一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

エヴァ

2008-06-30 | キネマ

週末からTSUTAYAでDVD旧作半額セールをやっていたので何かシリーズものをまとめて観ようと思い、結局「新世紀エヴァンゲリオン」を借りてきました。

これ、放映時にアシスタントの子(当時20代前半?)から「面白いですよ」と言われ1回だけ観たものの、その回だけではいまいちよくわからず、当時(から)僕(30代前半)は帰宅も遅くビデオ録画をする習慣がないためそのまま見過ごしてしまったものです。


これを観る前にブログを定期巡回していると、ウチダ先生の「情報を抜く」というエントリを発見

「情報を抜く」とは何かと言うと、橋本治氏との対談での橋本氏の言葉

『桃尻娘』を書くときに、こっちが二十七、八じゃないですか。主人公は十五だったでしょう。
何が違うかというと、男と女が違うと考える前に、彼女は俺より十二年若いんだ。とすると、俺が知っている十二年分、彼女が知らないんだな。そういう引き算をしちゃったんです。

をきっかけにしています。

情報があるせいで、理解できないことがある。
過去においてつねに「未来は霧の中」なのであるが、「過去における未来」のうち「現在において過去になったこと」はその「霧」的要素を失ってしまう。
それはもう「起きてしまったこと」なのである。
「起きてしまったこと」が目の前にあるとき、「どうして、『このこと』が起きて、『それとは違うこと』が起きなかったのか?」と問うことはきわめてむずかしい。
私たちは「起きてしまったこと」の宿命性をつねに過大評価するからである。

前に紹介した『まぐれ』では「生存バイアス」とか「後知恵バイアス」とも言われています。


これを読んだのもなにかの縁なので、エヴァも現在からの目線での評価をしながら観ないようにしようとしました。
この作品は既にいろんな人が論評してますし、そもそも舞台が2015年ともう近未来じゃなくなってる(歳とるわけだ(笑))などという事情もありますので。

だとすれば没入したほうがいいかと、土日で結末の部分をリメイクした劇場版まで一気に観ました。

批評めいたことを考えずに「綾波レイは左利きなんだ」(学校での掃除当番の雑巾の絞り方がそうだったんで)とか楽しみながら観たので今日は小難しい話はなしです。


一言で言えばやりたい放題やった作品ですね。
だからインパクトがあるのでしょう。




さすがに今朝は眠いです。






それに、実は『ツインピークス』も借りてきちゃってるんですよね(笑)



 

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日本ハウズイングの株主総会の結果

2008-06-29 | M&A

日本ハウズイング第44 期定時株主総会決議に関するお知らせ
これだけではぶっきらぼうなので招集通知とあわせて整理してみます。

<会社提案(第1号議案から第5号議案)>
第1号議案 剰余金処分の件
(省略)

第2号議案 定款一部変更の件(1)(取締役の解任決議の決議要件の緩和)
これはもともとカテリーナ社からの株主提案。 
買収防衛策の導入が株主総会の普通決議なのに、取締役の解任の要件が定款で2/3に加重されているのは均衡を欠く、というもの。 
ごもっともな指摘でもあり会社提案にしています。

これは可決。  


第3号議案 定款一部変更の件(2)(買収防衛策にかかる規定の新設)
これは原弘産からの株主提案を会社提案にしたもの。 
買収防衛策の発動が「株主意思確認総会における株主投票、または書面投票のいずれかを選択できる」とされているものを会社法上の正式な株主総会の決議にする旨の定款変更。 
日本ハウズイングはこういって会社提案にしています。

 当社としては、株主総会におけるいわゆる勧告的決議が実務的に広く行われていることや、実際の運用として会社法に従って開催される株主総会において株主意思確認手続を行うことによって、株主総会の手続的な規制を株主意思確認手続に及ぼし、公正な運営をすることが可能であること等に鑑み、本株主提案権行使者による上記提案の理由が適切であると考えるものではありません。
 しかし、上記のとおり、当社が導入する買収防衛策のあり方及びその運用は当社の資本政策の根本に関わる重要問題であることから、株主の皆様のご意思を最大限に、かつ法的により明確な形で反映させることが望ましいと判断し、当社取締役会として本議案を会社提案とします。

これは否決されたのですが、4号議案で防衛策の修正により株主総会決議によることになったので、手続き的には同じことになりました。 
ただ、これが否決されたことで原弘産から後述のように法律論争を仕掛けられることになります。  


第4号議案 当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)導入の件 
これも原弘産からの提案を会社提案にしたもの。 
買収防衛策の「導入」という議題ですが、実質は現行の案の一部修正です。 
内容は、3号議案と同様、株主の意思確認を会社法上正式な株主総会決議とすることと、「当社取締役会は、(中略)不十分であると合理的に判断できる場合には」や「但し、当社取締役会は、不合理に取締役会検討期間の開始を遅延させ、または取締役会検討期間の引き延ばしを行えないものとします。」と取締役会による恣意的な運用を制約しようとする文言の追加です。 

これに対して日本ハウズイングは   

当社取締役会としては、上記のような変更を行わずとも、当社買収防衛策が恣意的に運用されることはないと考えておりますが、他方で、・・・変更が行われたとしても、当社として当社買収防衛策の運用の障害となるような点は一切なく、また当社買収防衛策の内容は実質的に何ら変更されないことから、当該変更自体についてはあえて反対することはいたしません。 

