一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

強引なのはもうウケないのでは?

2006-01-31 | M&A

(2/1追記あり)

※ オチもひねりもないエントリになってますので備忘録程度に。

イオン、オリジン東秀にTOB ドンキと争奪戦に
(2006年 1月30日 (月) 23:26 朝日新聞)

オリジン株をめぐっては、ディスカウント大手ドン・キホーテがすでに敵対的TOBを実施中だが、オリジンは「企業文化が大きく異なる」と反対している。イオンの提案に対しては、オリジンの取締役会と労働組合がともに賛同を表明しており、イオンが友好的買収者「ホワイトナイト(白馬の騎士)」になった形だ。

ドン・キホーテの公開買付のリリースによると

・・・そのため、当社はオリジン東秀との事業提携を具体化するために、平成17 年8月、創業者のご遺族から発行済株式総数の約23.62%(当社単独では約8.63%)に相当する株式を取得しました。 しかし、・・・両者の事業提携を成功に導く上で必要な条件であるスピードが不足していると言わざるを得ない・・・ そこで・・・両者の事業提携の強化に向け、取締役の派遣などを含めて、オリジン東秀の経営へのコミットメントを高めることを選択し、本公開買付けの実施を決断するに至りました。

これに対して、オリジン東秀の取締役会の TOBに反対の意向表明によると

昨年8月にドン・キホーテ・・・は、当社発行済株式総数の約23%を突如として一方的に取得しましたが、それ以降、当社は、ドン・キホーテがそれらの株式の取得を当社に事前に通知しなかったことの一事に拘泥することなく、・・・事業提携等・・・に関し・・・誠実に同社と協議・・・を行ってまいりました。・・・しかしながら、上記準備過程を通じて・・・問題が多数存することなどが明らかになってきております。・・・しかも、上記協議、検討、検証の過程においても、また、本公開買付けにおいても、ドン・キホーテが「新しい時代の新しいビジネスモデルである」と主張する「次世代型コンビニエンス・ストア」という提案内容の詳細は、未だ当社に示されておりません。

提携について試験的な実施や協議にどこまで本気だったか、というあたりが双方の言い分の食い違うところでしょうが、もともとの23%の株式取得が業務提携についての合意を前提としたものでないとすると、「大株主になったので業務提携をしろ」と土足でづかづかと入り込んだあげくにTOBというのは、ライブドアvsフジテレビ・楽天vsTBSを経た後ではもはや流行らなくなっているやりかただと思います。

当初の株式取得は昨年8月と楽天よりは前だったのでそのまま力ずくで押し切ろうとしているようですが、半年で潮目が変わったので、世間的にはドン・キホーテのやり方は賛同を得られにくいように思います。

また、オリジン東秀にとって、イオングループはThe Body ShopやTalbotなど、資本参加した子会社の独自性を生かしながら育てるのが(本業のGMSより?w)得意な(または目利きがうまい)ようですから、ホワイトナイトとしてはいい会社が現れたんじゃないでしょうか。

※ もともと私はドン・キホーテに対しては悪印象があるので、リリースを見てもオリジン側の方が説得力あるように見えてしまい勝ちであることを申し添えます(^^;

*******************
toshiさんのエントリにコメントされた方が、そもそもドンキの当初の株取得自体が、創業者一族と現経営陣の確執の間に入ったいわばホワイトナイトだ、という指摘がありましたので、ちょっと調べてみました。

もともと創業者社長が店頭公開(97年末)後ガンが発病し、いなげやからスカウトしてきたのが現社長です(2000年6月就任)。その後創業者は会長となるも2002年10月他界しました(このへんの経緯は現社長のインタビュー記事参照)

その後2005年3月にJASDAQから東証2部に上場、8月にドン・キホーテが株を取得してます(この際のオリジン側の他人行儀なリリースはこちら

とまあざっと見たかぎりではどのような確執があったのかよくわからりませんでした。

「会社(特に上場企業)は誰のものか」を考えるときに、「大株主である創業者一族」(尊重されたい気持ちはわからくもないし、現にトヨタなどでは大きな影響力を持っている)、「現経営陣」、「後から買った大株主」、「一般株主」、「TOBをかけるホワイトナイト」のそれぞれの利害関係を考えるいい見本になるかもしれませんね。
(追記までしまらないエントリになってしまった・・・)

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インドについて(つづき)

2006-01-31 | よしなしごと
榊原教授のインドについての講演の続きを備忘録代わりに。

1.インドの強み
(1) 若年人口の多さ
インドは人口の55%が25歳以下。世界の25歳以下の人口の4分の1がインド人(!)である。
若年人口の増加は国力の源泉であり、ゴールドマンサックスの2050年のGDP予測では①中国②アメリカ③インド④日本となっている。
こちらからの孫引きによると、高齢化が進んでいる日本が4位にいますが、規模はインドの1/4以下、5位のブラジルに背後を脅かされている、という構図です。
原典にあたったわけでなく、予測の根拠は明らかでないのですが、2050年の予測というのは信憑性としては昭和30年頃になされた21世紀予測のようなものでしょうし、BRICsブームを後押しする意図があるような・・・

(2) 高等教育のレベルの高さ
インドは激烈な競争社会で、競争を勝ち抜いたエリートのレベルは相当高い。特にITや医学の分野に力を入れている(特に医学は社会主義政権の時から民営化されており、病院も競争に勝ち抜くために最先端の医師と機器を導入し外国からも患者を受け入れている)
今後の企業の競争力が価格要因でなく技術力・ブランド力が問われるようになっていく中で、優位性を持つだろう。

(余談)
都市部・高学歴者の中では特にビジネス上はカーストは意識されておらず(ほとんど話題にすらならないがアンダーカーストのexecutiveも多い)極端な学歴社会。逆に受験競争に勝ち残れば社会階層をあげることができるので、優秀な若者に対しては家族や村を上げてバックアップしている(競争があまりに過酷なので社会問題になっているくらい)

