一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

週刊ダイアモンドへのウイングパートナーズのクレーム

2009-01-31 | あきなひ

週刊ダイヤモンド「新興市場の断末魔」の後日談。(これもgrandeさん経由の情報です。)

監査法人ウイングパートナーズのサイトに掲載された「週刊ダイヤモンドに掲載された記事について」  

当該記事PART4「許されざる監査法人」という表題・内容は悪意、あやまった憶測に満ちており不適切である。当該記事の意図は、継続企業の前提が付いている企業=市場から退出すべき企業であり、その延命に中小零細監査法人が高額報酬をとって手を貸しているという事をいいたいものと察する。そのための記事では売上高と監査報酬との比率等の全く意味のないデータを用い故意に自らの主張を裏付けるため、また読者に誤解を与える記事を記載している。  

しかしながら、そのような憶測は監査に関わっている大半の公認会計士は当然理解できるはずであるが、全く現実とは異なるものである。監査を受嘱する場合には監査受嘱に対するルールを守り、実際の監査業務を所定の基準により淡々と行ってゆくのみである。また監査報酬についても高額報酬を要求することもない。
当監査法人の他にも、KDA監査法人、アスカ監査法人の名前が挙がっているが同様の事情であると推察する。  

その意味で当該記事については経済誌の内容としては一定レベルの基礎知識が不足していることに加えて、誤った憶測に基づく内容であり極めて不適切なものと言わざるを得ない。 

主張としてはgrandeさんの指摘とほぼ同じですね。 

あまりにこじつけの記事を書きすぎると、だれも取材に応じてくれなくなる(または妙な意図を持った人しか応じなくなる)んじゃないでしょうか。いや、既になっているのかな?  


ここまできたら週刊ダイヤモンドから「ウチは経済誌じゃないもん。見出しで釣ってる一般週刊誌と同じことをして何が悪いんだよ。」というような反論を期待したいところです。

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引き続きかんぽの宿

2009-01-30 | まつりごと

ひきつづきかんぽの宿の報道。
あいかわらず「叩けばいい」というスタンスありきのようです。

不動産業者、6000万円で転売=1万円の「かんぽの宿」-鳥取
(2009年1月29日(木)22:30 時事通信)

2007年3月、旧日本郵政公社から鳥取県岩美町の「かんぽの宿」を土地代を含め1万円で購入した東京の不動産開発会社が、半年後に鳥取市の社会福祉法人に6000万円で転売していたことが29日分かった。民営化を控えた郵政公社が、年間2670万円の営業赤字(05年度)を出す不採算施設として売り急いだ結果、買い手企業に短期で巨額の利益をもたらした格好だ。  

建物は1億円以上をかけて改修され、現在は老人ホームになっている。関係者によると、この社会福祉法人は設立に際し、閉鎖されるかんぽの宿を取得しようとしたが、既に他施設と一括で売却されることが決まっていた。このため、仲介業者を通じて売却先の不動産開発会社と交渉し、6000万円で引き取ることで合意。関係者は「郵政公社が1万円で売却したとは知らなかった」と話している。

年間2560万円の赤字が出ている施設なので、6000万円で売れたとしても売却まで2年5ヶ月以上かかれば結局損だったわけで、1万円で売却することで赤字垂れ流しをとめることがそれほど間違った判断とは思えません。
この場合の「営業赤字」の内訳はわかりませんが、資本コストを考慮していないとしたらなおさらです。

また、このケースでは他施設と一括売却したようですが、一括売却したすべての施設に売却時点で既に「ばら売り」の買い手がいたにもかかわらずそれぞれ1万円で売却した、というならともかく、一括売却の内訳としてこの施設の価格が1万円だったことをとらまえて非難するのは的外れだと思います。

そもそもバルクセール(まとめ売り)は資産を一括して処分できるのが売却側のメリットなわけですが、売却する資産がすべて無価値(=利用も転売も出来ない)なら買い手もつかないわけで、「これを買うことでもうけることができそうだ」と思わせる程度の玉石混交のポートフォリオである必要があります。
その中で「玉」から利益を上げた買い手がいたからといって、バルクセール自体が否定されるわけではないと思います。


そんな事言ってるから前回のバブルのときに不良債権・不良資産の処理に手間取ったということはもう忘れたのでしょうか?


