られた窓の内側からも。
    「放射線 こわいからね」
    「ドウシテ ドウシテ ネェ ドウシテ」
    「コワイヨー」
    「大丈夫よ だいじょうぶ」

    気がつくと、もうベンチに男も犬もいませんでした。
    初めからいなかったのでしょうか。
    男が着ていたシャツの色と、犬の毛並みの色だけがベンチに張り付いています。
    形は定かでないのですが灰色のようです。

    あ、透きとおった風が。
    五月の若葉がサヤサヤ さやさや サヤサヤ。
    何かが。
    ざらり。
                    (※)オーギュスト・ロダン制作 ブロンズ像
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