競争が激しいということは社会階層のmobilityにつながり、逆に競争がないと社会階層が定着してしまう。日本では「ゆとり教育」などと競争を排除した教育制度が逆に社会格差を助長し「下流社会」をもたらしているのではないか。
※ ちょうど内田樹先生のblogで「そもそも均質な社会を前提としてそれぞれの社会集団に固有のエートスがあった日本に、均質でない社会を一つの価値観で統一する「グローバル・スタンダード」を導入したことに問題の根源がある」という話もありますのでご参考まで(記事はこちら

2.インドの課題
(1) インフラ整備
ハイテク関係で経済成長をしているインドだが、貧困層は依然として国民の多数を占めており、国民に生活の向上と広く雇用の機会を与えるためにインフラと製造業の整備に力を入れようとしている(現状は中国の30分の1程度の整備状況とか)
これについては「貧困撲滅」ということで与党国民会議派と共産党などの野党の意見も一致しているが、PFI的な手法を導入したりするなかで左派には「外資」への抵抗感もあり、蜜月がいつまで続くかはわからない。

また、国民の権利意識が非常に強く、中国のようにインフラ整備のために一斉に立ち退きをかける、というようなことはまず不可能。

(2) 多様性と意思決定の遅さ
インドは連立政権であり、州ごとに支配的な政党が異なるので多数政党が実現する可能性は低い。しかも国民の権利意識が高いので、すべての意思決定に時間がかかる。
また、宗教的多様性特にイスラム過激派・ヒンズー過激派によるテロ活動も阻害要因になりうる。

(3) 外国からの資金の過剰流入
BRICsブーム、インド株ブームで外国から資金が流入し、インド株はバブルの様相を呈している。
中長期的には成長が見込まれるが、過剰な資金流入は反動によって経済にダメージを与えかねない。
特に最近日本の数百億円規模の投信が設定するそばから売り切れ、という状態でその辺節度のある姿勢が望まれる。

「インド株のアナリストもいないのに投信を売っちゃだめですよ」(事実未確認です)

※これは金利差に着目したNZドルへの投資がNZ経済に悪影響を及ぼしているのと同様(こちらの日経記事「日本からNZドル建て債投資急増、副首相「経済に悪影響」」参照)ですね。日本のマネーも自分の影響力を自覚したほうがいいかもしれません。


<おまけ:榊原教授が"Pro-Asia"なわけ>

域内分業はしているが全体をまとめてみると、既にアジアは「世界最大の工場」になっている。
一方で中産階級人口も7億人(中国2億、インド1億、日本1億、韓国・台湾・シンガポール1億、その他タイ・マレーシア・インドネシア・フィリピン等で2億(うろ覚え))と「世界最大のマーケット」でもある。
なので、将来のポテンシャルとしては欧米よりもアジアの方が高い。
もっとも、エネルギー、食糧、環境問題等が課題となり、20世紀型の成長は難しいだろうが、アジアには歴史と文化を基本にした省資源・環境適合・健康志向のアジア型経済発展モデルが構築できるのではないか。
(ここは最後の質問への回答だったので、相当テンションが上がって走り気味でした。さすがに"LOHAS"は出てきませんでしたがw)


読み直してみると床屋談義風な講演ではありましたが、何の予備知識もない私としてはけっこう楽しめました(前半は冗長でしたが・・・)
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法治と人治

2006-01-30 | よしなしごと

元大蔵省財務官の榊原英資氏のインドについての講演を聴きに行きました。

知らなかったのですが氏は最近インドに関心を持っているようで、インドのIT企業の社外取締役に就任していたり、著作も何冊かあるようです。

なかなか講演慣れしていらっしゃって、レジュメなし、資料なしという中で世間話風に始まり、前振りの小話風なエピソードがとても長くてどうなることやらと思っているうちに暖機運転が終わったてだんだん調子が出てきて、後半はけっこう面白い話を聴けました。

そこで出てきたのが、インドと中国は対照的だ、という話。

中国は、共産党の一党独裁で、法律もコロッと変わる。契約を結んでいても守られない事も多い。一方で政府が本気になると人権などお構いなしに公共工事はどんどん進む。いわば「人治」の国

一方インドは民主主義国家なので法律がころっと変わるということはない(逆に連立政権なので機動性に欠けるというデメリットでもある)しかも国民の権利意識が強く、また激烈な競争を勝ち抜いてきたエリートたちは特に自己主張が強い。取引などできちんと弁護士を立てて細かいところまで契約書に書き込まないと、とんでもないことになる。そういう意味で「法治」の国といえる。

日本のビジネスマンは「中国は契約をしても安心できないので仕事がやりにくい」というが、インドではトラブルがあってこっちが困った場合でも契約を盾に書いてある事しか履行せず「お願い」が一切通用しない。考えようによってはこっちのほうが相当厳しい。

日本は法治国家だが、実際の運用は「法治」と「人治」の中間あたりで運用されているということを自覚しないと、ひどい目に遭う。逆に中国のほうが融通が利く分上手く動けばやりやすいかもしれない。

確かに日本は法律の運用が極端にコロコロ変わることはないですが、行政当局の裁量の幅はかなりあります(今日はここでライブドアや建築行政の話に脱線はしませんw)
また、民間同士の契約でも「規定外事項は信義誠実の原則により」などとあったり、契約に書いてあることでもその後の状況の変化によって「お願い」をすることもあります。
また、裁判になっても裁判所が事件の早期解決のために和解を勧めたりします。


文化や社会風土が異なればものの考えも違うというのは当然なのですが、どうしても自分の慣れ親しんだ視点から相手の行動も評価しがちですね。
それが極端になるとアメリカのように自分の基準を押し付けることになっちゃうんでしょうが・・・


私にはインド人や中国人の友人や取引相手がいないので何とも言えませんが、榊原氏の言が正しいとすれば、日本はいかにも日本らしく中庸かつ融通の聞くポジションにいるとも考えられますね。