 

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安売りでなく無駄遣い

2009-01-29 | まつりごと

「かんぽの宿」1万円の例も=民営化前から格安で売却-日本郵政
(2009年1月28日(水)20:30 時事通信)  

旧日本郵政公社が2007年10月の民営化の前に、宿泊施設である簡易保険加入者福祉施設(かんぽの宿)や郵便貯金周知宣伝施設を、建設費より格段に安い価格で売却していたことが28日、日本郵政が民主党に提出した資料で分かった。収益性が悪いために簿価を引き下げ、それを基に売却額を決めたためで、わずか1万円で売却されたかんぽの宿もあった。  

一方、日本郵政は同日の民主党総務部門会議で、オリックス不動産への一括売却を決めたかんぽの宿70施設の整備費は2402億円だったと説明。鳩山邦夫総務相は、この70施設の売却額109億円は安過ぎると主張している。郵政宿泊施設の安売りは民営化前から続いていることになり、改めて議論を呼びそうだ。

鳩山邦夫氏の発言は妙なものが多いのですが、かんぽの宿についてはマスコミが同調しているところもあり、やはり一定の観測気球なりの役割を担っているのでは、などとも思う今日この頃です。

ちなみにこの問題、何がいけないのかよくわかりません。

「安すぎる」というのであれば入札のときに最低落札価格を設定するか「一番札でも安すぎる場合は売却しないことがある」などという条件をつければよかっただけの話です。
あまりにshort noticeでオリックス以外は準備が出来なかったというような「出来レース」の疑惑があるのでしょうか。
いずれにしてもオリックスの問題ではなく、入札側の総務省の問題なので、今さら言うのも監督不行き届きですよね。

上の記事に至っては何がいけないのかよくわかりません。
時価の回復見込みがない固定資産を減損するのはむしろ会計処理としては健全な行為ですし、簿価を下回ったら売却しない、というのでは資産リストラはできません。

企業が同様の投資行動をしたら非難されること間違いないと思うのですが。



「安売り」なのではなく無駄な投資をしたことを謙虚に反省したほうがいいと思います。


 

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週刊ダイヤモンド「新興市場の断末魔」

2009-01-28 | あきなひ

週刊ダイヤモンド1/31号「新興市場の断末魔」を購入。

週刊ダイヤモンド特有の扇情的な見出しとしつこいまでの「○○ランキング」に辟易しながらも面白く読みました。

特に細野祐二氏の「新興市場型『粉飾決算』」が最近の投資ファンドを利用したりする手口を従来の粉飾決算と比べて「自社株を出口とした粉飾」「財務諸表内外の粉飾利益の出し入れ」という切り口で説明していてわかりやすかったです。
(著書の『法廷会計学vs粉飾決算』『公認会計士vs特捜検察』 より肩の力が抜けていて読みやすくもあります。)

そして記事以上に面白かったのがGrandeさんのブログでのこの記事についてのエントリ。
こちらをはじめとして4つも特集エントリを立てていらっしゃいます。
業界にいる専門家としてのコメントには味わいがあるとともに勉強になります。ぜひ併読をおすすめします。

たとえば以下のくだりなどは勉強になります。

GC企業がイコール問題企業というのはいかがなものか?
これについては、普通のGC企業のイメージダウンにつながるので、猛烈に抗議しておきます。 
 (中略)
といいますか、疑義があるからといってダメなわけではないのですよ。
GC注記の意味というのは、「このままいくと1年ぐらいでつぶれてしまうヤバイ状況が発生しています。 
 が、会社が適切な対応策を用意しているので大丈夫です。
 それについて監査人として保証しますね。」
という意味なんです。

ですから、GCついてようがなにしようが、つぶれたらダメなんですよ、基本的に。
「ヤバイけど1年ぐらい大丈夫」というお墨付きのはずなんですから。
だから大手が降りるという事態になる。

そして最近の不表明事例で揉めているのは、「会社が適切な対応策を用意しているので大丈夫です。」の箇所なわけですね。
GC注記で揉めて不表明になるということは、ヤバイ状況がそのままですよと、そういう意味ですから、ほんとヤバイんです、ええ。