としています(まあ、そうとしか言いようがないですが) 。

これは可決。


第5号議案 当社買収防衛策に基づく原弘産グループに対する対抗措置の発動を当社取締役会に委任する件
これと株主提案の 
第6号議案 買収防衛策に基づく株式会社原弘産らに対する対抗措置不発動の件
ここが実質的に最大の争点です。

結果は5号議案は可決(賛成:54.73%、反対:45.26%)6号議案は否決(賛成:45.19%、反対:54.81%)と僅差ながら日本ハウズイングの勝ちとなりました。

またもうひとつの株主提案 
第7号議案 取締役2名選任の件
も同様の僅差で否決されています。


これに対して原弘産は 日本ハウズイング株式会社の株主総会の結果についてでつぎのように言っています。

1.4号議案~6号議案は「無効」 
会社法第295条第2項は、「前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。」と定めている。今回根拠となる第3号議案が否決されたため、第4号議案から第6号議案は、「この法律に規定する事項」でもなく、「定款で定めた事項」でもないため、株主総会で「決議をすることができない事項」となった、というのがその理由です。

2.TOBは実施しない 
1を言うならTOBを強行して取締役会決議で買収防衛策が発動された場合にその無効を争う法律論争をする、という選択肢もあったと思いますが(個人的にはその結論を(怖いもの見たさ半分で)見てみたい気もします)、総会の投票結果を見ると、ここで強行すると「悪者」イメージがついてTOBや訴訟でも不利に働くと考えたのかもしれません。

3.日本ハウズイングの経営陣への非難 
日本ハウズイングは、「成長戦略」をマニフェストとして掲げて委任状勧誘をしたにもかかわらず、株主総会において、小佐野社長は株主からの質問に対し、最後まで「成長戦略の達成については、努力はするが、コミットはできない。」「株価については約束できない。」などの答弁に終始したのは矛盾している、という指摘です。 
もっとも業績を具体的数字でコミットするというのはどこの会社でもやっていないと思うので(将来は確定的ではないし、だからこそ経営者がいるわけで)ちょっと揚げ足取り気味ですが、実際の総会での答弁も逃げ回り気味だったのかもしれませんね。(こういう問い詰め方は昔の総会屋さんがよくやっていたような感じもしますが(苦笑))

4.取締役の解任要件の緩和の評価と今後の経営監視強化の宣言  

本件株主総会における小林専務の答弁によると、「成長戦略は、2月18日の自社株TOBの決定及び原弘産から買付提案の段階では、検討に着手していない」とのことでしたから、当社が買付提案をしたことが外圧となって、「成長戦略」は立案されたものといえます。 そこで、株主の皆様は、当社に1,000円で株式を売却する機会は得られませんでしたが、これを「凌駕する・・・成長戦略を確実に実行することにより、原弘産の子会社になった場合の株価を上回るものと確信しております」(平成20年6月13日付日本ハウズイング経営陣作成に係る委任状勧誘文書)との現経営陣からの約束を得ることができたとともに、仮にこれが単なるその場しのぎの言葉であり、全く達成されなかった場合には、期中であっても臨時株主総会を通じて過半数の賛成により現経営陣を解任することができる権利を得たことになります。  

当社は、今後、日本ハウズイングの現経営陣自らが公表した「成長戦略」を達成することができるか否かを、また日本ハウズイングの株価が1,000円以上となるか否かを、一株主として厳しく監視してまいります。そして、現経営陣が、株主との約束を破り、これを達成しないことが明らかとなった場合には、直ちに取締役の交代の議案等の株主提案を行うとともに、臨時株主総会の招集請求を行い、現経営陣の経営責任を追及する所存であります。  

と、相変わらず意気軒昂です。  

確かに今回の買収防衛策は来年の定時株主総会までが期限なので、今回の原弘産に対する防衛策発動の取締役会への委任もリセットされ、来年もう一勝負できるわけで、「負け犬の遠吠え」とまでは言えないと思います。


ただ問題は、この1年間という時間がどちらに有利に働くかでしょう。 

不動産市況の軟化が続くと、原弘産自身の資金繰りが厳しくなり、日本ハウズイング株を放出せざるを得なくなる、という可能性もあります。 
こうなると、原弘産がグリーンメイラー化したり、逆に日本ハウズイング側がホワイトナイト探しをする余裕が出てくるかもしれません。 

また、全体の株価が回復したおかげで「成長戦略」は未達なものの株価が1000円を越えるなんていうラッキーもあるかもしれません(こういうときはどうするんでしょうかね)。  


引き続き四半期決算ごとくらいに話題になりそうですね。

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「御用」のウナギ

2008-06-27 | よしなしごと

最初一ノ宮漁協の偽装と混同していたのですが、ここにきて続けて発覚したんですね。
土用の丑の日が近くなり、卸売市場に数が出回り始めたところで農水省もチェックを厳しくしているのでしょうか。

マルハニチロの子会社のほうはこんな話も。

暴力団周辺者も関与 ウナギ偽装 ラベルに架空会社 2商社へ手数料4000万円
(2008年6月27日 01:16 産経新聞)

関係者によると、中谷社長ら幹部は、手法について、徳島県の暴力団周辺関係者に相談。偽装ラベルを張って、かば焼きを箱詰めする四国の業者も紹介してもらい、その業者に“偽装表示”を委託。その料金や謝礼などとして、魚秀から周辺関係者側に流れた資金は数千万円以上とみられる。