そのほかにも面白い話があったので忘れないうちに備忘録として書きとめておきたいところですが今日はこの辺で。

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思想の森林浴

2006-01-29 | 乱読日記

久しぶりに本の紹介。
この前「贈与なんです、学術性の本質は」で紹介した内田樹さんと、同遼の神戸女学院大学教授の難波江和英氏と共著の「現代思想のパフォーマンス」

ソシュール、ロラン・バルト、フーコー、レヴィ=ストロース、ラカン、サイードについて「案内編」「解説編」「実践編」に分け思想の解説だけでなくその思想を「ツールとしてどのように使うか」の実例(パフォーマンス)を示した本。
内燃機関の原理が分からなくても運転の仕方がわかれば自動車が動かせるように、現代思想について「それを使うと何ができるのか」をわかりやすく解説してくれています。

私がいちいち解説するよりは内田先生の「あとがき」から引用すると

 すぐれた学術的方法は、それぞれが創始者の「夢」の刻印をとどめている。だから、私たちは素直にこう問えばいいのである。
「ねえ、これ何する道具なの?」
 それが学知に対する、いちばん礼儀正しい向き合い方だと私は思う。

本書執筆にあたって心した二つめの点は、「世界の成り立ち方、人間の在り方について、賢い人はだいたい誰も同じような事を言っている」という揺るがぬ確信を貫いたことである。
 バルトとレヴィ=ストロースとラカンが「だいたい同じこと」を言っているというと驚く方がおられるかもしれないが、これは本当である。『アンナ・カレーニナ』の有名な一節を借りて言えば、「愚かしさの態様には限りがないが、賢さはどれも似ている」のである。
 本書に取り上げた思想家たちはいずれも希代の賢者たちである。彼らが「人間とは何か」と問うとき、その答えが似てくるのは当たり前であると私は思う(ひとりずつ違っていては私たち凡人の立つ瀬がない)。

ちょうど僕が学生の頃「ニューアカ」ブームなどがあり、僕もご多聞に漏れず構造主義だポスト構造主義だのという本のツマミ食いをしたところ、もともとちゃらんぽらんで飽きっぽくて天邪鬼な性格に「意味は関係性から生じる」というようなところがフィットし、一時期ちょっと凝ったことがありました。

ただ、それが「学知」として定着することはなく、その後もちゃらんぽらんな人生を送ってきたわけですが、この本を読んで自分の考え方にも昔のツマミ食いの残滓が残っているなぁ、と懐かしく思うとともに、フーコーやロラン・バルトの思想をかいつまんで説明できることが重要なのではなく、それを使ってどういうものの考え方ができるのかが大事、と言ってもらったことでちょっとは勇気付けられる感じがしました。

昔、長嶋監督の指導について選手の誰かが「こう構えてバァーンッっと打つんだ」と身振り手振りで教えてもらうと、そのときはすごく分かった気になるんだけど、翌日になると思い出せなくなってしまう、という話をテレビで見た記憶があります。
それと同じで、難しい思想書も読んだ直後はすごくわかったつもりになっても、あとで何を言っていたかかいつまんで説明しろといわれても全然できなかったりするのですが、その中で考え方のエッセンスを頭の片隅に取り込めればいい、と考えればいいんですね。
長嶋監督の指導も、潜在意識への刷込みとして効果を上げているんじゃないでしょうか。

思想を理解するのにはそもそもキャパシティの少ない自分の頭で全体像理解しようとするのでなく、森林浴のように自分の思考回路にエキスを取り込むくらいの気持ちでいいんだ、などと自分勝手に納得してしまいました。
 






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メイドのみやげ

2006-01-28 | 余計なひとこと

昨日いちばん気になったのがこの記事

メード喫茶から女性店員連れ去る 無職男を現行犯逮捕
(2006年 1月27日 (金) 20:02 朝日新聞)

東京・JR秋葉原駅そばにある「メード喫茶」から店員の女性を連れ去ったとして、警視庁は26日、無職〇〇容疑者(28)をわいせつ目的誘拐の疑いで現行犯逮捕した。

メード喫茶は、女性店員が西洋風のお手伝いさんの姿で接客する。〇〇容疑者は「体にちょっかい出すけど、静かにしていれば刺さない」などと言って女性の腹部にキリをあてながら歩いていたところ、巡回中のパトカーに見つかり逃走したが取り押さえられた。

「メード喫茶」でなくて「メイド喫茶」じゃないの?

そもそも"maid"だし、ググッてみても「メイド」が正しそうです。
何か「パーティー」を「パーテー」と言ってしまうオジサンのような懐かしさがありますね。
でも朝日新聞の校閲を通ったんだし、何らかの理由で「メード」が正しい、という判断をしたのでしょうが、その根拠は私にはわかりません。
(もっとも"e-mail"は「Eメイル」でなく「Eメール」って書きますけど・・・)


つぎに「体にちょっかい出すけど、静かにしていれば刺さない」というセリフ。
普通は「おとなしくしてれば刺さない」とか言うと思うんだけど、「体にちょっかい出すけど」と言われたらなかなか「はい」とは言いにくいよなぁ、。

最後に「女性の腹部にキリをあてながら歩いていたところ、巡回中のパトカーに見つかり」ってそりゃメイドの格好のまま寄り添って外を歩けばさすがに秋葉原でも目立つだろうに。
犯人はそのまま電車にでも乗るつもりだったのでしょうか?


こういうコミュニケーション能力に乏しくて何考えてるかわからない奴にからまれると怖いですね。本当に被害者の方はお気の毒だと思います。
また、せっかく「電車男」で復権(?)したのに、また「ヲタ=危ない奴」という世評が広がるかもしれませんね。

今後は入店すると「お帰りなさいませ、ご主人様」のあとに「お荷物お預かりしますね」というようなオペレーションになるのでしょうかw


そういえば現在女性用に「執事喫茶」が開店準備中のようです。

その次はお年寄り用の「冥土喫茶」の番ですかね。
高僧のお説教や志ん生の落語、昔の映画などがオン・デマンドで楽しめたりする畳敷きのマンガ喫茶みたいなのが巣鴨のとげぬき地蔵通りにあれば流行るのではないかと・・・

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嘘つきばかり・・・

2006-01-28 | よしなしごと

東横イン、二重図面で偽造工事 条例違反の状態
(2006年 1月27日 (金) 06:05 朝日新聞)