このへんをふまえたうえで、昨日のつぎのリリースを見るとそれぞれの意味合いがよくわかります。

継続企業の前提に関する注記のお知らせ
(平成21年1月27日 パシフィックホールディングス株式会社)

当社は、本日開催の取締役会において、平成20年11月期の決算短信及び有価証券報告書における継続企業の前提に関する事項について、下記の通り注記することを決議しましたのでお知らせいたします。
 (中略)
 当該状況を大幅に改善するための当社の対応は、以下のとおりであります。
 (中略)
かかる事態を受けて、当社は中柏ジャパンと協議を行い、優先株式の発行による増資(約47,000百万円)を実現するため、当該優先株式における発行価格その他発行条件を改めて見直しを行い、投資家と引き続き協力を行うことについて同意を得ております。

 
平成20 年11 月期計算書類に対する監査意見不表明に関するお知らせ
(平成21年1月27日 パシフィックホールディングス株式会社)

このたび、会社法規定の計算書類の監査において、会計監査人である監査法人トーマツは、当社の継続企業の前提である株式会社中柏ジャパンに対する第三者割当による優先株式の発行及びそれを前提とした経営計画の実行による業績回復の可否について、当該監査時点では適正な監査意見を表明するための合理的な基礎を得ることが出来ないと判断いたしました。これにより、会社法第436 条第2項第1号および会社法第444 条第4項の規定に基づく監査について、監査意見
の表明をしない旨の監査報告書を受領いたしました。

改めてGrandeさんのコメント

GC注記で揉めて不表明になるということは、ヤバイ状況がそのままですよと、そういう意味ですから、ほんとヤバイんです、ええ。

冨山氏の尽力よりも資産の劣化のスピードが速かったということでしょうか。



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『プラトーン』

2009-01-26 | キネマ
いわずと知れたベトナム戦争の映画の金字塔ですが、改めて観ると当時の若手有望俳優のオンパレードだったんですね。

冒頭のタイトルでフォレスト・ウィテカーとジョニー・デップの名前を見たときにはびっくりしたのですが、しっかり出ていました。
フォレスト・ウィテカーは昔からあんな顔なのですが、ジョニー・デップは童顔でよくいるイケメン風なので見落としてしまいがちです。

これは昔劇場で観たのですが、当時の字幕で印象に残っていた科白がなかった(陣地が陥落しそうになるときに指揮官が爆撃機に自陣に爆弾を投下するように指示するところで、"keep recording"=「記録に残せ」というところを字幕にしていなかった)ところを見ると、DVD用の字幕って別の人がやっているんでしょうか(それとも劇場版の反省をフィードバックして改変しているのでしょうか)

こういう昔の映画を観ると、けっこう記憶と違っているところがあるので、それはそれで面白いですね。



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『君のためなら千回でも』

2009-01-25 | キネマ
だまされたと思って、この後の記事を読まずに何の余談もなく観てください。

また、原作の小説(全世界で800万部のベストセラーらしい)はより感動的なので、こちらを先に読んだほうがいいという意見もあり、その方は先に小説の方をお読みください。


だまされたくない方は、下のレビューを読んでから検討してください。
(そのかわり、つまらない解説で興ざめだった、などと言わないこと)


(小説はこちら)



(DVDはこちら)



さて紹介。

1970年代アフガニスタンの首都カブールで育った二人の少年の友情と贖罪の物語です。

豊かで美しいカブールの街で育った二人の少年がソ連のアフガニスタン進行により一人は亡命し、ひとりはアフガニスタンに残り離れ離れになって30年の月日がたちった後、二人の運命は再び交錯します。

あらすじの紹介はそこまでにとどめます。

とにかく子役の二人がすばらしい。この二人はカブールでオーディションしたそうです。

また、当時を知る人々もそっくりだと絶賛した1970年代のカブールの美しい町並みは、中国新彊ウイグル自治区のカシュガルでのロケだそうです。
カシュガルの場所はこちら参照。
アフガニスタンとパキスタンの国境近くでカブールにも近く、イスラム文化の街として共通点があるのでしょう(世界地図でも中国とインド・パキスタンの国境は争いがあるので点線になっているように、もともとは国という意識なく人々が行き来していたのだと思います。)。