こんな構図のようです。

まあ、普通の印刷会社にニセのラベルを発注しても小さい印刷会社でも枚数も枚数ですし「ヤバイ」と思って受けてくれないですわね。
今回「偽装工作の下請け」であって取引(偽装)を仲介したわけではないんですね。
暴力団が全体を仕組んでいたら、犯罪収益移転防止法の「特定取引」にいきなり「ウナギ」なんてのが追加されたりして(笑)
(まあ、この法律は国際テロ防止からみなのでいきなりそんなことにはならないでしょうが)

閑話休題

しかし、偽装をめぐって両社の立場は真っ向から対立する。魚秀が「偽装は神港と相談して決めた」とするのに対し、神港側は「偽装は5月27日に魚秀側から明かされるまで知らなかった」と主張する。  
この5月27日には、神港魚類の担当課長(40)が中谷社長から、中国茶の袋に入った1000万円を受け取っているが、この資金についても、両社が農水省に示した認識は異なる。「偽装に協力してくれた謝礼」という立場の魚秀に対して、神港は「5月27日に偽装を明かされたことについての口止め料」との見解だ。1000万円は「産地偽装が事件になったときの証拠品」と考え、保管していたという。

偽装を知ったらまず証拠品を押さえるよりも出荷停止とか公表をするのが先ではないかと思うのですが。

両社は出荷先を近畿以西に限っていた。農水省関係者は「架空会社が発覚しないよう東海地方や首都圏を避けた可能性もある。(中略)」と話した。

とかなかなか微妙な感じです。

また、間に入った商社の商慣習も素人にはわかりにくいです。

魚秀が本当の製造者と発覚しないよう、7億7000万円はまず都内の商社に振り込ませ、その商社はさらに別の商社に資金を振り込んだ。その上で、魚秀は商社に資金を銀行から引き出させ、中谷社長や別の役員に手渡しさせた。手渡しは4回に分け、架空会社の製造を装うため、一色フード名で領収書を発行する徹底ぶりだった。

商社の役員は「商品のウナギは見たこともなかった。業界大手の神港魚類と取引できると喜んだ。契約関係や過去の経緯から販売しにくい相手に、関係ない会社を経由させて魚を売るという行為は業界では珍しくない。手数料も高かったし、引き受けた」と話す。

間に入って口銭を抜くかわりに売主だか仲介者としての責任も負うわけで、「見たこともない商品を扱う」というのはリスクが高いと思うのですが、そういう業界の慣行があるとすると、間に大きな問屋とか商社が入っていても産地表示などほとんど信憑性がないということになってしまいますね。

神港魚類の調査委員会には親会社のマルハニチロホールディングスも関与するそうですが、魚秀の偽装を知らなかったとした場合に(間の商社が神港に持ち込んだ話ではないようですので)あえて魚秀が2つも商社を介在させる取引をなぜ受けたのかというあたりが焦点になりそうです。


ところであまり突っ込んでいる人はいないのですが、僕は魚秀の「中谷彰宏」社長っていうところにひっかかったのですが(写真はこちら

有名な(だった?)ほうの中谷彰宏さんは相変わらずいっぱい本を書いているんでしょうか。

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フィレンツェの落書き

2008-06-26 | よしなしごと

イタリアの大聖堂に落書き 岐阜の短大生、名前や校名
(2008年6月25日(水)00:41 朝日新聞)

大学側によると、大聖堂には各国の言葉で多くの落書きがあり、6人は「高揚してしまった」と反省しているという。大聖堂側に英語で書いた謝罪文を送って許しを請い、大学も謝罪したところ、「修復の費用負担は不要」との返事があったという。


フィレンツェのシンボルでもあるサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂、通称ドゥオーモ(Duomo)ですが、僕が昔行ったときも(参照)けっこう落書きはありました。

こんな感じです。
観光地にありがちなことではあります(通天閣の階段なんかもすごい落書きですよね)

 

短大生たちが落書きしたという見晴台にもけっこう落書きはあったかもしれません。
特に見晴台までは500段くらい階段を登ってやっとたどり着くので、確かに達成感や高揚感はあります(でも落書きしないで写真でも撮れよ、ですが)。

この学校、これから毎年フィレンツェに研修旅行に行って、落書き消しのボランティアをやったらいいのではないでしょうか。



僕がこの記事を読んでの一番の感心は謝罪文。

イタリアまで「研修旅行」に行ったのに、どうして「英語で書いた謝罪文」なんでしょうか。


慣れない英語で書くよりは、日本語で書くほうが誠意が伝わるように思います。


たとえば


ドゥオーモすいません



とか・・・



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ブランド牛

2008-06-25 | よしなしごと

飛騨牛 等級偽装指示認める 「丸明」社長 国・県の調査に
(2008年6月24日(火)16:15 産経新聞)

このニュース、あまり真剣に聞いていなかったのは、「飛騨牛」というブランドを知らなかったせいもあります。
スーパーで「飛騨牛」とあっても、なんだそれ?という感じだったと思います。

wikipediaによると

日本食肉格付協会による格付けでは、歩留等級がA~C(Aが最も良い)、肉質等級が5~1(数字が大きいほど良い)となっており、「A5」が最も良い。
ブランド牛には、同協会の格付けを用いているものと、一部を用いているもの、全く格付けを利用していないものがある。
一般に、格付けの低いものまで含めた方が流通量を確保でき、ブランドの知名度を上げることが容易ではあるが、ブランドの信頼は落ちる。
以下に、肉質等級で主なブランドを分けて記載する。