ビジネスホテルチェーン大手「東横イン」(東京都大田区)が、横浜市に今月オープンしたホテル建設をめぐり、法律や市条例で義務づけられている身障者用設備や駐車場を設けた建物をいったん建てながら、市などの完了検査直後にこれらの設備を撤去・改造する工事をして開業していたことがわかった。撤去前の設計でなければ、建築確認はおりなかった。

とまあ、建築確認関係でまたもや、ということなのですが、「完了検査の後に改造工事をする」という事自体は、実際はけっこう行われていると思います。

個人住宅などでも、網入りガラスをあとから普通のガラスに変えるなど工務店が「気を利かせる」ことはよくありますし、個人住宅の場合工事完了検査を受けないこともけっこうあります(罰則とかあるんですけどね)
また、大きなビルやホテルの地下駐車場などの一部を倉庫や控え室にしたりというのもけっこう行われています。

ただ、今回は最初から確信犯で改造を前提に計画されていたらしいこと、条例やハートビル法で義務付けられた身障者用設備を撤去して、というところが悪質だとは思います。

でも、

行政によるチェックは、完了検査後は難しいのが現状。市は「こんな手口は初めて知った」としている。

というのは絶対にウソだと思います。

朝日新聞の写真(asahi.comから転載ごめんなさい)を見ても、完了検査時の仕上げを見てそのまま営業すると思うほうがおかしいくらいの「仮仕上げ」ぶりです(壁なんて石膏ボードのようなペナペナだし)

(完了検査時)



(そのあと撤去)

(改造完成後)

建築基準法でも

第9条 特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については・・・当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。

とあるので、行政も「完了検査は建築確認申請どおり出来ていればいい、後は一切現場をチェックしなくてかまわない」というわけではないんですけどねぇ。

まあ、今回は行政の怠慢があったとしても、人の生命身体への危険があるわけではないし、行政が損害賠償を求められるわけでもなく、いろいろ配慮する必要がないためもあってか
  「とんでもない話」北側国交相 系列ホテルも調査へ
と北側大臣もいきなり歯切れのよい批判をかましてますので、今後行政からの責任追及がなされそうです。


でも、行政も完了検査申請に応じるだけで、確認をおろした建築物で実際完了検査を受けずに竣工しているものがないかどうかのチェックはしてないだろうし、それを全数検査した場合、個人住宅とかは大混乱になると思うんですけど・・・

ライブドア事件などではやりのスピード違反の例えで言えば、何キロオーバー以上を取り締まり対象にするか、という議論がここでも出てきそうですね。

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ライブドア株の行方(デイトレ長縄跳び、フジテレビの今後など)

2006-01-27 | あきなひ

昨日の朝、新聞記事についてのいちゃもんを書いたのですが、さすが47thさん、「坊主にくけりゃ袈裟まで・・・」で専門的な鋭いつっこみをされています。

私などが昼飯時に新聞記事をネタに「これがダメだとあんなことこんなこともダメってことだよな~」などと駄話をしていた部分や、読み流していたところ、読んでいなかったところも含めて(「やめとこう」とおっしゃった返す刀で)片端からなで斬り状態です。


さて、ライブドアの株価は強も乱高下で、完全にマネーゲーム状態ですね。

値動きを見ていて、子供のころやった「長縄跳び」を思い出しました。
回っている縄に入るときは、縄が頂点から下がり始めたところですっと近寄って、一番低いところでチョンと飛ぶわけで、下がりきらないところや上がりかけたところで飛ぶと、縄に引っかかってしまいます。

僕はそんなに運動神経がいいほうではないので縄跳びに参加しようとは思わないのですが、今日は1日で40%も値動きがあったので、ひと儲け狙ってみるかという人は来週以降ますます増えそうです。
今日は東証マザーズの売買高の98%がライブドアだったそうですが、システムのキャパシティは大丈夫なんでしょうか?
どのみち1時間限定なら、いっそのこと立会いが終わったあとの午後4時から1時間とかにしたらいいのでは?


また、今日は
ライブドア、フジに協力要請 首脳会談で事件を陳謝
(2006年 1月27日 (金) 19:43 朝日新聞)

ライブドア側が事件について陳謝し、大株主として経営再建に協力するよう要請した。これに対してフジ側は、ライブドアが経営についての考え方を説明することや、正しい財務内容を報告するよう求めた。

つぎはフジテレビの動向が話題になってます。単純化すれば選択肢は
 ① 売る ② 買う ③ 現状のまま持ち続ける
の3つしかなのですが、
昨年デューディリジェンスをした結果のはずの@329円による株式取得の責任問題とか、支援が失敗した場合の二重遭難のリスクとかあるのでフジテレビとしても厳しいところだと思います。

ところで、上の記事中「正しい財務内容を報告するよう求めた」というところは、その結果インサイダー情報に触れることになるので、それが公表される前は売ることも買うこともできなくなってしまうわけですがフジテレビとして選択肢を狭めることにならいいんでしょうか?

「きちんと経営状況を把握することは業務提携をした大株主としての社会的責任であり、また市場のルールを遵守する以上インサイダー情報に触れる立場として売買はできない」とかいいながら当面保有
    ↓
上場廃止=市場株価がつかなくなるので保有株の減損回避
    ↓
買い手が現れたら「流動性がない以上仕方ない」として売却

というような「時間切れ引き分け」作戦を考えているとか?