ストーリーがすばらしい上に、役者もセットも魅力的で、一気に引き込まれます。
DVDの「特典映像」を全部見たのも久しぶりでした。

特典映像にある映画の編集者の言葉が印象的です。
「アフガニスタン人の小説をニューヨーカーが脚本にしオーストラリア人のプロデューサーとスイス人の監督がアフガニスタンやその他世界中からの俳優と一緒に中国でロケをして作った映画なんだ」

こういう映画が作れることは世界が一定程度平和だということでしょうが、できればこの映画がアフガニスタンで撮影できる時代がくれば一番いいのですが。



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『しらみつぶしの時計』

2009-01-24 | 乱読日記
新聞か雑誌の書評欄に載っていた本。
たまには日本のミステリでも読もうと思いついでに注文しました。

(後で知ったのですが)著者の法月綸太郎は20年のキャリアのあるベテラン。
遅筆で有名だそうですが、その作者の短編集です。


で、結論から言えばいまひとつでした。
語り口が硬いのは好みによるでしょうが、短編のなかで謎解きの解説の占める割合が高く、事件が起きてすぐに謎解きになってしまい、読者が読みながら楽しめるという構成の妙が足りない作品が多かったです(表題作はけっこう面白かったですが)。

もともとこの作者に慣れていない、というところもあるのでしょうけど。


ふと思ったのが、新人作家がこの短編で賞に応募したら賞がとれるだろうか、ということ。

もちろんベテラン作家は作品のレベルも一定以上あるでしょうし、固定ファンもついていて売上も見込めるのでしょうが、毎回賞レベルの作品を書くのは難しいわけで、それでも出版するというのは出版社の出している発行部数は少ない月刊小説誌向けに書いてくれた義理に報いる、というあたりの事情もあるのではないかと思います。
出版業界の仲間内になっていることがポイントなのではないでしょうか。

これは、今問題の「派遣切り」、なぜ正社員のリストラの前に派遣から切るのか、という問題にもつながっているような。
つまり正社員は、(少なくともかつては)一定の能力を発揮したことがあり、会社組織のいろいろ面倒な(不合理な)ことも文句を言わずにこなしている、といういわば「仲間内」という意識があるのではないかと。

逆に言えば問題は(実際にリストラが可能かどうかは別として)、企業にとって本当に現在の正社員を優遇するのが経営上最適な戦略なのか、というところにあるのではないかと思います。

過去のパフォーマンスだけを基準にしていないか、「その会社に特有の不合理なことを文句を言わずにこなす」ことが重要なのか(そもそも不合理な慣行をなくすべきではないか)、「仲間」意識が正社員の「ぬるま湯」と非正規労働者への差別意識を生んでいないか、という部分も冷静に判断したほうがいいと思います。
特に若年層の労働力を非正規雇用に依存している企業は、高齢者層を優遇措置などでリタイヤしてもらい優秀な若年層を正社員として取り込むほうが長期的には競争力を維持できるはずです。


書評のはずが話がそれてしまいましたが、本自身についてあまり語ることがなかったのでご容赦を。





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不幸の均霑

2009-01-23 | 余計なひとこと
「きんてん」と読みます。

この言葉は『学歴・階級・軍隊―高学歴兵士たちの憂鬱な日常』で紹介されていた歴史学者の加藤陽子の造語。
加藤は『徴兵制と近代日本』のなかで、帝国陸軍が徴兵制の公平と軍隊内の平等を喧伝し、「機会不平等」の状態に置かれた貧民や農民の味方を標榜した姿勢をさす言葉です。
それは結局「みんなが平等に不幸になることだけがみんなを満足させられる」というところに行き着きます。

戦後の経済成長の中で本来の意味の均霑=雨の恵みのように皆が平等に恵みを得てきた時代から「格差社会」が語られるようになり、また嫉妬の感情や「不平等感」が表面に出だしています。


名古屋にいる知人の話では、トヨタ自動車は正社員に対し「夜間外出禁止令」を出しているそうです。
仕事帰りに酒を飲んでいてトヨタ自動車の社員だとわかると「期間工や派遣社員を切っておきながら酒なんか飲んでいやがって!」という非難をおそれてのことなのでしょう。
日中ときおり「派遣切り反対!」などのデモ行進が駅前の本社ビル周辺で見られるだけに、そういう指示を出したい気持ちはわからないでもないそうです。