肉質等級5を満たす場合のみ呼称されるブランド(全国に3ブランドのみ)。
 仙台牛
 深谷牛
 信州牛

肉質等級4以上
 前沢牛
 米沢牛
 常陸牛
 佐賀牛
 神戸ビーフ(肉質等級の内、脂肪交雑のみ使用)

肉質等級3以上
 飛騨牛
 The・おおいた豊後牛

肉質等級が4または3
 仙台黒毛和牛

肉質等級が無関係なブランド
 松阪牛
 但馬牛
 近江牛
 しまね和牛
 豊後牛

これを見ると飛騨牛は「格付けの低いものまで含めた方が流通量を確保でき、ブランドの知名度を上げることが容易ではあるが、ブランドの信頼は落ちる」という線をねらっていたのでしょうが、今回の事件で当初の戦略よりも知名度は上がったもののブランド力は低下するという逆レバレッジが効いてしまったことになります。


それにしても、僕の知らないブランド牛が多いこと・・・
「山形牛」とか「熊本牛」と言われてもホイホイ買ってしまいそうです。

普段いかにいい生活をしていないかがよくわかります(笑)


そういえば、NBAのロサンゼルス・レイカーズのコービー・ブライアント(Kobe Bryant)って、父親が来日したときに気に入った神戸牛(上で言えば神戸ビーフ)にちなんで名づけられたらしいですね。


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『営業はサイエンス』

2008-06-24 | 乱読日記

久しぶりのビジネス書(というかノウハウ本)。

「必ず成功するための72のセオリー」という副題がついていますが、そのうち1/3は自分自身で実践していること、1/3は意識はしていたが文章化できていなかったこと(「そんなこと当たり前じゃん」というのも含めて)、1/3はなるほど、という感じでした。

著者曰く

 「サイエンス」とは「混沌とした状況の中から、その混沌を支配している法則やルールを見つけ出すこと」だと私は理解しています。

野中郁次郎風に言えば「暗黙知」を「形式知」にというところかもしれません。

確かに、「営業は人間関係だ」とか「営業は気合だ!」という掛け声で、皆が通じ合っている時代がありました。(中略)事実そうした考え方でも売れていた時代があったのです。それで売れたものですから、禅問答まがいのあいまいな“ノウハウ”がまかり通っていたのです。

確かに昔はそうでした(笑)

そして今でも「禅問答」は悪い上司の常套句でもあります(苦笑)


そういう意味ではオジサン的にとっても部下を指導する時の「切り口」を用意してくれている本としてけっこう使えるのではないかと思います。



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『まぐれ』

2008-06-23 | 乱読日記

副題は「投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか」 。

以前『ヘッジホッグ―アブない金融錬金術師たち』の紹介(参照)の中で孫引きしたヘッジファンド運用者のナシーム・ニコラス・タレブの著書です。
参照先のエントリには訳者の方もわざわざコメントいただき、その中でこの本の日本語訳の出版を予告いただいておりました。

本書はトレーディング(相場)において、なぜ人間はランダム性に振り回されるのか、そして振り回されているということにすら気がつかないのかと、いうことを手を変え品を変え、これでもかというくらい書いています。

曰く、確率と期待値を混同する、都合のいいサンプリングしかしない、そして科学的な理論を都合の良いように引用するetc...
そして、そもそも人間の脳自体が常に合理的な判断を下すのではなく(そんなことをしていたら情報量が多くて処理できない)、「いい加減で手っ取り早い経験則」を元に判断するようになっているというところまで掘り下げます。

本書は2001年初版のあと2005年の第二版にあたり、著者の関心の広がりにしたがって大幅な改定がされています(訳のベースはこの第二版)。特に生物学、脳の働きというところが大幅に加筆されたようです(昔のエントリでちょっとだけ言及したスティーブン・ピンカーなども引用されています)。


その結果、本書はトレーディングの要領や経済についての本から、より広く、ランダム性に振り回されたり勘違いしない、または控えめに言って誤ることが避けられないのであればどういう過ちをしがちであるかを知ることがよりよい人生につながるということを、考えさせてくれるものになっています。

なるほど、と思うところはたくさんあるのですが、ひとつだけ紹介するのが進化論の誤用の指摘

 植物や動物は世代が進むのと一緒にひたすら完璧な存在へと突き進むのだと信じている素人は多い。そんな考えを社会に応用して、競争(と四半期決算報告という戒律)のおかげで企業や組織もよりよい方向へまっしぐらだとmの信じている。一番強いものが生き残る。弱い奴は消え去るのみだ。(中略)
 物事はそんなに単純ではない。大体、組織は自然界の生き物みたいに子供を生まないという事実を無視している段階で、ダーウィンの考えを根本的にわかっていない。ダーウィンの説は繁殖適応度に関するもので、生存に関するものではない。この本に出てくる話はみんなそうだけれど、問題はランダム性にあるのだ。(中略)
 ダーウィン的な適応はとても長い時間かけて発達する種について成り立つもので、短期間では起きない。時間的集中のせいで偶然の影響はほとんど消えてしまう。世間でも言うように、物事(ノイズと読むべし)は長い目で見れば釣り合いが取れるようにできている。
 稀な現象は突然起きる。私たちは物事がよりよいほうへ連続的に「収束」していくような世界で暮らしているわけではない。人生のいろんなことも、連続的に動き続けているわけではない。 まったく違う。