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Peter Piper picked ・・・

2006-01-26 | 余計なひとこと

朝のTVニュースで新聞記事のピックアップとして紹介されていて、意味不明だったのでネットで見たらもっと分からなくなってしまったのが下の記事。

 ライブドア本体の粉飾決算、監査役の弁護士ら「適法」
(2006年 1月26日 (木) 03:05 読売新聞)

ライブドアの監査を担当する港陽監査法人(横浜市)は、こうした工作に不審を抱き、粉飾の可能性もあるとして調査を開始。一時は、「適正意見」を出す根拠が得られなかったことを示す「意見差し控え」を、監査報告書で表明することも検討した。  

これに対し、監査役の弁護士らは同期決算を「適法である」とする意見書を作成、監査法人側に示した。このため、監査法人は意見書に従って最終的に決算を妥当と結論づけ、「適正意見」を表明したという。

記事を読んでも、「監査役が依頼した弁護士」(A)なのか「弁護士である監査役」(B)なのかよくわからないのですが、Aだとしたらそんな意見書を聞く公認会計士なんているのかい(独立性ってどこにある?)てな話ですし、Bだとすると、(正しい日本語は「弁護士資格をもつ監査役」とか「弁護士である監査役」じゃないかと言う話はさておき)監査役として意見を言う相手を間違えている(業務監査の一環として会計監査人監査の内容を聴取するが、内容に異議を唱えるのはおかしい。本来「会計監査人は不適法と言ってるがどうだ?」と取締役に聞くべき話)わけです。

この弁護士が粉飾を知りながら、「適法」の意見書を作成していた場合には責任を問われる可能性もあるが、所属事務所は「取材には一切、応じていない」としている。

Aだとしたら、弁護士の責任ってない(第三者として意見を出しただけ)し、Bだとしても問われるべきは監査役としての責任のはず。なので「所属事務所に取材」というのがそもそもおかしいのでは?(タレントじゃないんだから・・・)

この記事に「弁護士」が6回「監査役」「監査法人」が各5回出てきますが、記事を書いていた記者が頭の中で舌噛んじゃったんでしょうかね?


ほかにもニュースをネットで検索していたらこんなのもありました

 ライブドア粉飾、連結決算外を装う 子会社利益で黒字化
(2006年 1月26日 (木) 06:08 朝日新聞)

投資事業組合とライブドアの関係が知られていないため、表面上はまだ連結対象とみられていないロイヤル社とキューズ社の預金を、ライブドア本体に入金させることなどによって黒字化を図ったという。

「預金を入金すると利益計上できる」と会計処理のほうが「連結はずし」よりもよほど変だと思うんですけど・・・

ライブドアの会計処理も相当いい加減だったようですが、報道する側も輪をかけて混乱しているようで。

**********************
(追記)

47thさんはいちいち報道に目くじらをたてるのを「やめとこう」と大人の態度を示されてますが、(寝起きのテレビで取り上げられたのでとてもひっかっかってしまった、というのもありますが)どうも私は大人気ないようでw

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ライブドア事件に対する問題意識のまとめ

2006-01-26 | あきなひ
47thさんにいただいたTBをきっかけに、自分なりの問題意識をまとめてみました。
結局のところ2つに絞られるみたいです。

1 証券取引法158条の適用範囲を明確にすべき

以前「別件捜査」などと以前の記事で書きましたが、もしこれが「本件」だとすると逆に「取引スキーム全体で偽計取引となる」というような違法性の判断がされていることになります。
そうすると、通常の企業活動において取引スキームの工夫(オフ・バランスにするとか税制上のメリットを受けるとか)がどこまで違法とされうるのかについては、これを契機に議論を深める必要があると思います。


2 検察の捜査手法の強引さについて

私は「別件捜査」(=因縁をつけて強制捜査をして、そこから出てきた証拠を元に立件する)じゃないのかという問題意識をもったのですが、メールなどをごそっと丸ごと押収し、経営幹部を逮捕するという企業活動を停止させかねないような捜査手法への問題提起がされています。
これについては、今回も堀江社長のblogでもデータのコピーは認められたようで、日常業務の停止もたらしたのは、取締役会が少数の経営幹部だけで構成され、代表取締役も堀江社長1人だけという超中央集権的な組織設計の方に原因がある(ベンチャー企業としてはリスクを承知で意思決定の迅速さを選んでいるが、それが裏目に出ただけ)のではないのかと思います。

ただ、私としては検察(特に特捜部)の「無謬性神話」については、国民の信頼の面から言っても「両刃の剣」になりかねないという懸念を持っています。

すなわち本当の「巨悪」に対抗する場合に自らの神話が足かせになり謙抑的になってしまうのではないか、ということです。
検察がもし勝てる勝負しかしなくなってしまうとすると権力行使が矮小化してしまい、比較的脇の甘い「出る杭」を打って世間の溜飲を下げるだけの機関になってしまうおそれがあります。
※でも、「どの程度なら負けてもいいか」というのは難しいですが・・・


おまけ 検察の捜査に対する弁護士の関与について

47thさんが示唆されるような、「企業側の弁護士内部調査や証拠提出手続に関与することで企業の日常的な活動と捜査のバランスがとれ、「強制捜査をせずに野放しにする」/「強制捜査して企業自体の活動を麻痺させる」というデッドロック的な状況を回避できる」という点(刑事訴訟手続きにも米国流の証拠開示・争点整理の手続きを導入する事が前提になりそうですが)については、「確かにそううかもしれないけど、ようわからん」というのが正直なところです。
理屈で考えると、企業として捜査が企業活動への悪影響に対して防御するためには、形式的には別問題である経営者個人の容疑については積極的に捜査協力をする取引もありうるという部分でコンフリクトが発生するので、やはりライブドアのような経営幹部だけで取締役会が構成されている会社においては機能しないような感じもします。
そうなると、「企業の日常活動と捜査のバランスを取る」制度が導入されると企業の組織設計に対して方向性を与える(ベンチャー企業のような中央集権的な組織体制は市場から「リスキー」と敬遠され、社外取締役や委員会設置会社に誘導される)ことになるかもしれませんが、それが企業活動の自由度・多様性を損なう事になりはしないか、というところが問題なのではないかと思います。


PS 
ライブドアの経営手法については「違法だとしたらけしからん。以上。」です。

また、株価が暴落したのは検察のせいだとか云々に関しては上場企業すべてに潜在するリスクなので、粉飾決算だとしたら取締役や会計監査人の責任は追求すべきでしょうが、検察に文句を言うのは筋違いだと思います(「社会的影響があるから逮捕するな」では「伝統勢力」の発想と同じですよね)。
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blogの「邪悪度」判定

2006-01-25 | ネタ
This site is certified 45% EVIL by the Gematriculator

医学都市伝説さんのサイトで紹介されていた、カバラ数秘術を使ってサイトやテキストの善悪度を判定してくれるサイトThe Gematriculatorに行ってきました。
URLやテキストを入力すると、自動的にアルファベットを数字に置き換えて、即座に判定してくれます。