しかもトヨタはきわめて統率の取れた(プレッシャーのきつい?)会社ですし(参照)、トヨタの社員が遊ばないのに下請けや納入業者が遊んでいるわけにはいかない(更に値下げを要求される)という相乗効果で、夜の繁華街は閑古鳥も鳴かないくらいの寂しさだそうです。
(あくまで噂話なので実際は接待自粛の影響なのかもしれませんが、本当に盛り場から人影が消えているそうです。)


デモがいけない、というつもりはないのですが「トヨタはけしからん」という論調の中に不幸の均霑を求める気持ちを感じてしまうのも事実です。
正直いって期間労働者が派遣労働者が当然に継続的に(ということは一生?)トヨタで雇用されることを期待できるか、といえばその主張は無理があると思います(個人的には正社員でもそれを当然のように主張することが本当にいいことなのかということにも疑問はあるのですが)。
確かにいきなり契約を打ち切られることへの不満はあると思いますが、それなら
「自分達を切って確保した利益をきちんと地元に還元しろ、そうすれば自分達は地元で新しい職場を見つけることが出来る」
という主張の方が建設的ではないでしょうか。

雇用を守られたトヨタの正社員に対してもトヨタの車を買わせよう、という貪欲さに対してこそ批判をすべきだと思います。
「そのかわり社員にはきちんと給料を払って、飲み食いや買い物をさせろ。トヨタが勝ち残るのはいいが一人勝ちはいけない」
という主張のほうが、前向きだと思います。


「平等への下り坂」をみんなで肩を並べて歩くことを目標にするような風潮は、僕は嫌いです。


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オバマ新政権とマーフィーの法則

2009-01-23 | 余計なひとこと
アメリカ国民の期待を受けながらオバマ新政権がスタートしました。

ところで今回の政権スタッフの多くは弁護士で構成されているんですね。
確かにブッシュ政権が8年続いたうえに歴史的にも共和党政権の方が長いので、実務経験者というのが少ないという事情もあるとは思いますが、ひとつの特徴といえるかもしれません。
大統領夫人も弁護士ですし。


そこでふと思ったこと
今回の金融危機で、アメリカの競争力と富の源泉でもあったウォール・ストリートが崩壊しました。
そしてアメリカを代表する産業であったビッグ3もその存続自体が危ぶまれています。

そうなると「悪いことは重なる」というマーフィーの法則から考えると、つぎは「アメリカを代表(象徴)する職業の一つである弁護士の権威が地に落ちる」ということが弁護士で構成されたオバマ政権の信用失墜という形で起きる、ということは考えられないでしょうか?



特に根拠のない連想ゲームなので、そうならないことを祈りますが・・・

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今日の最高裁判決2つ

2009-01-22 | 法律・裁判・弁護士

toshiさんのところで取り上げられていた今日の最高裁第一小法廷判決二つ。珍しくニュースでも取り上げられていたので判決文を読んでみました(最近は即日開示されるんですね。)。

ひとつは 不当利得返還等請求事件

継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約が,利息制限法所定の制限を超える利息の弁済により発生した過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含む場合には,上記取引により生じた過払金返還請求権の消滅時効は,特段の事情がない限り,上記取引が終了した時から進行する  

もうひとつは 預金取引記録開示請求事件

1 金融機関は,預金契約に基づき,預金者の求めに応じて預金口座の取引経過を開示すべき義務を負う
2 預金者の共同相続人の一人は,他の共同相続人全員の同意がなくても,共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき,被相続人名義の預金口座の取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができる

私は銀行や消費者金融の実務に疎いので、判決の持つ意味合いなどはtoshiさんのブログをご覧ください。
ただ、素人の僕から見ると、判決内容自体はあんまり違和感がないので、toshiさんのタイトルにされた「重み」がいまひとつ理解できませんでした(汗)


消滅時効の方は、過払いを次の借り入れの返済に充当するって約束なんだから次の借り入れがあるうちに過払い返還請求権を行使しろったって無理だろ、という「ヴェニスの商人」のような判決だと思いました。
取引条件に内在するロジック自体が、あんたの主張を封じてるだろ、という奴ですね。