著者は最後に

情緒が割り込んでくるとき、頭で考えたことは身につかない。私たちは教室を一歩出れば脳の合理的な部分は使わなくなる。自己啓発本は(万が一インチキでなかったとしても)ほとんど役に立たない。正しい見識ある(そして「親切な」)アドバイスや雄弁なお説教は、私たちの頭の中の配線に合わなければ数秒しかもたない。理性主義の面白いところは、尊厳や個人的な美意識に訴える点だ。これは遺伝子に組み込まれているのである。次に不幸な目にあったときから、人としての品格を大事にしよう。どんなときでも、sapere vivereの(「人生を悟った」)態度を示すのだ。

まあ、それができないから難しいわけですし、もともと

私のモットーは「自信満々で、自分の知性を信じきっているやつらはいじめてやろう」である。

というような著者(こういう人は僕はかなり好きです(笑))だけあって「○○の品格」のような説教にはたどり着きません。
いろいろ不幸な目にあっても毅然としているべしと皮肉のこもった例をいくつかあげ、最後にこんなのを付け加えています。

私の子供の頃からの友達のように、ちょっと「態度に問題のある」人なら、仕事がうまく行かなくなっても急にいいやつになったりはしない(彼は同僚たちにこんな雄雄しいeメールを送りつけた。「仕事は減ったけど、態度は今までどおりだ」。)

座右に置くか、読み直さなくても、本棚の目立つところにこの「まぐれ」と対処された背表紙を置いて、戒めにしたいと思います。


PS
bunさんが「P行動経済学」というエントリをシリーズで書かれています。
確率と期待値の混同やランダム性に翻弄される例として非常に参考になります。

(僕はパチンコを全然やらないので仕組み自体がよくわからなかったのですが、なるほどゲームとしては良くできていると感心します。)

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「不動産屋にでもおなりなさい」

2008-06-22 | よしなしごと
巡回先で話題になっているNHKドラマ「監査法人」の第二回を遅ればせながら見ました。
タイトルは、主人公が「飛ばし」先の会社の会計士(主人公の監査法人のTOPの兄弟子)に問い詰めたときに言われたせりふです。

ドラマの舞台は2002年ということなので、アドバイスにしたがって不動産ファンドに転職(実際にそういう会計士も結構います)した方が稼ぎという点では当たりだったかも知れないなぁとドラマの筋からは関係なく突っ込みたくなってしまいました(苦笑)。


ドラマ自体はけっこう面白いのですが、細かいツッコミとか疑問をいくつか。

今回は食品会社が粉飾のために不良在庫を非連結の会社に「飛ばし」ているという話なのですが、在庫がどこにあろうとその保管費用を迂回していようと、売り上げ
があがっていなければ製造原価がかかっている以上在庫としては残るはずで、業績不振は売上高利益率の低下などでわかるのではないか。
もしこれをやるとすれば架空の買手(=売上を計上できる相手先)が必要なはずで、そうだとすると、飛ばし先の倉庫の火事で食品会社本体が謝罪の記者会見するのも妙な話です(会計素人なので間違っていたらご指摘ください)。

あとは、会計監査の最中も上着を脱がないってありえないんじゃない、とか、会計士からの問い合わせにアシスタントが直接対応するというのもよほどお人よしな会社じゃないの、とか細かいところはいろいろありますけど、ドラマとしてはかなり楽しめます。
会計事務所のtopと食品会社の社長と銀行の頭取の会食シーンの掛け軸の書が「喰」という字で飛ばし先の会計士の部屋の書が「誠」だというあたりのディテールのこだわりはウケました。


番組の冒頭で監査法人の報酬と企業との癒着の可能性をさらっと触れています。
株主や市場のための役割と報酬を決定するのが会社の執行側だという仕組み上の齟齬の問題はけっこう本質的なので、ここをどこまで掘り下げるのかなと期待しているのですが、次回予告編を見ると、主人公の若い会計士(正義)vs事務所の経営者(悪)という対立構造で描こうとしているようでちょっと心配ですが、全体的にはうまくまとまっているので、次回以降も期待したいと思います。
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「内弁慶」は少なくとも内には強いはずなのですが

2008-06-21 | M&A

またまた気になってしまった日本ハウズイングのリリース。

原弘産主催説明会に関するご連絡について(2008年6月19日)

・・・当社としても、原弘産との間で意見交換をする意義を一概に否定するものではございません。しかしながら、当社は、なるべく均等に、かつ誤解のない形ですべての当社株主様に情報を提供すべきであり、説明会といった、必ずしもすべての当社株主様にご参加いただけるわけではない場で意見交換をすることは望ましくないと考えており、書面での明確なやりとりにて、株主の皆様に正確な情報を提供したいと考えております。
 また、当社は、同年6月27日開催予定の当社第44期定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます。)において、原弘産グループの提案する議案について、原弘産にご説明いただく時間を十分に設けさせていただく予定です。これまでの当社及び原弘産グループによる様々な形での情報提供に加え、本定時株主総会において原弘産からのご説明の機会と時間を設けることによって、当社の株主の皆様には十分な情報提供がなされるものと考えております。
 したがいまして、本原弘産提案につきましてはお断りする旨本日原弘産に対して通知いたしましたので、お知らせいたします。  