このblogのurlを入れたところ、上のように「45%邪悪」(55%善良)と出ました。

まあ、善悪相半ばというあたりが胡散臭くてちょうど良いのではないかと本人は思っています^^

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堀江社長逮捕 (問題はメールじゃないって・・・)

2006-01-24 | あきなひ

堀江社長逮捕に関し、47thさんから検察の強制捜査から逮捕に到るまでのプロセスに関する疑問に関しTBをいただきました(TB元の記事はこちら

別件捜査については私も拙い直感で前の記事で触れたのですが、toshiさんからのコメントで実務上は別件捜査(逮捕)の適法性を争う事は非常に困難なので、被疑者側の権利を守るためには証券取引法の構成要件を明確にすることが重要とのご指摘をいただきました(toshiさんの関連記事はこちら

法律関係の詳しいことは上の皆様を始めとする専門家の方々に委ねるとしまして、素人の直感としては経済事犯についても「誰が悪い奴か」「悪い奴を懲らしめる」という問題意識を軸に検察の行動がなされているように思います(世論を気にする検察とマスコミの相互作用かもしれません)

なので、未だに具体的に何が堀江社長の嫌疑(何の行為が何の法律に違反し、それも正犯なのか幇助なのか等)で、何が宮内取締役の嫌疑なのかよくわからないままにそれに疑問(少なくとも質問)を呈さず「逮捕」の報道だけがにぎやかにされているのは(今回のライブドアが急成長・オーナー企業・マスコミへの露出の多さ・攻撃的姿勢というターゲットにされやすい要素をすべて持っていることもあるのでしょうが)確かに健全とはいえないと思います。

逆に(もはや遠い昔の話ように感じますが)カネボウの粉飾決算(こちらのほうが規模の大きい会社の話だったので社会経済的影響は大きかったはずです)のようにサラリーマン社長の犯罪は、世間的にもあまり注目を浴びずに済んでしまいました。
また、西武鉄道・コクドの件は堤義明氏逮捕で以上終わり、という形になっていますね。


ところで今回のライブドア問題を他の(特に従来型)の企業がどのように教訓にしているかというと、

 「メールはまとめて持っていかれると危険なので、微妙な話はメールでしないほうがいい」

というような話が耳に入るのが多い事にちょっと脱力している今日この頃です。

違法行為を指示するのはもってのほかとして、いわゆるグレーゾーンの判断については専門家に確認して、会社内で十分検討した上での行動だ、という記録を残しておくほうが重要だと思うのですが。
それとも未だにトカゲの尻尾切りが通じると言う幻想があるのでしょうか。
ひょっとするとどこもかしこもヤバいことだらけなんだろうか・・・w

もっとも聞くところによると、金融庁の検査などでもメールサーバーでキーワード検索などをしてネチネチと細かいところをつつかれるのはたまらん、という話もあります。
また、現在議論されているように証券等監視委員会が権限強化された暁には、現在の(一部の?)国税のように「査察に入った以上は何かお土産がないと困る」というようにとことんあら捜しをされるんじゃないか、という危惧もわからなくはないです。

ただそれは不用意な、誤解を招くような表現をするな、という社内文書としてのメールの書き方を徹底すればいいことですよねぇ。


企業として注意すべきはむしろ

東証の開示に「書いていない」ことがあることが「偽計取引」になる
架空の売上計上をしたことが「風説の流布」とされる

という今回の証券取引法違反容疑の射程がどこまであるかなんじゃないでしょうか。

開示資料に「書いていない」ことが証券取引法違反の嫌疑をかけられるとすると、適時開示にあたっては、相当慎重にならざるを得ないと思います。

また、「決算対策」と称して損切り・益だしはどこの企業もやっていると思いますが、たとえば単純に売却した資産の売上をどの期に計上するかについてすら事後的に「風説の流布」とされうる可能性があるのでしょうか。


「まともな企業には捜査に入りませんよ」などと検察が言ってたりしたら、なおのこといやですねw

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誰が誰から何を買うにしても

2006-01-24 | あきなひ
ライブドア一転、買収の標的に?資産だけでも魅力的
(2006年 1月23日 (月) 23:31 読売新聞)

などと早速はやし立てられておりますが、現在の株主にとって優しい話にはまずならないのではないかと。


まず、ライブドア本体を買おうと考えます

上の記事では「現預金-有利子負債で860億、それにセシールなどの子会社もあるので2000億円程度なら」などという「業界筋」のコメントを載せていましたが、フジテレビからの損害賠償請求や、子会社(特にダイナシティなどのキナ臭い会社)に対する債務保証など、何が出てくるかわかったものではありません。

普通この手の「死に体」の会社は倒産手続きの中で既存株式の価値を0としてから増資なり営業譲渡というのが多いのですが、今回キャッシュはあるので倒産もしません。

では現在の発行済株式の購入を検討してみます。するとまず発行済株式総数10億株、株主数22万人という会社の株を買う手間だけでかなりのものです。
それに、ライブドア本体の株を買うと、以前17%、18万株持っているホリエモンに(今の時価とは比べ物にならないかそれでも1株60円超なら億単位の)キャッシュが行くことになり、それへの批判も考慮する必要があります。

そうすると次の手は株式交換。
これなら新会社法下では代表訴訟提起後に株式交換があっても原告適格を失わないので一応「勧善懲悪」気分は満たされます。
しかし今回の証取法違反が株式交換がらみだったことを考えると、ちょっと「火中の栗」度合いが高いです。特にライブドア側の評価は高くなりようはないものの、「買収側の評価が不当ではないか」などと言われかねないですね。
さらに、ライブドアの取締役会が機能停止なので交換比率も決められないのではないでしょうか。

そうすると、株主提案で取締役を入れ替えて会社を清算して株主に還元する、くらいしかありませんが、これは既存株主が意見を統一してやるようなもので新しい投資家が入っていくメリットはあまりないです。


そうするとライブドアの関係会社をばら売りで買う、ということが考えられます。
グループ会社の概要は分からないのですが、粉飾決算会社だけでなく一応利益やキャッシュフローがついている会社はあるのでしょうから、それらは売れると思います。