取引履歴開示請求の方ももっともな話で、相続人(子)のひとりだけに被相続人(親)の取引履歴を開示することがプライバシー侵害になるとは到底思えません。
特に本件は父親の死亡前後の取引履歴の照会ということで、他の相続人の「横取り」をチェックしたいという動機なのではないかと想像したのですが、これが認められないとすると、逆に死亡間際のドサクサに預金を引き出してしまえばその後の検証もされない、というのでは「やった者勝ち」が横行してしまうのではないかと思います。

また、そもそも被相続人(=死者)の財産の取引履歴(引き出した上での使途ではない)は「プライバシー」として保護されるに値するんでしょうか。
「死者への守秘義務」っていうのも妙な話に思えます。
ちょっとでも心配がある企業からはとっとと資金を引き上げ、結局資金繰りに生き詰まらせて倒産させてしまうというようなことをやっている銀行が堂々と主張しているあたりが趣深いです。銀行はいつから牧師さんになったのでしょうか。

契約上の地位は相続人に承継されるわけですし、消費寄託の理屈はよくわからないのですが、相続財産に含まれるとすれば準共有というのは違和感がありません。


この判決で世の中が悪いほうに進むとは思えないんですが。実務が混乱するとしたら、その今までの実務の方がおかしかったのではないかと思います。
(まあ、他人事だから涼しい顔して言えるわけですが・・・)
 

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『「病」になる言葉』

2009-01-22 | 乱読日記

こちらは風邪で寝込んでいるときに読むような本でもないのですが、年末目に付いた本を適当に買いまくったのでとりあえず上に積んであるものから読んでます。


消化器内科の内視鏡専門医である著者は「胃が痛い」「腹が痛い」という患者の中で診察をしてもはっきりした病気でない患者が多いことから心療内科の勉強を始め、そこで得た考え「心と身体と言葉には深い関係がある」-言葉は毒にもクスリにもなる-をまとめた本です。

(脳の)深い部分で自分を定義しているその言葉を、より肯定的なものに置き換えることで、自分の人生を「肯定」することができる。自分の生き方を「これでいい」と感じることができる。それが私たちの心身を健康に保ち、幸福感を高めます。免疫力を高めて病気にも強くなりうる。

一つ間違うと、ここ数年流行のにわか心理分析本とかヒーリング本と同じになってしまいそうなのですが、筆者の大仰でない筆致と暖かい視線が「まともな本」の世界に踏みとどまらせています。

なるほど、と思ったのが

自分の「人生のリスク・ヘッジ」を考えるとき、必ず「セーフティ・ネット」としての話し相手を数名確保しておくこと。

これは自分の経験からいっても大事だと思います。

ここ数年、昔の友人との同窓会だとか新年会だとかが増えているのは、歳をとった同士の防衛本能が働いているのかもしれません。


僕のようなすれっからしが読むと読み流してしまう部分も多いのですが、若い人とかちょっと気持ちが落ち込んでいる人に読んでもらうといいかもしれません。





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『陰日向に咲く』

2009-01-22 | よしなしごと
いわずと知れたベストセラーです。
風邪で横になりながら読みました。

僕は「劇団ひとり」という芸人自体は知っているのですが、たまに見るテレビで見かけるのがバラエティーやクイズ番組の出演者としてなので、どんなネタがあるのか実は知りません。
(そもそもあまりテレビを見ないので、最近の若手芸人についてはほとんどそうです。それでも「劇団ひとり」の顔と名前が一致するというのは、よほど売れているのでしょう。こんどYou Tubeかなにかで見てみます。)


それはともかく、この本非常に面白いです。
面白い、という以上によく出来ています。

それぞれが微妙にすれ違う年齢も職業も違う五人が一人称で語る五つの短編から成っているのですが、それぞれの主役の語り口やいかにもやりそうなことの描写が非常に巧みで、そしてそれぞれの短編の最後にどんでん返しが用意されている仕掛けも巧妙です。

言ってみればよく出来たコントの台本ともいえます。

ただコントでは笑わせるのが仕事ですが、小説では泣かせてもいいところが違います。
そして劇団ひとりは、そのフィールドが広がった部分で、思いっきり羽を伸ばしています。