でも、総会の場では既に委任状勧誘で勝負がついてしまっているのではないでしょうか。 
相変わらず日本ハウズイング側は後手後手に回っている感じですね。  
票読みは不利な中では説明会で直接対決したほうが活路を見いだせるようにも思うのですが。 
カテリーナ社もISSなども原弘産のTOB自体に賛成しているわけではないので、支配株主としての信頼性に疑問を呈することさえできればいいわけですから。

僕は原弘産自身日本ハウズイングの買収者としてホントにふさわしいか、ということに疑問なので(参照)、原弘産が上手な買収者としてふるまわれてしまっていることに歯がゆい気持がします。
ただ、日本ハウズイングは別のホワイトナイトを探すのでなくあくまでも「独立系」にこだわっているようなので、それなら買われちゃっても仕方ないかな、と思いつつあります。


さらに余計な突っ込みをすると「本定時株主総会において原弘産からのご説明の機会と時間を設けることによって、当社の株主の皆様には十分な情報提供がなされるものと考えております。」というからには株主総会の会場はどこだろうと招集通知を見ると

東京都新宿区新宿五丁目3番1号
東京厚生年金会館 地下1階 ロイヤルホール
(当社は、従来、当社会議室にて株主総会を開催してまいりましたが、本株主総会におきましては、より多くの株主様にご出席いただけますよう上記会場で開催することに決定いたしました。ご来場の際は、末尾のご案内図をご参照いただき、お間違えのないようにご注意願います。)

とあります。 でも「ロイヤルホール」って384㎡、定員350人です。(参照(真ん中やや下))
ひな壇や事務局席をつくると株主席は250人分くらいしか取れないですよね。
株主数の1117名(議決権を有する株主が何人かわかりませんが)に比べて足りなくなるってことはないのでしょうか。
特に話題の総会なのでいろんなつてを辿って出席しようという人が多いと思うのですが。
(これこそ余計な御世話か(笑))

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ジオンとザク

2008-06-20 | ネタ


左は正しくは「じおん」「じこん」、右はほんとに「ざく」という銘柄です。


「而今」は木屋正酒造、「作」は清水醸造と、ともに三重県の酒蔵のお酒というところも何やら縁がありそうです。。

「作」で盛り上がるお客は多いけど、「而今」を「ジオン」と無理読みまでしたのはあんたが初めてだ、とご店主にあきれられましたが。

酒蔵の名誉のために言うと、両方とも美味しいお酒でした。
而今は純米吟醸無濾過生原酒。香り高く生酒の厚みもある一方で後口もいやな残利方がしません。
作は柔らかい口当たりと最後にほのかな稲穂の香りがしました。



これに「シァヤ専用」の朱塗りの片口などがあれば言うことなしですね。

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紙つぶての応酬

2008-06-19 | M&A

もういいや、と思いつつ、たまに見てしまう日本ハウズイングと原弘産のHPです。
この際相互リンクを貼ったらいかがでしょうか(笑)


さて、その後の動きです。

「原弘産グループに対する質問書の送付について」(2008年6月12日)

昨年株主総会決議で導入された買収防衛策(参照)に基づき過去に2回質問書を送付しています。
株式会社原弘産及び井上投資株式会社への質問書の送付について(2008年3月5日)
株式会社原弘産への再質問書及び回答書の送付について(2008年4月1日 エイプリルフールではないようです)
この補足として昨今の不動産会社をとりまく金融情勢を反映して買収資金の調達の根拠についての質問です。


「原弘産らの買付提案に対する社員の意見表明」
(2008年6月13日)

意見書の発信者が「社員一同」とあるのですが、誰なんでしょうか?
労働組合とかなら説得力があるんですけどね・・・

この意見表明を行うにあたって、全国25 部支店、12 営業所のすべてから1,000 名を超える社員の署名とともにお客様やお取引先様の声を踏まえた貴重な意見が集まりました。

とありますが、会社概要によると2007年3月31日現在で従業員4,691名うち「本社員」 1,083名 準社員 3,608名 なので、本社員(いわゆる正社員?)の9割以上の意見が一致したということなのでしょうか。(リスクマネジメント上はそこまで従業員の感性が均一だとそれはそれでまずいようにも思うのですが)
それとも準社員を入れた全社員の1/4の意見ということでしょうか。  
ブルドックソースや北越製紙のときとはちょっと雰囲気が違うような感じもします。


「原弘産のカテリーナ・イノウエに対する回答書に対する当社の見解及び反論について」(2008年6月16日)

これ、そもそも宛先がないのですが、カテリーナ社に対するものなのでしょうか。
そうだとすると「反論」というのが成り立たないと思います。
「(1) 当社のこれまでの事業の取組み」はいいとして「(2) 原弘産のこれまでの事業の取組み姿勢に対する疑問」「(3) 原弘産の提案する「ストックビジネス」の実効性には疑問がある」は、質問したカテリーナ社が判断することです。

そうやって読んでいくと 「(4) 株主の皆様へ改めてのお願い」

あれ??これは株主宛(カテリーナ社を含む、ということ?)だったのでしょうか。
そうだとするなら、上と同じ買収防衛策の一環としての質問権の行使をするのが筋では?