でも、稼ぎ頭のHS証券が今回の投資事業組合関係で免許取り消しになったりすると、ほとんど値段のつく会社はなくなってしまうかもしれません。

そうやって本体に売却代金を集約させて、余剰金を配当させる、分かりやすくなった本体を誰かに売るか、はたまた会社を清算するということができるかもしれません。

でも、この子会社売却などの意思決定は誰がするのでしょうか?
現経営陣またはその推薦者はダメでしょうけど、火中の栗を拾って経営者になる人がいますかね。
それに、いたとしても誰が取締役候補としてかつぎあげるのでしょうか?現経営陣でなければ株主提案権の行使が必要です(要件は1%または300個の議決権を6ヶ月以上継続保有)が誰かが音頭をとる必要があります。


というわけで、素人考えでは「タナボタ」「干天の慈雨」ということはないと思います。

今まで無配の会社で(株主総会でホリエモンを見たいという人以外の)大半の株主は興味がなかったことかのしれませんが、結局最後は株主として議決権をどう行使するかが問われることになるのでしょう。
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同じ鍋の牛丼

2006-01-23 | 余計なひとこと
万全の再発防止策要請 首相、牛肉問題で米に
(2006年 1月23日 (月) 21:19 共同通信)


以前アラブの某国の国王が来日したときに、ジャンボ機で羊を連れて来て、日本側の歓迎に対するお礼としてその羊を迎賓館の庭で焼いてお国の料理で日本側をもてなした、ということがあったそうです。
そういうときはもちろん検疫とかはせず(できず)、向こうの王様も食べるのだから間違いはないだろうということで皆さん笑顔で召し上がったとのことです。

「毒見」なしで食を共にするというのはお互いを運命共同体として信頼するもっとも根源的な関わりあい方なんでしょうね。

今回の輸入牛肉問題は日本側の全数検査もいいのですが、たとえば米国政府要人が来日した際には、必ず一食は国内スーパーでランダムに購入した牛肉を使った料理(例えばbeefbowl 牛丼)を供するというようにすれば、米国側も国を挙げて検査体制の充実に取り組むのではないでしょうか。
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宮崎勤被告の死刑判決について

2006-01-22 | よしなしごと

遅くなりましたが宮崎勤被告への死刑判決について。

※ 意見というよりは制度のおさらいのエントリになってますのであらかじめお断りしておきます。
※※といいながら若干感想を追記したのですが、追記のほうが前提を整理できているのでしたのでそちらを先にしました。その結果ものすごく長くなってしまってます^^;
*********************************

(1/22追記)
判決後のテレビや新聞などで、「宮崎被告が心を閉じたままだったのが残念」とか「宮崎被告の心の闇に迫れなかったのは残念」という評論家やドキュメンタリー作家のコメントがありましたが、それを裁判に求めるのはどうなんだろうな、と思いました。

被告人にも人権があり、裁判の結果を有利にするために主張したり自分に不利なことは黙秘できるわけですので。

もっともその発言の背景には「世間」としては、このような異常な犯行を社会常識の枠組みで整理したうえで、安心して日常生活を送りたい、というニーズがあるので、作家やジャーナリストもそれに応え(る商品を供給し)ようということがあると思います。

その整理の仕方としては

A 今回の事件は宮崎勤という「異常者」によって引き起こされた(だから普通の隣人はそういうことはしない)
B ここまで残虐な犯罪者は極刑に処してしかるべきだ

というのが(私自身も含め)一般的なのではないかと思います。

しかしAは宮崎勤を共同体の枠外に位置付けるもので、その被告を共同体の枠内の刑罰で処罰する(B)というのは実は考え方として矛盾しているところがあります。(逆に処罰可能な普通の犯罪者としたら、同様の事件を共同体のリスクとして受け入れなければならなくなるわけです)

つまり実は世間が期待していたのは「異常者だが極刑に処すことが可能」という裁判を期待し、そのために公判上で宮崎被告の異常性(=心の闇)を事実として確かめたかったのではないか、と思います。
またそれは、宮崎勤の部屋に入ったテレビクルーが、部屋にあったビデオをアダルト・ロリコン物を前面に出すように再配置した心理に通じるものではないでしょうか。

でも、「心の闇」の問題は、本当は裁判所に任せるのでなく、私たちひとりひとりが向き合わないといけないんですよね。


心神喪失状態の犯罪がどう処罰されるのかが以下の元のエントリのテーマですが、その前段として改めてこんなことを考えました。

*********************************
(以下が元のエントリ)

事件の概略と要点は朝日新聞の記事に要領よく整理されています(末尾に引用しています)。

刑法には精神の障害により事理弁別能力が失われたり、著しく減退している場合には刑事責任を問わない、という規定があります。

(心神喪失及び心神耗弱)
第39条 心神喪失者の行為は、罰しない。
  2   心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。

この裁判も最後は宮崎被告が責任能力があったのかどうかということが焦点になったようです。
宮崎被告の精神鑑定は90年、92年の2回行われ、1回目は6人の医師が責任能力あり、という結論、2回目は3人中2人の医師が精神病であり責任能力は限定的、という結論になったのですが、1審2審判決とも2回目の鑑定結果は採用されませんでした(最終的に法的な責任能力の有無については裁判所が決める)。

最高裁判決はここについてはさらっと高裁の判断を維持しています。

「なお,所論にかんがみ記録を調査しても,被告人に責任能力があるとした原判決の認定は,正当として是認することができ,刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。」


私の最初の感想は「16年もかける必要があったのか?」です。

1審は1990.3.30(第1回期日?)~1997.4.14(判決、即日控訴)と7年、2審は1999.12.21(第1回期日?)~2001.6.28(判決)と(間の弁論準備期間?)を入れると4年、今回の最高裁判決まで3年半かかっています。

心神喪失・心神耗弱はもちろん犯行時の精神状態の話ですから、犯行後時間がたってからの精神鑑定では証拠としては弱い(犯行時に比べて治ってるかもしれないし悪化しているかもしれない)わけです。
そうすると、2回の精神鑑定をどう評価するか、ということになると思いますが、その結論までにこのように長期化するような論点があったのでしょうか?