これは売れるわけだと思いました。



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『奇跡のリンゴ』

2009-01-21 | 乱読日記

オバマ大統領の就任式は病み上がりのため早めに寝たので見られませんでした。
かわりにというのもなんですが、年明けに読んだいい話を。


「不可能」と言われたリンゴの無農薬栽培を成功させた青森県の農家木村秋則さんのドキュメンタリーです。
NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」で取り上げられ大反響を巻き起こしたことをきっかけに、追加取材をして書籍としてまとめたものです。
無農薬栽培に狂気のようにのめりこんだ木村さんの生き方と、どん底での発見、それを「農業」として成り立たせるまでのドラマは「出来すぎ」と思われるくらい感動的なものがあります。

素直に感動できる本で、読んで損はないです。
(幻冬舎の煽りに乗ってしまうようでちょっと悔しいのですが、編集者の勝利であることは間違いないでしょう。)
僕はNHKの番組は見ていないのですが、本としても番組に寄りかからず、きちんと取材・構成されています。

・・・自然か不自然かということで言うなら、コーカサス山脈生まれのリンゴの木がここにあるということが、そもそも不自然なのだ。

・・・リンゴの木を植えたのは人であり、リンゴの木を必要としているのは、あくまでも人だ。自然の摂理に従うなら、おそらく枯れるしかないだろう。そのリンゴの木をなんとか生かそうとするのは、人間の都合なのだ。
 それが農業というものであり、農薬を使おうが使うまいがそれは同じことだった。

「・・・農薬を使っていると、リンゴの木が病気や虫と戦う力を衰えさせてしまうのさ。楽するから行けないんだと思う。・・・それでな、リンゴの木だけじゃなくて、農薬を使っている人間まで病気や虫に弱くなるんだよ。・・・農薬さえ撒けばいいから、病気や虫をちゃんと見る必要がなくなるわけだ。」

木村さんは農薬を使わない代わりに、リンゴの木や土壌の状態や天候、虫の生態系などを細かく観察しながら、リンゴの木の力を引き出す農法にたどり着きました。

実は、木村さんが無農薬のリンゴ栽培で結果が出なかった6年間でも、リンゴ畑の間に植えた野菜(もちろん無農薬)は立派に育っていたそうです。
つまり「あえてリンゴを無農薬で栽培する」という一番困難な選択をすることことで人間が自然を開墾して食物を栽培するという農業の「原罪」と向き合ったといえます。

木村さんは現在、全国で農業指導しながら、無農薬栽培を広げるためには出来るだけ安く出荷することが大切だ、特殊なものでなく普通の農作物として競争力を持つことが必要だ、と説いています。
ただ、無農薬・自然栽培で収量をあげるには、農家の人の農薬散布に代わる努力が必要で、それは農業従事者にとって負担の大きいことでもあります。

「金持ちだけが安全な食材を手に出来る」というのはたしかに不健全な世の中ですが「運のいい(コネのある)人だけが安全な食材を手に出来る」というのもおかしな話ですし、「安くて安全な食材が国民全体にいきわたる」というのも理想論ではありますがその「安さ」が円高を背景にした輸入食品を基準にしたものであるならそれは農業従事者への負荷を前提にするわけで、長続きするものではありません。

改めて『日本の「食」は安すぎる』が提起した「(適正な品質のものを適正な価格で)消費者が買い支える」という問題も含めて考えさせられました。


感動を人任せにしていちゃいけないんだ、という自戒も含めて、新年にふさわしい読み物だったのではないかと思います。



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春日電機(その7 完?)

2009-01-20 | あきなひ

ついに退場処分になってしまいました。

上場廃止等の決定について-春日電機(株)-
(2009年1月20日 東京証券取引所)

(4) 上場廃止理由  
有価証券上場規程第601条第1項第11号b(上場会社の四半期財務諸表等に添付される四半期レビュー報告書において、公認会計士等によって、「結論の表明をしない」旨が記載され、かつ、その影響が重大であると当取引所が認める場合)に該当すると認めたため  