一方原弘産は6月18日に立て続けにリリースしています。

日本ハウズイング株式会社役職員の方々への、当社主催説明会へのご来場の提案について

日本ハウズイングの従業員の方々から、平成20 年6月13 日付で、「当社提案には反対」の旨の意見表明がなされました。これは、当社としては大変残念なことですが、皆様のご意見として尊重せねばならないと認識しています。他方、これまで日本ハウズイングの従業員の方々に当社が直接語りかける場がなかったのも事実です。そこで、一度、そのような提案をする当社のトップの発言を是非直接お聞きいただき、そしてその場で当社に直接皆様のご意見・ご感想を頂戴したいと考えております。

余裕の構えでしょうか。

さらに追い風?
議決権アドバイザー2社による議決権行使レポートについて

この度、機関投資家(生損保会社、年金基金、投資信託などの機関投資家)に議決権行使についてのアドバイスを行う、内外の大手議決権アドバイザー2社(ISS及び日本プロクシーガバナンス)が、買収防衛策発動に関する議案(第5号議案及び第6号議案)につき、日本ハウズイング提案1に反対し、当社側提案2に賛成する、とのレポートを発表したという情報を入手いたしました。なお、レポートの内容についての詳細は、ISS及び日本プロクシーガバナンス株式会社にお問い合せください。

ただこういう他社の非公開の情報をIR情報として流すのっていいのでしょうか?
会員向けのサービスの場合一般の株主はアクセスできないので、真偽が確認できない情報を流しているということにはならないでしょうか。

そして
日本ハウズイング株式会社への回答書の送付について

質問事項3.について当社の財政状態に懸念はございませんのでご安心下さい。これ以上は、取引所規則(適時開示)との関係もございますので、特定先のみに当社の財務状況等にかかわることを回答できませんことをご理解いただければ幸いです。
最後に、繰り返しになりますが、貴社が公表した買収防衛策によれば、既に取締役会検討期間を過ぎ現在は株主熟慮期間でございますので、昨日ご提案申し上げました6 月 21 日の説明会にご出席いただき、直接ご質問等を頂戴できれば、改めて、貴社株主の皆様の面前で、上記回答内容を含めてご説明申し上げます。株主総会も迫ってきており、株主の皆様に有益な情報提供をさせていただく観点からも、質問を書面にて頂戴するのではなく、6 月21 日の説明会へご出席頂き、意見交換等をさせて頂きますよう、重ねてお願い申し上げます。

ここの部分は「蹴たぐり」風な回答です。
資金調達の部分はけっこうネックなのかもしれないですね。

取締役会検討期間については、買収防衛策では

買付者等から情報・資料等(追加的に要求したものも含みます)の提供が十分になされたと当社取締役会が認めた場合、当社取締役会は、対価を円価現金のみとする公開買付による当社全株式の買付の場合は、原則として60日間を超えない検討期間、その他の大規模買付行為の場合は原則として90日間を超えない検討期間(以下「取締役会検討期間」といいます)を設定します。(下線筆者)

と期間の始期が流動的なので必ずしも原弘産の指摘が正しいとも言えないと思います。ただ逆にそのような恣意的な運用のされやすいルールの合理性が問われるかもしれません。  


また、最後の部分は、対面での対決への自信の現れという以上に日本ハウズイングの取締役の力量が見透かされているように思います。  
確かに今までのドタバタぶりを見ると、シナリオのない本番一発勝負の議論に耐えられる取締役がいると期待するのは難しいかもしれません。

いっそのこと、説明会に出席したものの議論でしどろもどろになってしまい、「こんな取締役を買収後もそのまま留任させようという計画自体、当社の実態がわかっていない証拠だ!」などという自爆テロをする、という手はいかがでしょうか

6億円という報酬額が注目を集め、アドバイザーや弁護士も力量を問われていると思いますが、実は彼らも「大枚はたいても、当の本人がしっかりしていなければどうしようもない」という展開を望んでいたりして・・・

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『だいにっほん、おんたこめいわく史』

2008-06-18 | 乱読日記
笙野頼子の本は初めて読んだのですが、とにかく怒っています。

自分の作品や作家としての自分に対する攻撃を受けてきた中から、そもそも「売れる」ということを基準に「『近代文学』と称せられたアニメのノベライズ作品」しか認めなくなっている「文学界」や出版業界、ひいては世の中全体が「おんたこ」化している、ということを書こうとしています。

「おんたこ」というのはひとことで言うと(そういう行為自体が作者に怒られそうなのですが)、多数で加害者でありながら少数者で被害者であることを自らの正当性の根拠にするような、主張に一貫性がなくその場その場でころころ変わる今の世の中に支配的な風潮(なりそれに毒された人々)を指しているようです。

場当たりで無反省なだけに融通無碍でたちの悪い「おんたこ」を描くために、それより大きな網をかけようとするかのごとく、作者は言葉を縦横無尽(それにとどまらず上下・奥手前・過去未来も無尽)に操ります。

斎藤美奈子が朝日新聞にこの本と桐野夏生の「東京島」について「大きな物語の復権」というような書評を書いていたのですが、(桐野夏生はそうかもしれませんが)この本は「大きな物語」というヘーゲル的な構えの大きさでなくデリダ的な運動の中で紡がれた物語、という感じがします。
(こういう書き方をすると、本書に出てくる「出里田誤用之介」と揶揄されてしまいますのでご注意を(笑))


書いてあることをきちんと一言一句理解しようとすると(笙野頼子ファン以外は)途中で挫折する可能性が高いと思いますので、「まあ、だいたいこんなことを言いたいのかな」ということがわかるくらいでいいぐらいのスタンスが、読み手の精神安定にとってもいいのではないかと思います。






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小ネタ2件

2008-06-17 | よしなしごと
<その1>

巨額投資期待 リーマン標的 昨年10月 すでに自転車操業状態
(2008年6月17日(火)08:15 産経新聞)