この長期化は宮崎被告にとっても、(もし精神病だとしたら治療も受けられずに16年も収監されているわけで)マイナスなんじゃないか
16年という時間の中で①犯行当初は心神喪失だったがその後自然治癒したらどうなるのか②犯行当初は責任能力があったがその後精神病が発病したらどうなるのか

というあたりが素朴な疑問でした。

①については、精神病などで犯罪を犯した人に対して、心神喪失者等医療観察法(「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」)という大変長い名前の法律があり、重大な他害行為(殺人・強盗・放火・強制わいせつ・強姦・傷害の中の一部)を行った者が、心神喪失又は心神耗弱を理由として、不起訴又は無罪若しくは執行猶予付の判決を受けた場合に、「行為をおこなった際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するために」この法律による医療を受けさせるという制度になっています。

これにより、釈放された時点で検察官が必要があると判断した場合は強制入院等で医療を受けさせることができます。

※ただし、刑法学者の中山研一先生のblogによると、この法律の目的が「精神病の治療」なのか、「再犯のおそれ」がなくなるまで退院させない(こうなると判断のリスクを医師が負うことになる)ことなのかは議論があるようです。


②については、刑事訴訟法で

第479条 死刑の言渡を受けた者が心神喪失の状態に在るときは、法務大臣の命令によつて執行を停止する。
3 前二項の規定により死刑の執行を停止した場合には、心神喪失の状態が回復した後又は出産の後に法務大臣の命令がなければ、執行することはできない。

と、刑の執行停止がうたわれています。


ということで、制度的には(死刑制度の是非や「心神耗弱」でも死刑は執行されてしまうことの是非は置いておくと)漏れがないようになっているようです。

もっとも、心神喪失者等医療観察法の施行は平成17年だったので、それまでは①の問題は残っていたのかもしれませんね。


いずれにしても、長引いた論点がどこにあったのかについては興味がありますし、単に弁護団の引き伸ばしや裁判所の判断に時間がかかった、というのであれば、宮崎被告本人にとってもよくなかったような感じがします。


(参考)

宮崎勤被告に死刑 連続幼女殺害事件で最高裁が上告棄却(2006年01月17日13時40分 朝日新聞)から

 東京や埼玉で88年から89年にかけて、女児4人を誘拐して殺したとして殺人などの罪に問われた宮崎勤被告(43)=一、二審で死刑=に対し、最高裁第三小法廷(藤田宙靖(ときやす)裁判長)は17日、上告を棄却する判決を言い渡した。10日以内に判決訂正の申し立てがない場合、死刑判決が確定する。幼い子が標的にされ、被害者宅に遺骨が届けられるなどした衝撃的な事件は、発生から17年を経てようやく終結する。
 藤田裁判長は法廷で「責任能力を認めた二審判決は、正当として是認できる。性的欲求を満たすために4人の女児を殺害したもので、非道な動機に酌量の余地はなく、社会に与えた影響も大きい」と理由を述べた。最高裁は法律審のため、被告本人は出廷しなかった。
 単なる人格の偏りなのか、精神的な病気なのか――。宮崎被告が4人を誘拐して殺害した事実にはほぼ争いはなく、16年近くに及ぶ公判の争点は、宮崎被告の事件当時の責任能力の有無に集中した。
 
上告審で弁護側は、二審段階でわかった東京拘置所での向精神薬の投与の経緯や幻聴の症状などから「統合失調症などの慢性的精神疾患であることは明らか」と主張。「二審判決を破棄しなければ著しく正義に反する」として、審理を高裁に差し戻して改めて精神鑑定し、責任能力を調べるよう訴えた。
 一方、検察側は「責任能力があるとした鑑定は十分な根拠に基づき、合理的だ。精神病とした鑑定は、公判での供述をそのまま犯行時の体験とする立場に立っており、到底採用しがたい」などと述べた。
 精神状態に注目が集まったのは、被告が法廷で「ネズミ人間がでてきた」など不可解な発言を繰り返すようになってからだ。
 
一審段階の鑑定は、責任能力を完全に認めるものから限定的とするものまで3通りに分かれた。
 
まず、90年から6人の医師による鑑定が行われた。1年半かけ、「人格障害によるもので、病気ではない」と結論づけた。のちに一、二審判決が依拠したのはこの最初の鑑定だった。
 
2度目の鑑定は弁護側の要請で、92年から3人の医師により行われた。うち2人は「多重人格など解離症を主体とする反応性精神病で、責任能力は限定的」と判定。(1)被告本人(2)衝動的な殺人者(3)冷静な人物(4)犯行声明を送った「今田勇子」――の4人格があると分析した。
 
もう1人は「統合失調症で心神耗弱にあたる」と判断。「高校卒業後に潜在的に発症し、性的欲求と収集欲求から犯行に及んだ」とした。しかし、こうした2回目の鑑定結果はいずれも採用されなかった。二審段階では、新たな鑑定は行われなかった。

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東証はライブドアを非難できるか?

2006-01-21 | あきなひ

(1/22追記あり)

システムの処理能力不足問題についてふと思ったこと。

今回問題が顕在化するまえから、ネット取引の急増と機関投資家の小口に分けての注文の増加はわかっていたわけですから、システム増強のための設備投資を先送りにしていたのは、株式公開を意識して

設備投資と資金負担(借り入れ)でB/Sを悪化させたくない
株価上昇で収益が向上している中で、金利負担と償却費でP/Lを悪化させたくない

というような考えがあったのではないか。

そうだとしたら、決算数字を必死になって作っていたライブドアと精神構造においてはどこが違うのだろうか?

*********************************

(1/22追記)

東証システム、耐用期限過ぎていた 導入は10年前
(2006年 1月22日 (日) 10:58 朝日新聞)

次期システム開発は、東証と日立で数年前から進めていたが、04年後半に迎えた耐用期限に間に合わず、その後は現行システムの保守・整備で対応していた。

ということです。
投資をけちったのか計画が杜撰だったのか、いずれにしても肝心かなめのところが脆弱だったというのは何とも情けない話です。

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