(注)春日電機株式会社(以下「同社」という。)の平成21年3月期第2四半期の四半期連結財務諸表について、監査法人は「結論の表明をしない」旨記載した四半期レビュー報告書を提出しました。
監査法人は、一部の購買取引及び販売取引について、会社がその取引実態を解明できないものがあるため、当該取引に ついて結論を表明するための基礎が得られなかったとしています。また、一部の会社に対する貸付金について回収可能性を判断するための資料が確認できなかったため、当該回収可能性の評価について結論を表明するための基礎が得られなかったとしています。さらに、同社の四半期連結財務諸表によると、同社は重要な四半期純損失を計上し、多額の資金の流出により資金繰りに窮している状況であるが、同社から当該状況に対する合理的な経営計画が提出されないために、継続企業を前提として作成されている当該四半期連結財務諸表に対する結論を表明するための手続きが実施できなかったとしています。 
また、同社は平成21年3月期第2四半期の四半期報告書において、一部仕入商品に係る不明な取引により204百万円の支払が発生して特別損失を計上しているなどと記載しています。 
これらの監査法人が四半期レビュー報告書において結論を表明しないとした状況等を勘案すると、同社株式については、投資者の投資判断の基礎となる重要な情報が適正に開示されている状況とは到底認められず、これをそのまま放置するとすれば証券市場への信頼を著しく毀損するものであり、その影響が重大であると認められます。  

経営陣がほとんど退陣してしまった中で「合理的な経営計画」を短期間で作りようもなかったということでしょうか。
監査役やプロパー役員の異議申し立てがもう少し早ければと残念です。


この会社の本業がどれくらいの収益力を持っているか(また銀行がどのように評価しているか)はわからないのですが、企業としてはすぐにご臨終というわけでもないので、引き続き建て直しと会社を食い物にした旧役員への責任追及にがんばってほしいと思います。

上場廃止になると情報開示がぐんと減るので株価が一ケタになったら買ってみるのも悪くないかな。

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風邪

2009-01-19 | 乱読日記
金曜から風邪の症状が出だしたので土日寝ていればどうにかなると思ったのですが、熱がおさまったと思ったらまた高くなったりと今日の朝まで回復しなかったので、ひょっとしてインフルエンザ?と心配し、会社を休んで医者に行きました。

医者で検査をしてもらったところ(鼻の奥に「こより」の小さいのをつっこんで粘液を採取すると5分くらいでわかるらしい)、インフルエンザではなくただの風邪でした。

医者で薬を処方してもらって帰ったのですが、処方された薬が「何かヤバイもの入ってるんじゃないか?」というくらい効いたことにびっくり(まあ確かにヤバイものが入ってるから薬なんでしょうけど)。
何しろ医者で風邪薬を処方してもらった記憶はここ数年なく、ほとんど市販の葛根湯か「寝て汗かいて治す」で対処してきたもので。
人間もミクロの世界では化学反応の集合体だということを改めて思いました。


で、多少具合がよくなったのですが、平日の昼間ってテレビ番組も面白いのがないんですね。
NHKはずっと参議院予算委員会の中継やってるし。
国会中継で受信料取るのもどうかという議論はさておくとして、国会の質疑の中身がまたがっかり。

たまたま見たときに質問を始めたのが民主党の峰崎とかいう議員で、質問の冒頭に、自分が代表質問に立つのは久しぶりで云々かんぬんというつまらない自己紹介をした挙句に「限られた時間の中で・・・」などと言い出したので、なら最初にくだらない自己紹介はするな、とおもわずテレビに突っ込んでしまいました。

アホらしくて途中で切ってしまったので他の人の質問はわかりませんが、峰崎氏の前に質問していた自民党の議員も仲間受けしてまんざらでもない顔をしていたところからみると、国会質問というのは国民のために有意義な質問をするというよりは、自分をアピールするための質問をする場のようです。

さっきNHKをくさしましたが、逆に年間一定時間以上国会中継を試聴すれば受信料がタダになる、という制度を導入すれば、国民の関心も集まるし国会質疑ももう少しまともになるのではないでしょうか。


仕方がないので基本に立ち返って、子供の頃は風邪を引いたらバナナ(笑、でも子供の頃には近所に「バナナ屋」ってのがあって、地下の室に輸入した青いバナナを入れて熟したら出荷させてました)とマンガ(普段は立ち読み(笑))だったので、バナナはさておき西原理恵子の『いけちゃんとぼく』(正確には絵本ですが)を読むことに。

西原理恵子は「叙情」の側の世界の作品はただでさえ来るものがあるのに、風邪で気持ちが弱っていて涙腺が緩んでいるときに読むもんじゃなかった・・・





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