見出しを見て、てっきり「リーマン・ブラザーズがサブプライム問題で昨年10月から自転車操業状態にあり、SWFなどの巨額増資を期待していた」という記事かと思ったのですが・・・
リーマンを相手にした丸紅文書偽造などによる詐欺事件の記事でした。


<その2>

Docomoが提携してからBlackBerryを導入する会社が増えてます。
特に会議中や食事中でもしじゅう端末をチェックすしないではいられない、「BlackBerry中毒」の人もしばしば見られるようになりました。

でも、昨日初めて見たのが

   BlackBerryで電話をかけている人

確かに携帯電話端末なので電話もかけられるんですけど、すごく使いにくそうでした。

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『迷子の警察音楽隊』

2008-06-17 | キネマ

Tsutayaで「ジャケット借り」ました。

文化交流のためにイスラエルに招かれたエジプトのアレキサンドリア警察音楽隊が目的地と一文字違いのホテルすらない田舎町に迷い込んでしまいます。そこで食堂の女主人に助けられ、地元民の家で一泊させてもらうのですが、エジプト人と話したことすらないようなイスラエルの田舎のユダヤ人たちとの妙な交流が始まる、という話です。

音楽隊の鮮やかな水色の制服と殺風景な田舎町の風景、ぎこちない英語で交わされる会話と内輪でのそれぞれの言葉の会話が面白いコントラストになっています。
そして主人公の初老の音楽隊の隊長の生真面目さがいい味を出しています。

「敵対する国の人同士が友情を育む」「音楽は人をつなぐ」というきれいなまとめ方をした状況設定の一発芸ではなく、民族や国の対立はあっても、結局みんないろんな悩みや愚かさを抱えて日々を営んでいる人間なんだ、ということを面白く、そしてちょっと哀しく描いているところが映画に深みをあたえています。

 






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地下鉄副都心線開業

2008-06-16 | うろうろ歩き
用事にかこつけて早速乗ってきました。

渋谷駅は東口バスターミナルから宮下公園にかけての明治通りの下にあります(池袋までは明治通りの下を通っています)。

ほかの線との関係はこんな感じ



半蔵門・田園都市線、銀座線、井の頭線とは直交、山手線、東横線とは平行なので、いまひとつよくわかりません。
図の楕円形が安藤忠雄設計の「地球船」というコンセプトで、環境負荷の少ない設計なんだそうです。

名物の吹き抜け



僕同様見物乗車の人で混雑していました。
でも、思っていたほど大きくはなかったです。

下から




全体のコンセプトの模型も展示されていました。



でも、カットモデルになっていないのでいまひとつよくわからず。


将来東急東横線と乗り入れるための線路が既にできていました。
この壁の向こうにつながります。




副都心線は地下鉄には珍しく急行運転をします。
山手線との対抗意識でしょうか。

僕はとりあえず各駅停車に。


写真はないですが、明治神宮前と北参道の駅のホームの端のほうは異常に狭くなっています。
初詣のときは大丈夫でしょうか。
ホームが狭くて深いと、降りた人が地上に上がるのに渋滞してしまって電車自体も動かなくなってしまうという、東京湾大華火大会のときの大江戸線(勝どき駅がボトルネック)のようにならなければいいですが。


最初の急行停車駅の新宿三丁目は、丸の内線、都営新宿線の乗り換えで今や一大ターミナルになっています。


東新宿で急行の通過待ち。



ホームの左側の壁の向こうを通過します。



けっこうすごい勢いで飛ばしてきます。


西早稲田、雑司ヶ谷、と渋めの駅が続きます。
ここはホームの端に階段があるので比較的広め。

トリビアですが、副都心線の雑司が谷駅の駅を出たところには都電の「鬼子母神前」の停留所があります。
都電には一個大塚寄りに「雑司ヶ谷」という別の停留所があり、明治の文豪の墓などで有名な雑司ヶ谷墓地はこちらが最寄になってます。
ちなみに都電の停留所は「都電雑司ヶ谷」と改名した(させられた?)ようです。


さて、池袋について気がついたのは、ここでは有楽町線に接続していないこと。
小竹向原までは今までの「新線池袋」を使っていて、有楽町線とは並行して(正確に言うと上下になって?)走ります。

この案内図もわかりにくいのですが、丸の内線などがある中央コンコースの西口寄りの地下の深いところ(丸井の交差点の下あたり)に駅があることになります。




そしてようやく小竹向原で有楽町線とご対面。



ここで都心から来た新都心線と有楽町線が合流し、有楽町線→東武東上線方面と西武有楽町線→西武池袋線方面に分かれます。
なので、朝の通勤客もここで乗り換える必要が出ます。
ちょうど日比谷線と千代田線が合流する北千住駅のようなものです(そのかわり小竹向原は地下駅なので地上にはなにもありませんが・・・)。


もともと山手線が走っているところに並行しているので、正直ロケーション的にはものすごい目新しさはありません(雑司ヶ谷に行くなら都電だろ、という思いもあったりして(笑))。
ただ、東武東上線や西武池袋線が急行運転のまま新宿三丁目や渋谷まで乗り入れてくると通勤客はけっこう流れるのではないかと思います。
買い物客はどうなんでしょうかね?
新宿・渋谷に行く人は既に乗り換えて行っているのでそれほど激しくは変わらないようにも思うのですが、やはり池袋としては地盤沈下が心配というところでしょうか。




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